過日このような記事を書いて発表させていただきました。
事情がある程度わかってくるのは今後だが、たぶん安倍晋三も、「つくる会」系の教科書に展望を持ていないのだと思うこの時は、分裂した後の「つくる会」が作成した中学校用歴史教科書(自由社)が、教科書検定で不合格になったというを、「つくる会」側がフライングで公表したというものであり、その件を論評したものですが、あらためて文部科学省側から教科書検定の結果が発表されました。
>中学新指導要領対応、初の教科書 「深い学び」ページ数最多 文科省が検定結果公表
毎日新聞2020年3月24日 14時10分(最終更新 3月24日 20時07分)
文部科学省は24日、2021年度から使われる中学校の教科書の検定結果を公表した。21年度から中学校で全面実施される新学習指導要領に対応する初めての教科書となる。すべての教科書に、議論や課題の探求を重視した「主体的で対話的な深い学び」(アクティブラーニング)を実践するための工夫がみられた。新学習指導要領で学習内容が増加したことなどによって、全10教科の平均ページ数は現行本と比べると7.6%増となり、04年度の検定以降で最多となった。
今回の19年度検定では、10教科で115点の申請があり、106点が合格した(一度、不合格になった後に再申請して合格した1点も含む)。国語と外国語で5点の申請が取り下げられた。
新学習指導要領は思考力、判断力、表現力の育成を重視し、授業では生徒の議論や発表などを積極的に取り入れるよう求めている。今回の教科書は、各章の冒頭に学習の目的を明示して主体的な取り組みを促したり、各章の終わりに学んだ内容を踏まえたグループディスカッションにつなげたりする構成が目立つ。
道徳を除いた9教科の平均ページ数の合計はA5判に換算すると1万261ページで、「ゆとり教育」と呼ばれた時代の04年度検定時に比べ約1.5倍増となった。文科省はページ数増の理由について「読み物の教材に加え、発問やグループワークの工夫が盛り込まれた。アクティブラーニングがより充実した結果だ」とみる。「教える量」の増加が教員の負担増につながりかねないとの指摘もあるが、文科省は「分野ごとに軽重を工夫すれば、教えきれない内容でない。教員の負荷に直接つながらない」と強調した。
今回の検定で、教科書の内容が学習指導要領や検定基準に沿っていない場合などにつけられる検定意見は4775件(前回比121件増)だった。【水戸健一】
初の「一発アウト」 「つくる会」歴史など2点
今回の検定では著しく欠陥が多いとして、歴史と技術でそれぞれ1点が不合格となった。いずれも年度内の再申請を認めない「一発アウト」が初めて適用された。
このうち1点は「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆する自由社の歴史の教科書。つくる会は「無理筋の検定意見を強引に絞り出した結論ありきの検定だ」として文科省に措置の撤回を求めている。
小・中学校の教科書は検定意見がついても修正すれば年度内に再申請できる。ただ、2016年4月、「審議の時間を十分に確保する」という理由で、検定意見が100ページあたり120件以上、または基本的な構造に重大な欠陥がある場合、年度内の再申請を認めないというルールが新設された。
自由社の歴史教科書についた検定意見は314ページで405件あり、新ルールが初適用された。「日本の皇室は、神話の時代から現代まで続く」という表記について「神話と現代がつながっていると生徒が誤解する恐れがある」という指摘などがあった。【水戸健一】
つくる会教科書と同根である育鵬社(フジサンケイグループである扶桑社の100%子会社、事実上教科書作成・発行のために作られた出版社)の教科書は、合格したわけです。私は、上の記事で
