本日は、シェムリアップ、バンコク、成都紀行(2017年12月~2018年1月)(49)の続きの記事を発表するつもりだったのですが、ちょうどこの記事にもかかわるかなりとんでもない事件が起きたので、その関係の記事を。こちらの記事をお読みください。。
>日本人がカンボジアで強盗殺人 動画で取り調べの様子拡散
公開日:2019/03/18 19:13 更新日:2019/03/18 19:13
日本国籍の20代の男性2人が17日、“強盗殺人”容疑でカンボジア警察当局に捕まった。
逮捕されたのは、いずれも職業不詳の23歳、中茎竜二(本籍福島県)と石田礼門(同千葉県)両容疑者。
現地の報道などによると、2人は17日夕方、世界遺産アンコールワット遺跡群で知られるカンボジア北西部シエムレアプをタクシーで移動中、車内で運転手の男性(40)の首をナイフで切り、殺害。
「2人は、首を切られて血まみれの男性を路上に放り捨て、車を奪って逃走しましたが、300メートルほど走ったところで衝突事故を起こし、犯行が発覚、逮捕されたそうです。2人は地元の警察に『金が欲しかった』と話しているといいますが、タクシーの売り上げ目当てではなく、現地で強盗に使うための車を奪おうとした。2人は日本で借金があったそうです」(カンボジア在住ジャーナリスト)
事件は現地でもセンセーショナルに報じられている。
「市民は怒り心頭です。怒った市民が2人を襲撃する恐れがあるので、2人の身柄は地元警察から州警察に移送されたそうです」(前出のジャーナリスト)
市民が怒るのも無理はないが、驚くのは地元警察が、2人のパスポートや取り調べの様子まで公開していることだ。
「2人のうち1人が後ろ手に手錠をかけられ、上半身裸にされて取り調べを受ける様子が動画サイトにアップされています。血まみれの遺体の写真も拡散している。カンボジアでは容疑者の個人情報を公開するのが普通なので……この先? 殺人罪で起訴され、裁判を受けるという手続きは日本と大きく変わるところはありません。ただ、外国人向けの刑務所があるわけでもなく、日本と比べて刑務所の環境は良くありません」(前出の地元関係者)
ちなみに、カンボジアに死刑制度はない。2人は人生の多くを贖罪に費やすことになるのだろうか。
Siem Reap 17/03/2019 (1)
記事にもありますように、取り調べの模様が動画で公開されていますし、パスポートの写真も発表されています。見て気分が悪くなる方もいるかもですが、冷厳な事実として。
この記事にはそこまで書かれていませんが、2人はタイ国境の街ポイペトからシェムリアップ(新聞マスコミと表記が違いますが、拙記事と併せてこの表記とします)へ車で走らせたようです。ということは、これは昨年私がバスで通った道ですから、たぶん犯行現場を私は通っている可能性が高いと思います。通っていなくても、たぶんそんなに遠くはない。
石田容疑者は、元自衛隊員らしいということも明らかになっています。記事でも指摘があるるように、カンボジアの刑務所が、受刑者に対して甘い処遇とは思えませんので、もしカンボジアで服役するとなると、相当厳しい懲役生活になるかと予想されます。だいたい日本の刑務所は一応更生施設ですが、世界では、ずばり懲罰施設であることも珍しくない。動画から判断したって、カンボジアの警察は容疑者に過酷な取り調べをするでしょう。
それで私は、最初この事件を知った時、「???」でした。なんで日本人が、カンボジアで強盗殺人をするのか。借金があるとのことですが、日本で特殊詐欺でもしたほうが、よっぽど金になるじゃないですか(別にしろとは言いませんが)。はじめ暴力団かなと思ったのですが、しかし23歳とかの年齢で暴力団の構成員としてカンボジアでこんなシノギ(いけね、俗語使っちゃった)をするわけもない。どうしようもない馬鹿が、後先のことを考えず、ここまでしてしまったのか。
で、私が思ったのは、組織犯罪とかでなく、いわゆる発展途上国で日本人がこのような重大な犯罪をする時代になったのだなあということです。フィリピンその他で日本人の暴力団などが殺人をふくむ重大事件を犯すことはありました。また、いわゆるテロ行為を日本人がすることもありました(日本赤軍など)。またホームレスほかの人が暴力団関係者などからスカウト(?)されて、中国辺りでドラッグの密輸をしようとして逮捕、死刑判決を受けて執行された事例もあります。あるいは、女性関係などで、相手を殺してしまったような事件ももちろんあります。
しかしですよ、日本人が今回のように、発展途上国でこのようなかなり場当たり的な強盗殺人をして、しかも第二第三の事件も考えていたというのは、ちょっと知りませんね。初めてではないかもですが、日本の歴史の中でも、少なくともパスポートを自由に取れて海外渡航が自由にできる時代以降では、かなり珍しい、特異な事件じゃないですかね。
どのような理由でカンボジアに来たのか、いつ強盗をしようかと決意したのか、カンボジア以前に滞在したであろうタイではそのようなことをしようとは考えていなかったのか、いろいろわからないところだらけですが、ただやっぱり日本人がカンボジアに渡航して、このような強盗殺人事件を起こしたというのが、私にはものすごく時代の変化を感じますね。いいとか悪いとか、いやもちろん強盗殺人は最初から論外に悪いことですが、それはともかく。
もちろん今後日本人が、このような事件をそこらじゅうで起こすということもないとは思いますが、豊かな国の人間が、このような金銭目的の事件を貧しい国で起こすという倒錯した現象というのは、グローバル化や海外渡航が容易になるといった事情と不可分なのでしょうが、それにしてもです。被害者の運転手さんのご冥福を祈ってこの記事を終えます。最後に、関連する写真を掲載します。出典は、こちらのサイトより。車の壊れ方などを見ると、2人も相当あせったらしいですね。