私の母から聞いた話です。母の友人(母は顔が広いので、実にいろいろな友人・知人がいます)の女性とのこと。
その家は、母の友人の女性が元教員(定年数年前に退職したとのこと)、その夫が、退職直前のやはり教師です。
で、その女性が家にいると、突然学校(?)から電話がかかってきたというのです。
大要次のような内容とのこと。
「あなたの夫が、生徒(高校生か中学生、さすがに小学生ではないでしょうけど)に手を出していま問題になっている。示談に500万円必要だ」
そして、いま校長室だかに先方の親と弁護士まで来ているというのです。
そのような事件があったというのも信じがたいものがありますが、仮に本当にそういうトラブルがあったとして、今すぐ500万円必要だ、っていうのは変ですよね(笑)。別に先方だって、今日明日のうちに金をもらわなければだめだ、とは言わんでしょう(笑)。当たり前ですが、示談にするにしても、書類作成などいろいろ手続きが必要です。
ところがこの女性は、それを信じてしまったというのです。ただちょうどこの時来客中で、このような話をつめる状況でもなかったので、彼女は(疑わずに)言ったというのです。
「分かりました。では、またあとでご連絡ください」
客に帰ってもらい、彼女は次なる連絡を待ちましたが、電話がきません。夫にも確認の電話(携帯)を入れましたが、応答なしです。「しょうがないな」と夫のことを考えながら、夜になって帰ってきた夫を彼女はなじりました。
すると夫は、「馬鹿いうな」とあきれ返ります。携帯にもかけた話をすると、授業中なんだから出られるものかとの返答です。それでようやくだまされそうになったと気づいたというのです。
つまりだます側は、女性が確認の電話を夫その他に入れることを予想して、ターゲットにすることを断念したということでしょう。彼女は本気にしていたのですが、時間が空くと当然発覚する可能性が高いわけですから(携帯に彼女の夫が出なかったのは単なる偶然です)、ここで引き下がったのは詐欺をする側としては妥当な判断です。
でも、人間て、だまされる時は簡単にだまされちゃうのかもしれませんね。(冷静に考えれば)そんなにすぐ現金の支払いなんか必要なはずはないし、夫でない第三者(この件は、さすがに先方は夫であるとは名乗らなかったようです)からそんな電話がかかってくるというのも変な話です。
で、私にも、数年前だかに妙な葉書(葉書でそのような連絡をするというのもどうかと思いますが)が届きました。有料サイトがどうしたこうしたで連絡乞うだか法的手続きを進めるとかありました。
特に身に覚えもなかったので、相手にしませんでしたらその後連絡もありませんでした。事務所(と称する住所)の所在地でも直接訪問して(事務所の中に入る気はしませんでしたが)確認してみようかと思いましたが、馬鹿馬鹿しいのでやめました。どうせ雑居ビルかなにかでしょう。
私の件もそうですが、当然ながらこういうのは膨大なはずれの中からたまにある「当たり」にヒットすればそれでいいわけですから、正直手あたりしだいにやってくるので実にいやですね。還付金詐欺なんかでも、なんで当方が金をもらうために当方が(ATMで!)金を振り込まなければいけないのかさっぱり見当がつきませんが、私の母の解釈によると、全体を把握せずにその場その場で解釈するからそうなるのだろうというのです。そういう母も、税金の還付詐欺で、ここに電話しろ(なぜ税金の還付を受けるために、別のところに電話をする必要があるのかというのも謎ですが)と指示された電話番号にかけてしまったことはあったといいます(笑)。もっとも母は、その時点で様子が変だと気づき電話を切ったそうですが。母は、私が言うのもなんですが、かなり疑い深い人間だと思いますが、それだってついつい引っかかりそうになることがあるということです。
脳のどっかが異常に興奮したり緊張したりすると、まともな判断が出来ないという話もありますし、たぶん私たちがだまされる時は、意外と簡単にだまされるということでしょう。というわけで、だまされないように読者の皆さんも気をつけてください。私ももちろん気をつけます。