>私は、安倍晋三は、自由社の教科書を発売させずに育鵬社の教科書に「つくる会」系の教科書を統合しようと考えているのではないかと予想しています。安倍の思惑は現段階わかりませんが、仮に育鵬社の教科書が検定合格すれば、右翼系の教科書を採択しようと考えるところは、育鵬社と自由社との比較ができませんから、育鵬社の教科書を採用しようかということになります。
と書きました。私の考えが正しいかどうかはわかりませんが、安倍の思惑はともかく右翼系の教科書を採択したければ育鵬社の教科書になるということ自体はそうなったわけです。
さてさて、今回の教科書検定とは直接関係ない話ですが、藤岡信勝は、2017年(つまり今回の検定が行われた2年前の時点です)に次のような記事を書いています。
発表場所は「国家基本問題研究所」のHPですが、そもそも教科書問題って、国家基本問題研究所が扱うようなことなのかよというレベルで不審です。ここ、自称するところによれば、安全保障とかそういうことを考える自称シンクタンクじゃないですかね。上の藤岡の記事なんて、単なる右翼言説じゃないですか。
それはともかく、藤岡の書いていることをつまみ食いして批判しますと・・・。
>第一に、教科書採択に対する圧力といえば、従来の自虐的な歴史教育の偏向を正す立場から書かれた『新しい歴史教科書』(扶桑社刊)の採択に対する、日教組や左翼陣営からの妨害事件があった。
私の認識では、例外はあるかもしれませんが、大多数はまともな「批判」だったと思いますが。右翼系の連中のほうが、後で紹介する「学び舎」の教科書についての攻撃のようなめちゃくちゃなことをしていると思います。藤岡が紹介している
>マークされた教育委員の自宅にカミソリの刃が送られた地方もあった。
なんていうことをした馬鹿でクズは、ごく少数でしょう。そういう連中と批判運動を同一視されては困るし迷惑です。ていいますか、藤岡がこんな記事を書いた2年後に行われた教科書検定で藤岡がかかわっている教科書が一発不合格になったわけで、「妨害事件」なんていうのならそれこそ日教組や左翼陣営なんて比較にならないくらい致命的な事件があったわけで、このくだりも、いまとなっては馬鹿げていて滑稽にもほどがあるというレベルの駄文になってしまいましたが。
>第二に、「学び舎」の教科書の偏向ぶりは凄まじいもので、日本がいかに悪逆非道であったかというアジテーションのオンパレードだ。執筆者には共産党系教育団体の役員も入っている。この進学校のPTAが知れば、ただではすまないシロモノだ。
「学び舎」の教科書は、別に(教科書なんだから当たり前ですが)副読本のたぐいでなく、文部科学省の検定を通過している教科書です。そもそもそういうものを批判すること自体が間違っている(呆れ)。だいたい
>日本がいかに悪逆非道であったかというアジテーション
なんて、日本が第二次世界大戦(というか十五年戦争ほかというべきか)で悪逆非道だったなんてことは、まあこういっちゃなんですが、そういったことを否定するのは、日本の右翼勢力くらいものでしょう。一般の国民ですら、そういうことは程度の差はあれ認めている人が大多数じゃないんですかね。「アジテーション」なんていうものではない。
>執筆者には共産党系教育団体の役員も入っている。
いや日本の左翼系の団体には、それはずばり共産党系の団体でなくても共産党系の人が役員に名を連ねるのは当然じゃないですかね。それは、「つくる会」やその分裂組織などに、日本会議や産経新聞、国家基本問題研究所の系統の人間が入っている(藤岡も当然その1人)のと同じでしょう。藤岡が居丈高に「学び舎」の教科書についてそれを非難するのは、どういう了見なのか。
>この進学校のPTAが知れば、ただではすまないシロモノだ。
で、その後なんかただではすまないことがあったんですかね(苦笑)。灘中の生徒の保護者だってそんなことは藤岡がこの記事を執筆する前から当然公知のものでしかなかったんじゃないんですかね。そもそも保護者が自分が通っている中学の教科書の選定についてああだこうだと意見を述べるというのは、まったくないとまではいいませんがそんなにある話ではないし、またこれも正直(そんなん社会常識のレベルですが)そんなことで学校に本気で抗議するほどの人物は、灘中の生徒の保護者の中には皆無ではなかったのかもしれませんが(どうなのかは知りません)、藤岡ほかが期待するほどの数ではなかったのでしょう。
