過日の産経新聞に次のような書評が掲載されました。
【書評】『OKI 囚われの国』杉山隆男著 「現代戦」描く警世の小説 - 産経ニュース評・安藤慶太(正論編集部)
>島根県隠岐の島に独裁国家から送られた武装集団が襲来、あっという間に実効支配され、国内は大混乱、メディアも政権も右往左往する…。
そんなん単なるデマ小説じゃん(苦笑)。与太にもほどがある。いやフィクションだから与太でもいいけど、 こんなものが新聞社の書評欄に出るとはちょっと信じがたいですね。隠岐のような領有権に特に争いのない孤島をどこかの国(どこ?)が襲うというのもおよそ現実性がないですが、かりにそうなったとして、自衛隊だって日米安全保障条約の締結国である米国だって黙っちゃいないでしょうに。ていうか、杉山は最近自衛隊の提灯本ばかり書いているし、政治的にも日米安保絶対支持だと思いますが、どうやらこの小説では自衛隊も在日米軍もきわめて無能なんですかね(笑)。どんだけデタラメなんだか。
そもそもこの本は、
>本書は月刊「正論」に令和元年11月号から2年9月号まで連載された「緊急シミュレーション小説 202X年日本黙示録 OKIを奪還せよ」に加筆、修正された作品である。
であり、また
>扶桑社・1700円+税
です。つまりこの本、産経新聞社のオピニオン雑誌に連載されたものを産経新聞系列の会社で書籍化して、それを産経新聞で書評し、評者がその連載したオピニオン雑誌「正論」の編集者という始末なわけです(笑)。
これ・・・茶番劇というレベルですよねえ(苦笑)。
いちおうさあ、全国紙、地方紙なら共同通信の書評などになるでしょうが、新聞の書評というのは、一定レベルのまともな書籍を取り扱うものでしょう。でさあ、この本産経新聞以外で書評欄で取り上げられる可能性ありますかねえ(笑)。ないよね、おそらく。こんな本、まともな人間が書評するようなものじゃないから、「正論」の編集者が書評するなんていう始末になるわけです。
しかもその編集者が安藤慶太ですからね(笑)。安藤って、ずいぶん昔の話ですが、尖閣諸島近辺に中国の漁船が来た際、大要なぜ海上自衛隊を出さないのかとかほざいたような人物です(笑)。10年も前の記事です。以下「>>」は安藤の記事の引用、「>」は私のコメント。
安藤慶太記者の記事がひどい(3)>>もっといえば、今回、海上自衛隊の出番は最初から最後までなかった。それを多くの人が当たり前に受け止め、何も考えずに済ませている。これも本来、とても不思議な光景だといわざるをえない。
>馬鹿。漁船に海上自衛隊をだしてどうする(笑)。
>>漁船相手に海自が出るまでもないという人がいるかもしれない。しかし、仮に漁船に銃器が積んであればどうか。武装して尖閣に上陸したらどうだったか。
>ご安心ください(笑)。じゅうぶん海上保安庁で対応できます。安藤氏は、「九州南西海域工作船事件」をご存知かな? 知らないわけはないと思うけど。まあ武装して尖閣諸島に上陸する馬鹿もそんなに多くはいないとおもいますが。常識的に考えて、漁船が北朝鮮の工作船以上の武器弾薬を持っている可能性は少ないでしょう。
もちろん安藤個人よりも、こういうまともじゃない人間を重用する産経新聞の問題ではあります。
余談ですが、その後安倍政権が復活しましたが、安倍晋三って別に、漁船に対して海上自衛隊の出動を命令したりしませんでしたよね。で、その件について安藤は安倍晋三、自民党政権を批判したのか。してはいませんよね(笑)。どんだけダブスタなんだか。そういう態度だから安倍も、適当なことをほざきながら逃げるわけです(苦笑)。
それにしても杉山って男もひどい野郎ですね(笑)。彼は沢木耕太郎のアシスタントだったそうですが、師匠の沢木は、さすがにこんなひどい本は書かない(苦笑)。代表作の『深夜特急』も、1と2は産経新聞の連載ですが、当然ながらこんなトンデモではない。
さてさて、新聞が報道するべきでないことというと、こちらもそうですね。某犯罪被害者遺族の話の垂れ流しです。
裁判官が判例に固執することを批判して、なにがどうなってほしいんだか>裁判所は判例に固執して殺害された被害者の数にこだわり、加害者の人権ばかりを重視してきた
こういう話を、この犯罪被害者遺族の著作やHP、この人の言い分へ特に異を唱えない著書、あるいは「犯罪被害者・被害者家族・遺族の会(仮称)」とかでするのなら、「いい」とは思いませんが、「仕方ない」とは私も考えます。しかしこれも法科大学院(!!!)で話されたり、新聞(毎日新聞)で報道してあげるようなものではないですね。うんなもん私程度の素人ですら、
裁判官が判例に基づいて判決を下すのは当然じゃん。
世界中どこの国だって、裁判官が被害者の数にこだわるのは当然じゃん。
くらいのことは言えます。また
>加害者の人権ばかりを重視してきた
って具体的どういうことなんですかね? 被告人(加害者)に弁護人をつけてあげる権利とかのことを言っているのか。そもそも犯罪被害者(家族)の権利と犯罪被告人の権利というのは、トレードオフの関係にあるものではない。話の次元が違うとはこのことです。こういう講演を開催するような法科大学院だから、この法科大学院はまもなく閉鎖を余儀なくされたのです。そしてまた新聞もひどいね。このような話はわざわざ取材して記事にするようなものではない。記者会見だったら、発言をそのまま報道するというのもありでしょうが、これはそういうものではない。
産経新聞というのも、取材対象にろくに確認もしないで与太を書いて、抗議されたら逃げたり陳謝したり裁判で負けたりしているどうしようもない新聞ですが、もちろんそういう無様な姿は、産経新聞だけでもありません。いろんな意味で非常に困ったものです。