とっくの以前からわかっていた話ですが、この数日で動きがあったようですので、ちょっと記事にしてみます。
ここしばらくで、政治関係でいくつか興味深いニュースがありましたね。まずはこちらを。
>安倍首相、検査のため慶大病院に 約7時間半滞在し帰宅
2020年8月17日 19時01分
安倍晋三首相は17日午前、検査のため慶応大学病院(東京都新宿区)に入り、約7時間半滞在した。首相周辺は「夏期休暇を利用して休み明けの体調管理に万全を期すため、日帰り検診を受けている」と説明している。
首相はこの日午前10時すぎに東京・富ケ谷の自宅を出発。同30分ごろ同病院に入り、約7時間半後の午後6時過ぎに病院を出て自宅に向かった。病院関係者によると、首相が6月に受診した人間ドックの追加検査だという。自宅に到着した際、記者団から「体調はいかがですか」と質問が飛び、首相は「お疲れさま」とだけ答えた。
首相は例年、お盆の時期に地元・山口県下関市に帰省したり、山梨県鳴沢村の別荘を訪れて静養したりしているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて見送っている。官邸幹部によると、首相は現在のところ18日まで公務を入れていないという。
安倍首相の体調をめぐっては、一部週刊誌などで健康を不安視する報道があり、菅義偉官房長官は今月4日の記者会見で「まったく問題ないと思う」と体調不安説を否定していた。
安倍の場合、血を吐いたとかどうも物騒な話も飛び交っていますが、体調が悪いのなら、それならなんとかせいということだし、国会を開きたくないから逃げているというのなら、それは論外ではあります。さっさと首相を辞任しろということでしょう。
で、こんな時に病院にまた行ってそれが大々的に報道されるようでは、やっぱり安倍の自民党総裁4選というのはないのでしょうね。ついこの間まで、安倍一強なんていう言葉が新聞ほかに舞っていましたが、それももはや過去の話です。
ただ安倍自身、昨年の参議院選挙の前時点でも、だいぶ改憲については厳しいと考えていたんじゃないんですかね。ロシアと北方領土問題を解決し平和条約を締結する、それで19年の参議院選挙で大勝し、改憲に進む、みたいな観測を読んだことがありますが、平和条約締結も北方領土も進展なしでした。その時点で産経新聞も、安倍の改憲戦略に対する不安を記事にしていました。
産経新聞も、安倍や自民党の改憲に対する姿勢には相当の不満があるようだ上の拙記事で引用した産経新聞の記事(社説)のタイトルは、
>自民党の運動方針 憲法改正へ機運の形成を
であり、さらに記事中には、
>憲法改正を進めるには、憲法改正を求める国民の機運を一層高めなければならない。
首相も自民党も、憲法改正のかけ声は高らかだ。けれども、国民の間へ分け入って、改正の必要性を訴え、賛同の輪を広げる努力は必ずしも十分ではなかった。
今年は、統一地方選挙や参議院選挙が予定されている。
憲法改正は自民党の党是である。同党の各選挙の候補者や議員、党員は、例年にも増して有権者に接するだろう。その機会を通じ、憲法改正の必要性を繰り返し訴えなければならない。
とあります。要は事実上、安倍も自民党も、改憲なんて口先だけじゃないかという主張です。「機運の形成」だから、機運すらない、と産経の社説は主張しているわけです。で、この記事の日付が、2019年2月11日です。それから1年半たちました。改憲の機運て高まっていますかね? 私が護憲派だからひいき目に見ているということがないとは言いませんが、別に高まってはいませんよね。護憲・改憲がそんなに決定的な要因ではないとしても、最近安倍政権支持率はだいぶ低くなっている。安倍は、大要自民党(安倍)政権は、(民主党政権と違って)危機管理に強いというようなことを主張していましたが、現段階とてもうまくいっているとも思えない。それどころか記者会見すらろくに開かれない、こういう態度で「改憲」でもないだろうというのは、たぶん多くの有権者も感じているんじゃないんですかね。
それで現在、あれだけ安倍を支持している産経新聞すら、ポスト安倍関係の記事をいろいろ書いています。
ほかにも「ポスト安倍」とうたわなくても、安倍後の首相候補の関係の記事を産経も書いています。
安倍4選がなければ安倍改憲は時間切れでしょう。産経も、記事でそれを認めはしなくても、安倍改憲はできないという覚悟はしているでしょう。
そうなると、東京都知事選投票日に発表した記事のようになってこないですかね。