>第四に、灘中学校の問題は大阪毎日放送の7月30日の特集番組が初めに火をつけ、多くのメディアがすでに取り上げていた。そのキッカケとなったのは、灘中の和田孫博校長のエッセイだった。その中でハガキの発案者である近現代史研究家の水間政憲氏を「日本会議の講師」と書いているが、事実無根の捏造だ。バックに日本会議や安倍晋三首相がいることを匂わせることで、灘中教科書採択問題を学校法人・森友学園への国有地払い下げ問題と加計学園の獣医学部新設問題に続く安倍政権倒閣運動の第三のネタにしようとする悪質な意図があったことを暗示する事実である。
あまりにばかばかしいので、ここはbogus-simotukareさんの批判をそのまま引用します。
>水間と日本会議に直接のつながりがあるのかないのかは知りません。しかし水間や藤岡らの主張「南京事件否定論」「河野談話否定論」などは日本会議と大して変わらない。仮に和田校長が「水間と日本会議に直接の関係はない」のに「ある」と勘違いしていたとしても別に不思議でもない。少なくともそれは捏造という話ではない。
むしろ「日本会議と俺達は関係ない、関係ないんだ!」と発狂する藤岡らの方が不思議です。そんなに日本会議と結びつけられることがいやなのか。日本会議に失礼ではないのか。大体「直接の人的、資金的つながり」が仮に水間や藤岡と日本会議にないとしてもお互い友好関係にあることは事実でしょうに。まあ、日本会議とつながりがあると言われると嫌らしいのは産経や安倍も同じようですが。
> デマも甚だしいですね。この件について言えば森友や加計とは違い「安倍の直接的関与」は今のところ「認められてない」ので安倍倒閣のネタにはなりようもないし、実際にされてない(今後安倍の関与が認められれば話は別ですが)。
まあ、この件(灘中への恫喝)には地元の自民党兵庫県議、自民党神戸市議が関わってるようなので「極右政治家・安倍氏がトップの自民党ではこういう事が今後も起こるだろう」つう形での安倍批判はありえますが、それ倒閣運動というのとは違うでしょう。
bogus-simotukareさんもご指摘ですが、ほんと産経新聞とか安倍晋三とかあるいは藤岡ほか極右の連中も、日本会議との関係を指摘されるとたいへん嫌がりますね。どう考えても連中は、イデオロギー的にもまったく類似しているわけで、連中がそういう態度なのも変な話です。つまりはこういう連中も、日本会議の評判が世間ではきわめて悪いというくらいの認識はあるのでしょう。
それにしても
>バックに日本会議や安倍晋三首相がいることを匂わせることで、灘中教科書採択問題を学校法人・森友学園への国有地払い下げ問題と加計学園の獣医学部新設問題に続く安倍政権倒閣運動の第三のネタにしようとする悪質な意図があったことを暗示する事実である。
ねえ(呆れ)。藤岡のうそつきぶりのひどさも末期的ですね。かつて、勉強会などで藤岡と付き合いのあった人たちも、さすがにここまでのデマ屋ぶりにはあきれ返るにもほどがあるんじゃないですかね。これでもまだ藤岡についていっているのは、プロ右翼の連中くらいではないか。
それでこんなデマを流したにもかかわらず、よりによって自分が口を極めて非難した学び舎の教科書が、これまたよりによって安倍政権下の文部科学省の検定で検定合格して、自分たちが執筆作成した教科書が「一発不合格」になったなんて、馬鹿で滑稽にもほどがある話です。藤岡も、あるいは「つくる会」の幹部である会長の高池勝彦ほかも、あまりの無様で無残な事態に絶句ものじゃないですかね。それでいて連中は、行政訴訟には及び腰なのだからこれまた腰抜け、口先だけ、チキンなのにもほどがあるというものです。家永訴訟みたいな左翼(かどうかなんて、この際関係ないでしょう。裁判するのは当然の権利です)の真似はしたくないとか、安倍政権や産経ほかと決定的に悪い関係にはなりたくないとか(正直もうここまで来たら、「改憲」のために安倍批判はしたくないなんていうレベルではないでしょう)、そんなような腑抜けた理由なのでしょうが、まーったく口先だけにもほどがある連中です。どうしようもないとはこのことです。まあ行政訴訟については今後やるのかもですから、これは私も注視していきます。
