先日の衆議院選挙で、自民党の石原伸晃が小選挙区で落選、比例復活もなりませんでした。記事を。
>自民の石原伸晃氏が落選確実、比例復活もできず 弟の宏高氏と明暗
2021年11月1日 02時43分
自民党前職の石原伸晃元幹事長が東京8区で、立憲民主党の新人吉田晴美氏に敗北することが確実となった。野党共闘の象徴となった吉田氏に、屈する形となった。石原氏は比例東京ブロックでも復活できず、落選が確実になった。
一方、伸晃氏の弟の石原宏高氏は東京3区で敗れた後、比例東京ブロックで復活当選し、兄弟で明暗が分かれた。
東京8区では、れいわ新選組の山本太郎代表が公示日直前に立候補を表明したが、吉田氏の支援者らが抗議したことを受け、山本氏は出馬を見送り、吉田氏に一本化されていた。
伸晃氏は選挙戦で「絆でこれからの日本をよくしていこう。他の政党にはありません。文句を言うだけ。杉並区民の手をしっかり握って前に進んでいこう」と強調。陣営は「選挙に勝つためだけの野合」と野党共闘を批判したが、及ばなかった。
石原派も、このようになりましたね。
>石原伸晃氏「議員バッジなくした」「石原派は幕を下ろしたい」…派閥のあり方は今後協議
2021/11/12 10:12
所属議員が7人となった最小派閥の石原派の11日の会合では、衆院選で落選した石原伸晃・元幹事長が「(議員)バッジをなくしたので石原派は今日をもって幕を下ろしたい」と述べ、会長辞任を表明。派閥のあり方は今後協議する。
岸田派例会には、会長の岸田首相が首相就任後、初めて参加した。首相は「心を合わせ、力を合わせて、国民の負託に応えるべく努力をしていきたい」と結束を呼びかけた。
実は私、さすがに比例復活はするんじゃないかと思っていたのですが、それすらかなわなかったわけで、石原も引退じゃんという声もありますね。次の選挙がいつかはわかりませんが、1957年生まれの石原は、現在64歳で、次の選挙は60歳代も後半となると、やはり当選も厳しいでしょうし、したとして何ができるかもまた厳しいでしょうね。やはり引退か。
それで石原が初当選したのが中選挙区時代の1990年であり、それから小選挙区(東京都第8区)もすべて勝ってきました。自民党が非常に厳しい選挙となった政権交代の2009年の選挙ですら、主たる対抗馬が、お世辞にも強いとは言えない保坂展人氏だったこともあるでしょうが、31,000票弱の差で勝っています。しかし2017年の選挙では、立憲民主党(今回当選した吉田晴美氏)、希望の党、日本共産党、無所属(円より子)ほか1人と野党系候補が乱立したことによっての当選とみなされて、今回は32,000票差での敗北で、比例復活もならなかったわけです。
石原というと、石原軍団の選挙応援などというのもありましたが、石原プロも解散で、今回はそれもなかったということで、やはりこれも1つの時代の終わりなのかと思います。それで、伸晃の弟で、石原慎太郎の地盤(東京3区。なお慎太郎は、直接この選挙区からの出馬はなし)を継いだということになる石原宏高は小選挙区で落選したものの、比例復活はしましたが、彼はお世辞にもそんなに選挙に強くはないし(2003年、09年、21年の選挙で小選挙区落選、03年と09年は比例復活もできず)、また正直伸晃ほどの能力もなさそうですから、今後の日本政治や自民党で大きな存在感を示すこともないでしょう。何はともあれ自民党幹事長になり派閥も率いて、自民党総裁選にも出馬した兄ほどの出世は望めないのではないか。
ところで石原慎太郎が東京都知事に当選したのは、67歳の年です(1932年生まれで1999年当選)。彼が衆議院議員を辞職(都知事辞任後また復活)したのが1995年で63歳のわけで(誕生日前の辞職なので、厳密には62歳)、つまりは現在の伸晃より若いわけです。ここで正直に書きますと、石原慎太郎については私は非常に批判的だし大っ嫌いですが、石原伸晃については「支持する」とまではいいませんが、そんなに嫌いでもありません。彼は、自民党の人間ですからいろいろ限界はあるにしても、そんなにひどいことを主張しているわけでもない。どちらかというと、宏高のほうが、慎太郎にイデオロギーほか近いところがある。が、たぶんいろいろな点で、議員をやっていくことが難しい状況になっていたのでしょうね。
それで、なにはともあれはったりやパフォーマンス、石原裕次郎の存在などもあり国民的な人気があった石原慎太郎も、来年存命なら90歳です。彼が参議院議員になったのが1968年、72年に衆議院に鞍替えして、東京都知事選に挑戦するため75年に辞任して、76年の選挙で復活、95年まで務め、99年から2012年まで都知事を務め、辞任したあと12年から14年まで衆議院議員をつとめて引退したわけで、途中ぬけはありますが、46年彼は政治家をしていたわけです。伸晃は31年の政治家生活でした(今後復活の可能性はあります)。宏高が現在も議員をしているとはいえ、やはり石原一家が日本政治と東京都政に何らかの影響をもたらした時代はこれで終わったのでしょうね。伸晃がまた議員に復活するとして、あまり大きな影響力を持つとは考えにくいでしょう。それとも彼の子どもが出馬するなんてこともあるんですかね? いまのところそういう話は聞きませんが。
私は政治家の世襲には反対の人間ですので石原家の凋落には悪い気はしませんが、遺憾ながら政治家の世襲というのは、日本人の感性や価値観にそぐうのでしょうね。それもどうかです。