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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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浪費をする人間というのは、想像以上にひどい

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このブログで、何回か元予備校講師で、ひところは一世を風靡したといっても大げさでなかった佐藤忠志氏についての記事を書いています。いくつかリンクしておきます。

これも、大金を稼いだ人がくだらん散財で財産を失う典型だと思う(複数の追記あり) ちょっと正直絶望的な気分になってしまった(元予備校講師である佐藤忠志氏の死について)(10月9日発表) アルコール依存症で人生つぶした人間多し 世の中自殺をふくむ極端な行動をとる人は、発達障害や精神障害の場合が多そうだ(追記あり)

ほかにもいくつか記事を書いていますので、興味のある方はこちらからご確認ください。それで佐藤氏は、まさに浪費がひどすぎてまさに人生おしまいになってしまったのです。なにしろこちらによれば

>かつては毎日のように高級ホテルで食事をし、地方への移動も常にファーストクラスだった

>近所の飲食

店に行くにもタクシーを利用するような佐藤さんの暮らしぶり

>知人に自宅を売り払い、そのカネで高級外車を買おうとした佐藤さん

だそうですから。それで一文無しになって生活保護受給者になって自宅で孤独死していれば世話はありません。

それでこちらの記事を。

浪費癖というのは、人間にとって本当に困ったことだと思う(抗酒剤のようなものもない)

いろいろな例を挙げてきましたが、佐藤氏や夕張保険金殺人事件には及ばないとはいえ、こちらの事件も相当にひどいですね。

宇都宮宝石店放火殺人事件

事件は、つまりは

>2000年6月11日午後5時すぎ、Sはガソリンを入れたブランドバッグを持って宝石店に入店、バッグの中に現金で1億5千万円を持ってきたので、希望する宝飾品を売ってほしいと店長に伝える。店長は希望する宝飾品を揃えるのに時間がかかるため、閉店後に再度来店するよう伝える。店員は、今回は全額現金払いをするというSの言葉を信じたため、商談が成立した。

この間、従業員は近郊のツツミ系列店および近隣の時計店から商品を用意し、本社には午後7時半の閉店後ミーティングがあると連絡した。

午後7時30分、Sは再度来店し希望する宝飾品を確認した。午後9時50分、ツツミ本社からの最後の電話に対し、従業員は間もなく取引が終了すると答え、問題がある様子はなかったという[1]。

Sは「清算をするから」等と言葉巧みに店長と店員ら(店長も含め全員女性)を一箇所に集めると、Sは態度を豹変し刃物を突きつけて従業員を脅した。

店長を脅迫し、他の店員の両手をSが事前に用意した粘着テープで縛らせた。Sは店長の両手両足および店員の両足をテープで縛り、さらに全員の目にハンカチを当てテープを巻き付けて目隠しをした。全員を休憩室に閉じ込め、店員の足下および1名の上半身にガソリンをかけ、火をつけて逃走。火災は翌日の午前0時15分頃鎮火されたが現場から完全に炭化した6体の焼死体が発見された。死因は火傷死2名、焼死4名。

ツツミが持っていた不審者リストや店内の防犯カメラ等の映像等が有力な証拠となり、さらに自らの車を東武宇都宮駅近くの駐車場に止めていたことが判明したため捜査員が張り込んでいたところ、翌日正午ごろにSが車を取りに駐車場に現れたため任意同行し、強盗殺人と放火の容疑で逮捕された。Sは取り調べに対し「女性店員だけの店を狙った」と供述した。

というものです。またこの事件は、死刑囚の死刑執行の際法相が立ち会ったことでも話題になり、またその時の法相が死刑廃止論者である千葉景子であることも話題となりましたが、これはこの記事とは関係ありませんので触れません。

この事件の判決文を見つけて読んでいまして、思わず「おいおい」と思うところがありました。それは死刑事件なのですから、ひどいことが多いのは確かですが、これも「どうもなあ」ではあります。