要するに私が何を言いたいかというと、育鵬社の教科書はそうでもないのかもですが、藤岡とかつくる会とか自由社の教科書なんてものは、かつてはいざ知らず、いまの安倍晋三ほかにとっては、斬って捨てても平気なものでしかないということです。つまりは見捨てられたということです。そういうことは、絶対藤岡は公然とは認めたくないでしょうが、自分でもそれは内心認めているでしょう。
以上は事前にわかっていた話ですが、もう1つ「従軍慰安婦」という言葉が教科書に復活したということも非常に興味深いですね。産経新聞は、(自由社が検定不合格になれば自社系列の教科書のシェアが増える可能性がある)ある意味当然でしょうが、自由社の検定不合格より、こちらの方が強いショックのようですね。調べたのですが、この件を問題にしている全国紙は、産経ばかりですね(苦笑)。もちろんネットには上がっていない、私が見落としたということもありえます。
https://www.sankei.com/life/news/200324/lif2003240040-n1.html
>「従軍慰安婦」の呼称復活 中学校教科書検定 自虐色強まる傾向も
2020.3.24 14:15ライフ教育
文部科学省は24日、令和3年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。合格した社会科の歴史教科書では、平成16年度検定以降は使われなくなっていた「従軍慰安婦」の呼称が復活。先の大戦で日本軍が「沖縄を『捨て石』にする作戦だった」などの記述もあり、一部で自虐色が強まる傾向がみられた。
検定には10教科計115点が申請され、社会科の歴史で自由社と令和書籍、技術家庭科でイスペットと教育図書が不合格になった。このうち教育図書は再申請して合格したが、自由社など3点は「欠陥箇所数が著しく多い」などとされ、年度内の再申請も認められなかった。ほかに国語など5点が申請を取り下げた。
(中略)
一方、先の大戦をめぐる記述では、歴史で2社が慰安婦について説明。このうち新規参入の山川出版は「戦地に設けられた『慰安施設』には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」と記述した。「従軍」をつけた呼称は不適切との批判が強く、現在の教科書では使われなくなっている。
また別の教科書で、南京事件で日本兵が民家に侵入し、15歳と13歳の少女を暴行して父母や祖父母らを殺害する様子を書いた文章や、日本軍が「(マレーシアなどで)多くの人びとを虐殺」「沖縄を『捨て石』にする作戦だった」との記述もあったが、検定意見はつかなかった。
(後略)
引用中の最後の段落の「捨て石」なんてのは、誰だって「そりゃそうだろ」と思うレベルのものかと思いますが、それはともかく。
いやー、安倍政権で行われた教科書検定について、よりによって産経新聞が
>自虐色強まる傾向も
ですか(苦笑)。これもおそらく産経ほか右翼連中からすれば「よりによって安倍政権で、この仕打ちかよ」じゃないですかね。
これについては、Apemanさんの記述をご紹介しますと。
>高校の教科書で有名な山川出版が新たに中学校の歴史教科書に参入したということ自体がニュース価値の高い情報だと思うのですが、もちろん産経の目のつけどころは違います。右翼のつまらない言い掛かりとは別に「従軍慰安婦」という呼称は支援団体も使わなくなっていますから、なんだったら「日本軍性奴隷」にしてもらってもいいんですけどね。
