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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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旅行の最中にどういう本を持っていくかということを考えてみる

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ちょっと前にこんな本を読んでみました。

世界ヤバすぎ! 危険地帯の歩き方 (わたしの旅ブックス) 

スマートフォンの発達その他で、旅行の最中に本を持っていく意味合いも以前ほどではありませんが、この本の中で次のような記述があります。つまり著者である丸山ゴンザレス氏が、旅行に詳しく海外での冒険歴も豊富な高野秀行氏に、旅行の最中には、どのような本をどれくらい持っていくかと聞いてみたところ、高野氏が次のように答えたといいます(p.194)。

>文庫本5冊

その理由をあえて尋ねた丸山氏に高野氏は、重いしそれ以上持っていても読み切れないと話したといいます(同上)。

私も以前はやたらいろんな本をもっていったことがありますが、昨今はそうでもありません。それで以前は、私はこんな記事を書いていました。

旅行の際には大量の本を持っていってしまう

2015年に書いた記事ですが、さすがに最近は、この時書いた記事のように本を持っていくことはありません。この時は14冊本をもっていっていまして、文庫本3冊、新書本5冊、一般の単行本3冊、ガイドブック3冊というものでした。ガイドブックは、地球の歩き方、るるぶ、あと独立系のグルメガイドです。

これはさすがにもっていきすぎでしたが、ガイドブックもネットなり実物をPDF加工することもありですが、今の私なら、ガイドブックをもっていくのなら、るるぶはカットですかね。

それで仮に2冊ガイドブックをもっていくとすると、ほか3冊の本をもっていくとしたら、私なら高野氏がいうように「文庫本5冊」ではなくて、文庫+新書で3冊(ガイドブックなしなら5冊)ということになろうかと思います。

それで、この時の本の読み方は、拙記事から引用すると

>読了したのが、数学の本だけです。ガイドブックは3冊とも参照して大いに役立ちましたが、あとはゲバラの本を7割読んで、「文明論之概略」は途中まで、丸山先生の注解書は「上」の2/3くらいです。

という状況でした。その記事でも書いていますが、旅行の最中は、海外文学や経済学の本、数学の本などを読むとなかなかいいと思います。あるいは宗教の本(「聖書」とか「コーラン」)を読むのもいいし、チョムスキーの本などを読むのもよさそうです。普段読むのがきつい本を読むいい機会でしたが、ただ昨今はスマートフォンを読むので、昔ほどこの手も使えなくなっています。

が、それにしてもガイドブックを除外するかどうかはともかく、文庫本と新書本で5冊というのは、そう悪くない量だと思います。たとえば福沢諭吉の「文明論之概略」と岩波新書から出ている丸山真男著の注釈書3冊を並行して読めば、いい勉強にもなります。

海外旅行では、私はいまだに本のガイドブックを必ず持っていくようにしていますが、最近海外に行く機会がないので国内旅行に徹していますが、ガイドブックはもっていかないことも増えました。

旅行の最中にもっていく本で一番いいのが数学の本です。数学が得意な人なら別にそんなこともないのでしょうが、私のように苦手な人間は、数学の本を読了するのも努力がいるので、結果的に読みでのある本となります。あるいは経済学の本、それも経済学史の本とかでなく、計量経済学の本とかなら、これも一向に読み進めないので都合がいいといえば都合がいいわけです。統計学の本などもよさそうです。

一番よくないのが、軽めの小説とかです。すぐ読んでしまい面白くない(苦笑)。旅行記なども、本来なら読むのにいいのでしょうが、わりと早めに読み切ってしまう傾向がありますので、これも痛しかゆしです。

それで、私が一番読んでいてよかったのが、ダブリンでジェイムズ・ジョイスの『ダブリン市民』を読んだときと、スライゴーでウィリアム・バトラー・イェイツの詩集を読んだときです。やはり作者の地元でその作品を読むというのは一番いいですね。可能なら、『異邦人』や『ペスト』を、アルベール・カミュの出身地であり若き時代を過ごしたアルジェリアで読めればいいし、カリフォルニア州サリナスジョン・スタインベックの小説を読めればそれに越したことはない。『タバコ・ロード』は可能ならジョージア州で読めればです。私は学生時代、やたらアースキン・コールドウェルに傾倒していました。

それはさすがに金がかかりすぎるし現実的でないとすれば、松山に行った際に『坊つちやん』を読むとか、対馬へ行った際に『神聖喜劇』を読むくらいならできなくもないでしょう。なおこの小説は、読むのが大変なので、ある程度の長期滞在でないと、最初から最後まで読むのは難しいでしょう。よってやってみる場合は、一部読むということになりそうです。ほかにも川端康成が好きなら、東京近辺でもいろいろ行けそうなところがあります。

話がだいぶどうでもいい話になりましたが、やはり旅行の最中は、移動の時間が長いですから、普段読みたいが読み切れない本をもっていくのがよさそうです。というわけで、海外文学(ミステリーとかでなく、重厚な文学)などは最適です。そう考えると、今回引用させていただいた丸山ゴンザレス氏の本などは、日常生活で読む本であり、旅先では簡単に読めてしまうのであまりよくないということですかね。

というわけで、特に長期の旅行の最中には、いろいろな本を厳選して持っていきたいと思います。読者の皆様も、ぜひあなたにちょうどいい本をいろいろ選択して持って行ってください。


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