>被告人は,日本料理屋で板前をしていた平成5年夏,アルバイトに来ていた大学2年生の女性と知り合い,同年秋ころから,同女性を愛人とし,平成8年11月ころ,マンションへの転居費用を出してやったほか,以後月額約10万円を渡し,高級宝飾品を買い与えたりしていた。他方で,被告人は,平成5年以降,年金と乏しい収入でかろうじて生活を支えている父に,しばしば,金を無心していた。被告人は,平成9年の春ころ,さつきの販売に失敗して多額の借金を背負い込むことになったことや愛人に相当額の金を貢いでいたことからやりくりに困り,サラ金業者から合計300万円弱を借り入れ,その上,妻方の親戚にも,妻には内緒で借金をして回った。サラ金からの多額の借金の事実は,平成9年秋ころ,親戚も含めて家族に知れわたり,親族会議の結果,被告人の父が,金を工面し,約300万円の借金を返済した。被告人の妻の苦労を知っていた親戚や被告人の長女は被告人を責め,被告人は家族中から白い目で見られ,立場を失うこととなった。被告人はこれほど情けない思いをしたことはなく,いつか一旗揚げて女房子供を見返してやろうと考えた。

被告人は,平成10年後半,産業廃棄物処理業者に出入りし,土地売買の仲介やトラブル処理にかかわるなどして,少なくとも800万円以上を手にした。平成10年9月交通事故を起こし左上腕骨骨折などの傷害を負ったことから,平成11年夏までに約558万円の保険金が下りた。金に余裕のできた被告人は,トラブル処理の際に虚勢を張る必要があったことや,生来の虚栄心から,宝石類や貴金属類,ブランド品の服装や持ち物を身に付け,宇都宮の百貨店内の高級ブランドショップや本件犯行現場であるT店に頻繁に顔を出し,店員に対しブランド品を自慢して歩くような毎日を送り,手にした大金は,瞬く間に減っていった。

被告人が出入りしていた産業廃棄物処理業者は,被告人の土地取引についての無責任な助言により多大な損害を被っていたので,被告人に対するけん銃所持の容疑で産業廃棄物処理業者宅にも警察による捜索が行われたことを機に,平成11年6月ころ,被告人の出入りを禁止し,被告人はまたも収入の途が閉ざされることになった。被告人はその後仕事もないのに愛人との関係を続けていたことから,またしてもサラ金に手を出し,再び300万円以上の借金を負うこととなった。被告人は,前回のサラ金騒動の際に,離婚の危機に直面し,2度とサラ金に手を出さないよう言われていたことから,今回のサラ金への借金が発覚すれば離婚は免れず,家庭が崩壊することになると恐れた。

つまりは千数百万くらいの金を1年くらいで使ったということなんですかね。それで犯行時のくだりに、こんなことが書かれていました。

>(5) 平成12年6月初め,ガソリン4リットル(オイル缶1缶)を買い,同年6月11日,ガソリン3リットル(オイル缶1缶)を買い足し,オイル缶を1缶ずつ紙袋に入れ,その紙袋2袋をルイ・ヴィトンのスティーマーバッグに入れ,同日,布製の粘着テープも買った。

(6) 被告人は,同日,バッグの中のオイル缶の紙袋の上に,布製粘着テープ,紺色背広上下,エルメスの長袖シャツを置き,下着と靴下は,車(ポンティアック)の後部座席に置き,バーバリーのホワイトゴールド製の伊達(だて)めがねをかけて,T店に向かった。

わざわざブランド名や車種の固有名詞を書いているのも、ご当人の浪費癖を表すためなのかもですが、それはともかく。

>ルイ・ヴィトンのスティーマーバッグ

>エルメスの長袖シャツ

>ポンティアック

>バーバリーのホワイトゴールド製の伊達(だて)めがね

たぶんこれらは、氷山の一角でしょうからねえ。たぶんこの死刑囚は、こういった浪費をしまくっていたわけです。たとえば前出の佐藤氏も、車(家を売った1億円を現金で払ったとのこと)を売って生活費の足しにしようなどとは考えなかったみたいですからね。まずはそれを売ってという意思はなかったようです。おそらくこの死刑囚も同じようなものではないか。車を売ったりとかブランド品を処分するよりも、犯罪で手っ取り早く金を得ようと考えたわけで、お話にもならないにもほどがるというものです。

