過日の記事で私は、河野洋平氏を提訴する動きの中で、提訴した場合誰がこんなめちゃくちゃな裁判の代理人になるんだよと指摘しました。常識的に考えて、このような裁判の代理人になる弁護士というのは、常軌を逸した極右の弁護士か(ふつうの右翼の弁護士なら、馬鹿馬鹿しすぎてこんな裁判にかかわりません)、あるいは政治活動として割り切っている弁護士のどちらかでしょう。そうでなければ非常識すぎて相手にしないでしょう。
たとえば過日在特会側が敗訴した京都での朝鮮学校のトラブルで被告(在特会側)の代理人をつとめた徳永信一弁護士なんかはこのような裁判の代理人になる可能性はあるでしょう。また歴史修正主義裁判でなにかと代理人になっている高池勝彦弁護士も、彼は国家基本問題研究所の理事を務めているくらいの人物なので、引き受けるかもです。
で、ほかにもその代理人になる可能性のありそうな弁護士を知りました。検事出身者です。ただ、この人の場合、よくテレビに出てくるような数年検察庁勤務しただけのヤメ検でなく、検事正まで勤めあげた人というのがなんとも(笑)。
その弁護士のお名前は、尾崎幸廣弁護士です。なにしろ、次のようななかなか気合の入った歴史修正主義者です。
>第11回台湾セミナー 尾崎幸廣弁護士と反町佳生氏を講師に9月28日に開催! : 日本李登輝友の会
投稿日:2013年9月18日
日本の台湾統治を差別と弾圧だとして放映した平成21(2009)年4月5日のNHK「JAPANデビュー・アジアの“一等国”」は出演者からも批判され、1万人以上が原告となって裁判を起こした。裁判は控訴審の審理を終え11月に判決が下される。高池勝彦弁護団長とともに、当初から弁護団の中心として担当してきた尾崎幸廣弁護士に裁判の争点や問題点についてお話しいただく。
1審で完敗したじゃん。「裁判は控訴審の審理を終え11月に判決が下される。」って、控訴審で逆転がねらえるような訴訟じゃないでしょう。
高池もこんな歴史修正主義の裁判やって、ほんとどうしようもないクズですが、尾崎もねえ、あんたヤメ検だろ、こんな裁判専門外であんまり詳しくねえんじゃないのと思いますが、本気の人なんでしょうね。それもどうかです。
で、上の記事からの尾崎弁護士のプロフィールを読むと…。
>尾崎幸廣(おざき・ゆきひろ) 昭和23(1948)年、福井県福井市生まれ。京大法学部卒業。同47年、旧防衛庁入庁。経理局会計課勤務。同51年に検事となり、連続企業爆破事件などに携わり、平成3年から6年まで公安調査庁審理課長。同18年、釧路地方検察庁検事正を最後に退官。それ以後、弁護士。弁護団の一員としてNHK・JAPANデビュー裁判やNHK受信・契約裁判に臨む。本会理事、メディア報道研究政策センター理事。
いわゆる公安系の検事のようですね。出世街道まっしぐらのエリート検事とまでは言えないでしょうが、それでもマイナー地検とはいえ地検の検事正までなったのだから、大したものです。なにはともあれ、役所人生を全うしたお方がこんな非常識な極右の裁判の代理人なんかになりますかねえ。上にも書いたけど、この人刑事法には詳しいでしょけど、
>弁護団の一員としてNHK・JAPANデビュー裁判やNHK受信・契約裁判
というのは、失礼ながら弁護士ではあっても専門外で、民事中心の若手弁護士の力にも遠く及ばないんじゃないんですかね。まあ勝つための裁判でなく政治ショーのための裁判でしょうから、勝ち負けなんかどうでもいいんでしょうが。おまけに李登輝友の会の
>本会理事
とあるから、実質政治活動家、極右活動家のたぐいじゃないですかね。まともな人間ならさすがに極右活動家にはならないでしょうが、あるいは検察内部でも問題人物だったのかも。それとも偽装していたのか(笑)。
それでこの人物のWikipediaの記述もすごいですよ。短いものですが、かなりすさまじいものがあります。