現在の安倍政権は、美濃部、鈴木、石原の3都政の最終期に近くないか自民党の規約を変えて3選可にしてなったはいいが、安倍政権にこれといって成果があるかというと、「どうもなあ」というのが大方の意見じゃないんですかね。どうもお粗末なところが多い。統計不正とか桜の会とか。森友・家計なんて論外ですが、こちらもひどい。
さてさて、もう1つ、こちらの方もかなり決定的なような気がします。
>国民民主党、立憲民主党との合流正式決定へ
19日 14時15分
国民民主党は19日午後、両院議員総会を開き、立憲民主党との合流を正式に決定する方針です。
国民民主党は午後、地方組織を集めた会議や国会議員による総会を相次いで開くことにしていて、立憲民主党との合流について議論が続いています。
両院議員総会では、立憲民主、国民民主の両党がいったん解散し新党を結成することや、新党の綱領案などが賛成多数で可決され、合流が正式に決まる見通しです。
玉木代表が表明した分党方針は正式な議題にならない見通しですが、合流に参加しない議員にも「一定の配慮」をするとし、具体的な対応は代表・幹事長に一任する方針です。
玉木代表ら数人が既に合流に参加しない考えを示しており、国民民主党は、立憲民主党に合流する議員と国民民主党に残る議員、無所属になる議員に分かれることになります。
昨年の参議院選挙では、Wikipediaの「選挙結果」によれば
>自公連立政権の与党は併せて改選定数124の過半数(63)を超える計71議席を獲得したが、改選議席(77)からは6減らした。非改選議員を含めた参院全体では自民・公明の連立与党、それに改憲に前向きな野党の日本維新の会と無所属を加えた「改憲勢力」の非改選議席は79と参議院における全議席の3分の2である85議席を超えず、日本国憲法改憲の発議が可能な圧倒的多数となる3分の2を確保できなかった。安倍自民党総裁は国民民主党の一部などの協力も得て、早期の改憲発議を目指す意向だという。
ということになります。安倍晋三も述べているように、立憲民主、共産、社民が安倍改憲になびく可能性の低さを考えれば、国民民主党を切り崩す、あるいは協力を得ることになります。が、けっきょくそれもできなかったということになります。立憲民主に合流しない人たちを糾合するのもなかなか難しいでしょう。少なくとも全員が全員安倍改憲に賛成するとも思えない。
実際問題として、安倍も、国民民主にかぎらずどれくらい切り崩しをしようとしたかも疑わしい。産経新聞も、これも前に指摘しましたが、参議院選挙後、「国民民主を切り崩して改憲派2/3確保だ!」なんて声高に訴えもしませんでした。いや、そういう主張の記事もあったでしょうが、そんなに目立ってはいないと思います。私が
野党共闘しなければ、参議院1人区は野党全敗ものだから、共闘しか道はないだろう(その他雑多な参議院選挙への感想)の記事で書いたように、
>産経も改憲についていよいよ改憲が実現するといったような期待感にあふれているようには思えません。あるいは産経新聞ではありませんが、次のような記事はどうでしょうか。
「議論していけという声をいただいた」議席が減ったのに、なぜか改憲に強気な安倍首相の“空耳力”
参院選直後の党首発言からにじみ出る、各党の本音
記事の内容についてはお読みいただければいいとして、首相に復活してからさえ6年半も首相をやっている人物が、なにをいまさら「議論していけという声をいただいた」だ、馬鹿、ですが、安倍としてもこんな程度のことしか言えないのでしょう。やっぱり意気の上がるものではありませんね。
ということなのでしょう。正直「議論していけ」なんていう声もろくにありはしないと思います。
与党である公明党ですらこの点で積極的に動いてくれる見込みも現段階高くないですからね。改憲に至るプロセスをものすごく単純化すれば、国会で2/3の改憲賛成派を確保し、国会で改憲を発議し、国民投票で勝つという3つの過程が山です。現段階、最初の山も非常に厳しい。おまけにコロナ騒動、もしやるとしたら来年のオリンピックと、改憲まで行く余裕はないのではないか。
ともかく安倍が長きにわたって首相をやっていてすらかくのごとく改憲機運が盛り上がらないというのは、ガチの改憲派にとっては相当な痛手じゃないですかね。もちろんポスト安倍でも相当強硬な改憲派が首相あるいは政府や自民党の幹部になる可能性がありますから、そのあたりは注意が必要ですが、ただ右翼連中は、安倍に異常に甘くても、他の極右系の議員にたいしては必ずしもそうでもないというのも、昔からの光景とはいえ奇怪な話です。
もちろん安倍改憲は終わりだ、もう心配しなくていいというものでもありませんから、この記事を読んでいるあなたが護憲派なら、これからも安倍改憲には最大限の注意をしていただければと思います。私もそうします。