日本政府は河野談話を撤回していない以上、「慰安所」制度について記述すること自体を検定ではねるわけにはいかないはずではあるのですが、やはり学び舎という先例があったことで山川もとりくめた、ということかもしれません。(後略)
ということになるかと思います。安倍晋三も、河野談話の撤回・破棄はすでにあきらめているでしょう。
それで次のような記事も。同じく産経新聞の記事です。
>「木を見て森を見ず」自虐的な記述見過ごし、教科書検定の限界
2020.3.24 19:27ライフ教育
中学校の歴史教科書に、「従軍慰安婦」の呼称が復活することになったのは、教科書改善の流れに逆行するといえるだろう。ほかにも自虐色の強い記述が複数残り、検定制度の限界が垣間見える結果となった。
中学校教科書に「従軍慰安婦」が初めて登場したのは、平成8年に公表された7年度検定からだ。これがきっかけとなり、中国や韓国の主張を受け入れて日本の近現代史をことさら悪く描く自虐史観への批判が噴出。同年に新しい歴史教科書をつくる会が発足するなど、教科書改善の動きが強まった。
安倍晋三首相や萩生田光一文部科学相は自虐史観からの脱却に力を尽くした政治家だ。実際、安倍政権のもとで検定基準が改められ、政府見解を反映した記述などを求める項目が追加された。その結果、島根県の竹島や沖縄県の尖閣諸島などについて全社が「固有の領土」と明記するようになった。
なぜ改善の流れに逆行し、自虐史観が息を吹き返したのか。検定には静謐(せいひつ)な環境が求められ、大学教授らでつくる検定調査審議会が「密室」で審議する。審議会は文科相の諮問機関だが、専門性が高く、審議に入ると政治の意向などは入り込む余地がない。
検定意見を詳細にみると、字句などの細かな間違い探しに終始し、自国をおとしめる記述が複数見過ごされている。教科書に間違いは許されず、細部まで字句の誤りを正すことは必要だが、「木を見て森を見ず」になってはならない。
「従軍慰安婦」の呼称が復活した今、検定制度のあり方について問い直す必要があるだろう。(川瀬弘至)
デタラメにもほどがありますね(苦笑)。
> 安倍晋三首相や萩生田光一文部科学相は自虐史観からの脱却に力を尽くした政治家だ。実際、安倍政権のもとで検定基準が改められ、政府見解を反映した記述などを求める項目が追加された。その結果、島根県の竹島や沖縄県の尖閣諸島などについて全社が「固有の領土」と明記するようになった。
なぜ改善の流れに逆行し、自虐史観が息を吹き返したのか。検定には静謐(せいひつ)な環境が求められ、大学教授らでつくる検定調査審議会が「密室」で審議する。審議会は文科相の諮問機関だが、専門性が高く、審議に入ると政治の意向などは入り込む余地がない。
産経としては、この検定結果は安倍政権の真意ではない、政権以外のせいだと強弁したいわけですが、産経もこれを書いた川瀬という記者も、当然そんなことは考えていない。安倍とか萩生田とかいう連中は、森友や加計、あるいは あいちトリエンナーレへの補助金不支給や映画「宮本から君へ」への補助金不支給など、めちゃくちゃなことをする連中です。あるいは、これは教育関係の件ではないが、自分が嫌いな自党候補を落選させるため、地元の県連の反対を押し切って新人候補を擁立させて、嫌いな候補を落選させる(それで、その件でその候補や地元県連の怒りを買い、当選した候補が窮地に立っているのだから、馬鹿にもほどがありますが)など、ちょっとまともな人間ではとてもしかねることをやるのが安倍晋三という人物です。
選挙に無理があったことが、この件の遠因ではないかという気がする(河井案里の不祥事)で、安倍の真意を最終的に確認できるわけではもちろんありませんが、つまりは安倍にとってもはや「従軍慰安婦」という用語を教科書に入れるかどうかというのはどうでもいいこと、どうしようもないこと、いまさら介入するつもりもないことでしかない、ということでしょう。安倍も萩生田も、そういうことを「絶対だめだ」と考えたとしたら、それを見てみぬふりをするほど甘い連中ではありません。
