前に
>映画の出演者が「あの人だったら・・・」と想像するのは、最高の楽しみかも
という記事を書きました。今日は、またそのネタを。
昨日の記事で、「俺たちに明日はない」の出演者のエピソードを記しました。今回は、この映画の出演をオファーされた人たちをまずは紹介しましょう。
実は、ウォーレン・ビーティはプロデュースに徹する予定だったので、ボニー・パーカー役は姉のシャーリー・マクレーンにしたかったのですが、ビーティ自身がクライド・バローを演じることとなり、そうなると姉のマクレーンを起用するわけにもいきませんから、様々な女優がリストアップされました。まずジェーン・フォンダ、チューズデイ・ウェルド、アン=マーグレット、キャロル・リンレイ、スー・リオン、シェール、ビーティと「草原の輝き」で共演したナタリー・ウッドもリストアップされました。正直言って、今となってはフェイ・ダナウェイ以外のボニー・パーカーなんて想像できないという気すら個人的にはしますが、わりといろんな女優たちが候補になったのだと思います。スー・リオンやシェールはさすがにその柄じゃないだろという気がします。あと、ジーン・ヘイルという女優も候補でした。彼女は、ダブニー・コールマンの元奥さんです。
なお、ビーティ自身は、クライド役にボブ・ディランを起用したいという意向があったとのこと。ディランのクライド・バローなんてものすごくよさそうですが、でもビーティにはかなわなかったでしょうね、きっと。
また、デンヴァー・パイルが演じたハマーでなくヘイマー(映画を見た人なら、このネタはわかるよね)は、はじめモーガン・ウッドワードが決まっていました。しかし、「暴力脱獄」とかちあったので、これがデンヴァー・パイルに回ったというわけです。「暴力脱獄」のこの人を演じた俳優です。
サングラスの怖い看守長です。
さて、その「暴力脱獄」ですが、実は主演のポール・ニューマンの役は、はじめジャック・レモンに依頼があったのです。しかしシナリオを読んだレモンが、これは自分よりニューマンのほうが向いていると判断したので、自らはプロデュースに専念しました。この映画を製作している「ジャマル・プロダクション」というのは、レモンが社長の会社で、この映画のプロデューサーであるゴードン・キャロルはこの会社の副代表とのこと。そして、前に記事にした「幸せはパリで」は、同じ会社の制作で、プロデューサーも同じ、監督も同じステュアート・ローゼンバーグです(笑)。
だから私は、この映画は、レモン主演の映画が最初に企画され、その相手役にカトリーヌ・ドヌーヴが抜てきされたのではと推測しています。当時の2人の映画界での立場を考えれば、ドヌーブの企画が先にあったと考えるより、レモンの企画があったと考えるのが自然でしょう。ただし、もちろんドヌーヴの企画にレモンがのっかったという可能性もありますので、今後情報を仕入れたらこのブログでまた報告します。
話が飛びました。もともとのシナリオは、主人公としてレモンのほかにジョージ・ケネディの役にテリー・サヴァラスも意識していたとのこと(IMDbでの情報。英語版Wikipediaによるとニューマンの役)。また、ニューマンの母親を演じたジョー・ヴァン・フリート(「エデンの東」で、ジェームズ・ディーンの母親を演じた人。ディーンの双子の兄弟を演じたリチャード・ダヴァロスも囚人役で出演しています)の役は、ベティ・デイヴィスにオファーされていました。
で、この「暴力脱獄」が作品的にも興行的にも大成功したのでニューマンはレモンに強く感謝し、「明日に向って撃て!」のサンダンス役にレモンを招こうとしたのですが、レモンが乗馬が苦手とのことでこれは破談になりました。そもそもは、スティーヴ・マックイーンがニューマンの相手役だったのですが(ニューマンと共同で脚本の権利を買ったのです。マックイーンは、ブッチの役)、これもマックイーンが企画から離れ、ほかにもウォーレン・ビーティやマーロン・ブランドも候補だったのですが、最終的にまだ知名度の高くなかったロバート・レッドフォードが役を得ました。
それで、監督のジョージ・ロイ・ヒルとニューマン、レッドフォードのトリオで制作された「スティング」のレッドフォードの役は、ジャック・ニコルソンも候補でした。ジョニー・フッカーは、ニコルソンはちょっと違うんじゃねーのと感じますが、でもニコルソンがフッカーをやる可能性もあったわけです。ウォーレン・ビーティも候補でした。ってことは、ヒルかニューマンが、ビーティにこだわっていたのかもしれませんね。また、ロバート・ショーの演じたドイル・ロネガンは、リチャード・ブーン、オリヴァー・リード、スティーヴン・ボイドもリストアップされていました。ボイドは、「ベン・ハー」で、チャールトン・ヘストンのライバルを演じた俳優です。
ほかにもいろいろ書きたいネタはたくさんありますが、これは(3)でまたご紹介したいと思います。なお、この記事を書くにあたって、英語版WikipediaとIMDbを参考にしました。