過日、1審で死刑判決が出た裁判が、控訴審で無期懲役に減刑されたことがありました。この件で検察側が示す上告理由について「おや」と思いました。以下記事はこちら。魚拓も。
>検察「裁判員判決尊重を」 死刑破棄に異例の上告趣意書
2013年12月26日07時31分
裁判員裁判の死刑判決を初めて破棄した6月の東京高裁判決をめぐり、東京高検は25日、「一般市民の量刑感覚を個々の裁判に反映させるという裁判員制度の趣旨を損なう」とする上告趣意書を最高裁に提出し、要旨を報道機関に公表した。検察が上告趣意書の内容を公表するのは異例だ。
最高裁は昨年2月、覚醒剤の密輸事件で、「事実認定がよほど不合理でない限り、裁判員裁判の判断を尊重すべきだ」との判断を示している。検察側が上告理由に、この判例への違反を挙げるのは今回が初めて。
男性1人が殺害された強盗殺人事件で、東京地裁の裁判員裁判判決は2011年3月、無職伊能和夫被告(62)に対し、自分の妻子を殺害して20年服役した前科を重視して死刑を選択した。だがプロの裁判官で審理する高裁は今年6月、前科を重視して死刑とした過去の判例と比較。多くは無期懲役の仮出所中に前科と似た罪を犯していたが、伊能被告の前科は、今回の金目当ての犯行との類似性はないとし、「一審は前科を重視しすぎた」として無期懲役に減刑していた。
東京高裁は10月にも裁判員裁判の死刑判決を破棄。検察が上告している。
記事中
>一般市民の量刑感覚を個々の裁判に反映させるという裁判員制度の趣旨を損なう
というのは変な話ですよね。だってこんなこと言っていたら、今後検察は、裁判員裁判に関しては、量刑不当による控訴をすべきでない、っていう話になりますよ。でも量刑不当で今後も控訴するんだろ?
最高裁の
>事実認定がよほど不合理でない限り、裁判員裁判の判断を尊重すべきだ
というのもどうかと思いますが、量刑っていうのは、無罪を争っているのでない限り裁判の最大の焦点であるわけで、裁判員裁判なら、上級審も地裁の量刑に倣うべきったって、検察、弁護側双方そうはいかんでしょ。弁護側がそういう主張をするのならまだしも、公訴権を持つ国家機関である検察がそういう主張をするというのはどうかです。
個人的には、
>一般市民の量刑感覚
より裁判官の判例と日々の勉強に基づいた判断のほうがよっぽど信頼できると思いますが、 量刑に市民感覚を適用するとは、まさに悪しきポピュリズムもここに極まったりです。困ったものです。
記事のヒントをいただいたapesnotmonkeysさんに感謝いたします