>福井県生まれ。京都大学法学部卒業。1972年防衛庁入庁、1976年検事に任官 2006年、釧路地検検事正を最後に退官。弁護士になり菊水法律事務所を開業。事務所の名称は楠正成を意識したものである。
維新政党・新風党本部監査役。NHKの番組NHKスペシャル シリーズ 「JAPANデビュー」#「JAPANデビュー」第1回放送に対して日本文化チャンネル桜が音頭をとって起こした裁判およびそこから副次的に派生した名誉既存裁判でチャンネル桜側弁護人を務める。神世界事件では神世界側の代理人を務めるとともに自ら積極的に神世界の機関紙にも寄稿している。
>検事時代は左翼勢力を検挙する思想検事になること目標としていたが実現しなかった、本多勝一や大江健三郎は起訴されて当然であると述べている。國民新聞平成20年春1、2月合併号[1]
本多勝一氏や大江健三郎氏のくだりなんて正気かよ、というレベルですが、現実問題として、この人が担当検事、次席、検事正であれば、仮に告訴があっても起訴なんかしはしないでしょう。そこで起訴していれば、この人だって検事正なんかなれるわけがない。何を愚にもつかない大言壮語をしているんだか。
それにしても公安関係の検察官を務めてきた人物が、霊感商法詐欺をしている団体の代理人を務めていたって、いったいどういう非常識さというか脇の甘さなんでしょうか(神世界事件)。どうしようもないクズです。
それで、こちらの記事を参照してください。
>神世界新聞 第3号(2009.12.1発行)を見て
神世界新聞は第2号までが発行された段階でこのサイトでもその内容を紹介した。当サイトで神世界新聞の陳腐さについて散々酷評したので、神世界側も恥ずかしくなって第3号の発行は見合わせるかと思っていたが、なんと性懲りもなく第3号を発行したようだ(下記)。いつの間にか前回と同じく、「御霊光はすばらしい」というHPに第3号がアップされていた。
第3号の内容は相変わらずバカバカしい内容でしかないが、特筆すべき点が一つある。それは弁護士が実名で神書について感想を述べている点だ。
神世界新聞第3号に掲載された、尾崎幸廣弁護士の神書評
神書を読んでまず感じるのは、偽善的な要素が全くなく、率直明朗ということである。古事記の読後感に似ている。神世界の活動に批判的な人は、その内容が不合理だとか非科学的だとか盛んに攻撃するが、そのようなことを言えば、聖書もコーランも仏典も科学的には証明できない内容に満ちているのであり、現代の科学を越えたところに宗教が成立するのである。
神書は、無理な修行や実行不可能な戒律を不必要とし、ただ、御霊光により、健康、財産、人間関係が好転するのを体験することを勧めている。もし、効果がないと思ったら止めればよいとし、執拗なところがない。聖書を読むたびに我が身の至らなさを感じて気持ちが暗くなるのとは対照的である。
以上が大まかな内容であるが、次号以下でさらに紹介していきたい。
日本には「言論の自由」があるのだから、例え弁護士であろうとも思ったことを述べるのは許される行為なのだろうが、現実にこれだけ多くの神世界被害者が存在することを知りながらそれでも敢えてこうした発言をする弁護士がいることには驚きを禁じ得ない。
尾崎幸廣弁護士(菊水法律事務所)は弁護士になる前は約30年間検事を務めてきた。検事在職中は公安調査庁に属していた時期もあり、緒方重威公安調査庁長官(1993年当時)の下で審理課長を務めていたこともある。
周知の通り、緒方重威は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の売却を巡り、詐欺罪で起訴され現在公判中の人物だ。緒方重威は東京都内に所有する不動産を神世界に賃貸し、月数百万円に上る賃料を得ていた。
尾崎幸廣弁護士がどのような人物かネットで検索してみるとたくさんの情報が得られる。下記は平成20年1月25日号の「國民新聞」第19131号に「年頭所感」として尾崎氏が書いている文章だ。
