最近の米国映画は、フロントクレジットもあまりなく、エンドクレジットですべてまとめるという傾向にあるようですね。以前はフロントクレジットでだいたいのキャスト、スタッフを紹介して、エンドクレジットはなしかキャスト紹介、というのがパターンでしたが、これがフロントクレジットは主要キャスト、主要スタッフのみ紹介し、エンドクレジットにまとめる(そしてキャストも台詞のある人はみんな出し、さまざまなスタッフの名前も最大限出す)となり、最近はフロントクレジットでの主要キャスト、スタッフの紹介もエンドクレジットにまとめる映画が増えました。なぜそのようになったのか理由を私は知りませんが、あるいはフロントに出す人の選別の問題かもしれませんね。
そのへんの事実関係はともかく、クレジットタイトルについてはちょっと調査しようかと考えていることがあります。調査したらまた記事を書きます。
くだくだしく書きましたが、これは前ぶれで、今日書きたいことは映画「俺たちに明日はない」でのちょっとしたエピソードです。この間の「レイジング・ブル」の記事で書いた
>こちらについても、こんどトリヴィアをお伝えしますのでお楽しみに
の話です。つまりクレジットタイトルに名前が出てこないとある女性の話です。もっともこの映画は、ごく少数の出演者しかクレジットには名前が出ません。
「俺たちに明日はない」で、ボニー・パーカー(いまさら説明の要はないでしょうが、フェイ・ダナウェイが演じました)が、母親その他の身内と会うシーンがあります。
ここでボニーの母親を演じている人が、メイベル・キャヴィット(Mabel Cavitt)という女性です。彼女の出演には、こんなエピソードがあります。
このシーンは、テキサス州のレッドオークという街で撮影されました。その時撮影現場を見物していた一人の女性に、この映画のスタッフが気づき、映画に出演することを依頼しました。彼女は地元の学校の教員でした。これがメイベル・キャヴィットだったのです。
正直ボニー・パーカーの母親にしては少々歳がいっているような気がしますが、スタッフたちの注意を引いたというのは、やはり独特の雰囲気を感じたのでしょう。
こちらがキャヴィット家の墓で、メイベルは、ちょうど88歳でお亡くなりになったのですかね。まさに、25年前の本日11月26日です。こちらのサイト(上の3枚の写真も、こちらからのものです)によると、彼女に着目したのは監督のアーサー・ペンだったそうで、メイベルの疲れ切った容姿が、まさにボニー・パーカーの母親をほうふつとさせたということのようですね。1日100ドルのギャラをもらって、2日間の撮影で225ドルを彼女は受け取ったとか。当時(1966年撮影)としては悪くない小遣い稼ぎだったでしょう。10月の撮影だったとのことですので、彼女は、66歳の誕生日を迎える前だったということですね。
ついでながら、同じサイトには、C.W.モス(マイケル・J ・ポラード)の父親を演じて、最後にボニーとクライドを売り渡すダブ・テイラーに、「なんでそんなことをしたんだ」とその行動を非難する手紙が来たとも書かれています。C.W.モスは架空のキャラクターで、実際の犯罪者たちをあわせた人物です。俳優も、自分の役柄まで非難されては大変です。
なお、この映画の日本語版では、ウォーレン・ビーティ(すいません、「ベイティ」はどうしても嫌なので、この表記にします)の声を野沢那智が担当しています。やはり野沢さんのビーティの声はいいですね。ダナウェイはおなじみ平井道子です。現在発売されているソフトでも聞けますので、興味のある方はぜひ。
ウォーレン・ビーティは、私にとって永遠の憧れの存在なんです。彼についてもまた記事を書きます。
なお、上の記事を書くにあたっては、「俺たちに明日はない」英語版Wikipediaも参照しました。これからも、映画についてのちょっとしたトリヴィアを書いていきますので、乞うご期待。