が、一部の狂信右翼の連中は、そういうことを絶対認められないみたいですね(呆れ)。たとえば次のようなものはどうでしょうか。
【文科官僚のクーデター?】
左翼利権か、中韓への忖度か、それとも、前川喜平氏の怨念か…。「#従軍慰安婦」の呼称は復活するも、過去に合格した「つくる会」の教科書は不合格。極めて異例です。「教科書検定問題徹底追及第2弾!」(5月号https://t.co/eaX67mUeMn)は必読!https://t.co/0jkbyFhixc
こういうのを「つくる会」がリツイートしているというのも馬鹿にもほどがあるというものですが、連中としては「自分たちは安倍に見捨てられた」「安倍は我々を裏切った」とは認めたくないようです。まあ安倍は絶対いつまでも我々の味方だなんて勘違いしていたこいつらが馬鹿でクズなだけですが。嘘つき、デマ屋にもほどがあるというものです。どんだけ落ちぶれてもここまでの嘘つきや馬鹿やクズにはなりたくないものです。こちらもbogus-simotukareさんのご指摘を引用すれば
>「文科官僚のクーデター」「左翼利権*2」「前川氏の怨念」とはばかばかしくて話になりませんね。本心ではそんなことをつくる会も花田も何一つ思ってないでしょうに。いわゆる「オッカムのカミソリ(最もあり得る合理的な考えのこと)」を使えばあり得る考えは「安倍首相と萩生田文科相がつくる会不合格も、学び舎合格も、慰安婦記述も容認した」、これ以外にはあり得ません。「安倍や萩生田が何ゆえそうしたのか(秋の習主席訪日のための条件整備?)」はともかく、「安倍と萩生田が容認したこと」を否定するまともな根拠が一体どこにあるのか。
なお上の引用での
>「左翼利権*2」
での「2」の注釈では、
>むしろこの件は「育鵬社利権」でしょうよ。大体「学び舎」はともかく他の教科書出版社は左翼とはとても言えません。
というご指摘もあります。
あ、もちろん安倍晋三あるいはポスト安倍の自民党首相が今後どのように教科書検定をするかというのは今後も注視していかなければなりませんよ。自由社にやったのと同じ伝で学び舎の教科書に一発不合格処分をするという可能性も否定は(当然)できない。が、いずれにせよ今回の教科書手検定のてんまつは、いろいろな点でかなり興味深いですね。3月26日の「産経抄」にこんな記述があります。会員登録が必要な記事ですので(無料記事とはいえ、産経新聞に会員登録なんかしたくないので。有料は論外)、bogus-simotukareさんの記事から引用しますと(URLは、上の引用記事と同じ)
>教科書の記述の偏りに危機感を強めていた言論人は、「新しい歴史教科書をつくる会」を発足させた。自民党の若手議員も立ち上がった。「歴史教育のあるべき姿は、自身が生まれた郷土と国家に、その文化と歴史に、共感と健全な自負を持てるということだ」。
その一人だった安倍晋三首相の発言である。
>平成16年度の検定以降は使われなくなっていた「従軍慰安婦」が、令和3年度の教科書で復活する。「南京事件」などで、日本軍の冷酷さを強調する記述も目立つ。一方で、「つくる会」が執筆する教科書は不合格となった。一体、何が起こっているのか。
つまり多くの人が教科書に無関心になった結果、「従軍慰安婦」が亡霊のようによみがえった。
つまり安倍晋三や萩生田らも、無関心になったということですね(苦笑)。以前安倍が、フジテレビの日枝に、産経を助けてやってくれと泣きついたなんて話がありました(首相のくせにどんだけ非常識で馬鹿なのよとは思います)が、たぶん安倍からすると、こういったことへの埋め合わせという部分もあるかと考えます。産経が安倍を絶対支持している背景には、そういう部分も大きな要素であるわけです。こんな馬鹿でクズなこと、安倍以外の首相はしないでしょう。
今回の記事は、Apemanさんとbogus-simotukareさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。