「國民新聞」第19131号に掲載された尾崎氏の「年頭所感」
法曹界での千早城目指す(弁護士・尾崎幸廣)
平成二十年が天皇国日本にとって、少しでも良い年になりますように。
三十年間の検事生活を終え、弁護士となって一年が経った。検事という職業は一口に言えば、生活のための職業でしかなかった。若いころは、日本がいつかまともな国になったときに、思想検事としてゾルゲや尾崎秀実のようなスパイ、思想犯と闘いたいと思っていた。しかし、その夢はついに実現しなかった。
本多勝一や大江健三郎のような戦後日本の醜悪さを体現する人物が未だに大手を振っている。本来ならば、これらの反日日本人は今の刑法でも、死者に対する名誉棄損で起訴されて当然である。
しかし、現状で検事にそれを求めるのは、幕末の旗本侍に黒船攻撃を求めるに等しい。役人や利権政治家に祖国再生の望みを託しても無駄である。あとは草莽崛起を待つしかない。
嬉しいことに、その兆しは少しずつではあるが、感じられるようになっている。私は思想検事にはなれなかったが、思想弁護士にはなりたい。
梅ヶ丘駅前の十坪足らずの事務所に菊水法律事務所と名付けた。法曹の世界での千早赤坂城を目指している。皇室と祖国のため少しでもお役に立つことが今年の、いや今後終生の念願である。
bogus-simotukareさんはこの尾崎の文章に呆れきって
>戦前の思想検事が企画院事件、横浜事件などのでっち上げ冤罪事件を起こしたことをどう思ってるんですかね。
>「死者に対する名誉毀損」の「死者」って具体的に誰のことを言ってるのか。そんなに名誉毀損で訴えたければ訴えればいいでしょう(ただし死者の場合、告訴できるのは遺族だけですけど。無関係な第三者が訴えることは出来ません)。
そして慰安婦や南京事件被害者に対する尾崎氏らウヨの物言いこそ「名誉毀損」でしょうに。いやそもそもこの文章での本多氏や大江氏への罵倒こそが名誉毀損に当たるんじゃないか。
とご指摘になっています。いやはや、ひどいものです。
それにしても、「祖国」も同じですが、皇室や宮内庁だって、こんな人から「少しでもお役に立つこと」なんて言われたって、迷惑にもほどがあるってもんでしょう(笑)。そもそもヤメ検弁護士が具体的に、どのようなことに皇室の役立ちえるのかさっぱりわかりませんが(この人は公安畑の担当の検事だったようですが、法務省なり宮内庁なりが、公安関係の法律相談をまさかヤメ検弁護士にすることもないでしょう)、たぶんこの人の言う「皇室」ってのは、天皇とか皇后、皇太子、皇太子妃その他の具体的な皇族とか、皇室典範その他の法令にもとづく皇室ではなく、この人の頭の中にある抽象的な「皇室」なのでしょう。どこの馬鹿が、こんな非常識な訴訟の代理人になっていたり犯罪集団の代理人になっている弁護士と皇室その他を結び付けるんだと思いますが、たぶんそういった考えはこの人にはないのでしょうね、きっと。それもどうかです。
だいたい祖国うんぬんというのなら、せめて犯罪集団の代理人になんかなるなよと思いますが、そんな話は通用しない人なのでしょう。あきれた元釧路地検検事正です。
正直ここまでひどいと笑っていればいいという気もしますが、しかし右翼弁護士の稲田朋美が代議士になった(しかも彼女をスカウトしたのが現首相)のだから、笑ってばかりもいられないか。さすがにこの人を国会議員にしようという具体的な動きは、少なくとも現段階ではないでしょうが。
>維新政党・新風党本部監査役
といったって、立候補するところまではいかないし、当選はしないでしょう・・・。いや、当選はしないでしょうが、立候補は・・・。まともな人間ならしないでしょうが、まともじゃなさそうだからな、この人。
例によって、以上の記事は、bogus-simotukareさんの記事から情報を得ました。bogus-simotukareさんにお礼を申し上げます。