だいたい宝石店の会社も、この人物のことは把握していたわけで、口封じのために店員を殺すなんてことに何の意味もないのですが、ご当人

>警察は,当然俺をマークして捜しているだろう,万が一警察に連れて行かれたら,商取引に行った,取引が終わって,店を出る気になったら,突然爆発した,金を払ってきたから,この品物は俺が買った物だ,俺も火傷したんだから被害者だ等と言って,トボケてしまえば大丈夫だろうと思いました。あれだけ凄まじい勢いで燃えたのですから,店の中の物はすべて燃えてしまい,私が払ったということになる現金も,すべて燃えてしまったということで,簡単にかたが付く,すぐに帰してもらえる,その後,すぐに東京に行って,奪った商品を現金に替えてしまおうと考えたのです。

と供述しているとのことですからね(ご当人は、供述の任意性を否定しているようですが)。そんな話通用するわけないだろと思いますが、そういう常識的な思考も通用しないようです。

愛人をかこっているのによく奥さん離婚しなかったなとか、

>離婚は免れず,家庭が崩壊することになると恐れた。

って、この犯罪のほうがよっぽど家庭が崩壊するなと思いますが、まさにご当人そんなことすら考えが及ばなかったということでしょうか。なおこの死刑囚には2人子どもがいて、1974年生まれの娘と1981年の息子がいまして、息子は事件時未成年です。奈落の底に落ちるとはこのことでしょう。

宝石だけもらって逃げちゃえば、もちろん捕まった可能性が非常に高かったでしょうが、しかし逃げられた可能性もあるし、捕まったって死刑にはなりませんが、けっきょく度を外した浪費癖が大きな要因でここまでひどい事件を起こしてしまったわけです。Wikipediaによると、

>死刑廃止団体が行ったアンケートに「死刑になるのか、きもちの整理がつきません。死刑とはざんこくなものです」と答える

とありまして、自分の行った行為の重大さを理解していなかったのだろうなと思います。

で、この事件の犯人は、

>30年以上前の業務上過失傷害罪による罰金前科しかなく

だそうで(たぶん交通事故ですかね?)、すくなくとも刑法というレベルでは、そんなに手の付けられない犯罪者ということではないのですが、借金とかに追われると、人間このような想像を絶するひどい事件を犯す場合もあるのです。滅多にあることではありませんが、死刑囚だからといったって、みんながみんな、附属池田小事件の宅間守(死刑執行時は、吉岡守)や大牟田4人殺害事件の北村一家のような強度のパーソナリティ障害(人格障害)の持ち主というわけではない。名古屋市女子大生誘拐殺人事件の犯人である木村修治元死刑囚や、私も現場を取材した泰州くん誘拐殺人事件の犯人である津田暎元死刑囚、拙ブログで数回記事にしている宮崎家族3人殺害事件の奥本章寛死刑囚らも、宅間や北村一家のようなひどい連中とはまた違う。なお「元」をつけた死刑囚は、すでに死刑執行済みです。

いずれにせよ死刑とまではいわずとも、世の中公務員や金融機関などで金を使い込んだりする人間は、やはりギャンブルか女(男)のパターンが多いですね。あるいは買い物依存のパターンもある(佐藤氏はこれか? 宇都宮の死刑囚は、女+浪費癖?)。参考記事を。

>「やってしまった。もう島で生きていけない」 競馬や生活費に流用か 村、4千万円横領の元職員を告訴へ
2021年9月9日 07:20

 沖縄県座間味村の村船舶・観光課勤務だった40代男性職員=6日付で懲戒免職=による村営船の売上金4千万円(推定)横領問題で、この元職員が現金や通帳、入金伝票、毎日の集計表を全て1人で管理していたことが分かった。管理体制が問われる形となり、宮平真由美副村長は「大いに改善の余地がある」と不備を認めた。村は8日に会見し、元職員を業務上横領罪で刑事告訴するとした。

(中略)

 村の聞き取りに、元職員は横領した現金を競馬賭博や生活費にほとんど使ったと説明し「(ギャンブル)依存症かもしれない。やめられなかった」と話しているという。7日に自ら那覇署へ出頭した。

(後略)

上の「生活費」というのも、ギャンブルで他の金を使い果たしたうえでの生活費ですからねえ(苦笑、もちろん笑っている場合ではありませんが)。人を殺すよりは横領程度ですんでいるほうが相対的にはましですが、いずれにせよ困ったものです。


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