昨日、ちょびっとNHKの朝の連続テレビドラマ『ちむどんどん』を観まして、次のようなくだりがありました。こちらから、私が興味のある所を抜粋します。
>(前略)
暢子(黒島結菜)が東洋新聞でボーヤとして働き始めて半月が経った。和彦(宮沢氷魚)は、デスクの田良島(山中崇)に、新聞の人気インタビュー企画「我が生涯最後の晩餐」を書かせてほしいと願い出る。
続けて和彦は、「最近の『晩餐』は 単なる成功者の美食自慢になっていると思います。もっと『食は文化』という視点に立って、読者に共感を得られる深い記事を書くべきだと思います」と訴え、来日中の三ツ星レストラン「チリエージョ・タルデッリ」オーナーシェフ、アレッサンドロ・タルデッリ(ジローラモ)のインタビューを提案。
大のマスコミ嫌いと噂されていたタルデッリだったが、何と取材を受けてくれることに。インタビューの最後に和彦が「あなたが人生の最後に食べたい思い出の料理は何ですか?」と問いかけると、タルデッリは、ひと呼吸置いて、「ピッツァ・マルゲリータ」と答える。だが「どんな思い出があるんですか?」と尋ねられると、それには返さず「ありがとうございます。楽しかった」と、取材を切り上げてしまう。
タルデッリはイタリア北部のミラノ出身。だがピザはイタリア南部の料理。なぜ「ビザ」を最後の晩餐に挙げたのか?和彦が書き上げた原稿に対し田良島は「何らかの理由でもない限り、おかしい」とぶつけ、追加取材を申し込むよう、和彦に要請する。
(後略)
どうしてそのような状況になったかは、この記事とは関係ないので省略します。ここで興味深いのは、記者が、デスクから取材の不備を突かれて怒られるというところです。
それでさあ、ドラマの設定ではこれさすがに若手の記者のしでかした取材不備というものですよ。しかし産経新聞の一部記者による一部記事での取材って、こんなものなど比較にならないほどひどい取材がありますよねえ(笑)。私は以前こんな記事を書きました。
このような幼稚で悪質で馬鹿なデマ記事を書く元産経新聞記者の野郎を雇用するのだから、日本維新の会というのもひどい政党だ産経新聞の当時那覇支局長だった高木桂一は、
>2017年12月1日に沖縄自動車道で発生した多重事故の被害者で一時意識不明の重体となった在沖縄アメリカ海兵隊曹長について9日、曹長の救助活動について伝える妻のFacebookやNBCの報道を確認し、アメリカ海兵隊第3海兵遠征軍から12月6日に救助活動を讃える回答を得た上で、曹長は「横転した車両から50代の日本人男性を脱出させた」「(以後もこれを報道しないならば琉球新報や沖縄タイムスは)メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と報じた。しかし、その後の琉球新報の取材では、同曹長が救助活動を行ったことは確認できなかったことを2018年1月30日に報道した。産経新聞は2018年2月8日に検証記事を掲載し、事実確認が不十分で、沖縄二紙に対して行き過ぎた表現があったとして、記事を削除し、沖縄二紙を含めた関係者と読者に謝罪した。検証記事では、曹長は日本人男性運転手を手助けできないか確認しようとしたが、自身の車を邪魔にならないよう車道外に動かそうとした際に、後続車にはねられ、男性運転手は自身に追突してきた車の運転手にドアを開けてもらい自力で脱出していたことが明らかとなった。男性運転手は、事故後、米軍関係者から「大丈夫か」と声をかけられたが、それが曹長かは分からないとしている。また、産経新聞の再取材に対し、在沖縄アメリカ海兵隊は、曹長が「手助けしようとしたことは、海兵隊が掲げる価値観の表れだ」と回答した。
という始末なわけです。それで高木は、この記事を書くにあたって警察に確認取材すらしなかったらしい。交通事故の記事を書くのに警察に取材をしないなんて、火事の記事を書く際に消防に取材をかけないのと同様に信じられない話ですが、つまりはまともな取材をしなかったわけです。それでこれ支局長ですからねえ(呆れ)。江川紹子によると、
>産経新聞広報部によれば、支局での事故取材は「経験はあります」とのこと。
というわけで、最初からまともな取材などする意思すらなかったのでしょう。またこれはどうか。
産経新聞には、別の真実があるその記事で引用した産経の記事を。
>南京大虐殺記念館、信憑性乏しい写真3枚撤去
中国・南京市にある南京大虐殺記念館が、信憑(しんぴょう)性が乏しいと指摘されていた写真3枚の展示を取りやめたことが17日、政府関係者の話で明らかになった。「連行される慰安婦たち」「日本兵に惨殺された幼児たち」「置き去りにされ泣く赤ん坊」の3枚で、日本の研究者らは南京事件と無関係だと指摘していた。中国が同館の展示について“是正”に応じたのは初めて。ただ、30万人という犠牲者数の掲示や“百人斬(ぎ)り”など事実関係の疑わしい展示多数はそのままになっている。
撤去された3枚の1枚は、南京攻略戦の前に撮られ、「アサヒグラフ」(1937年11月10日号)に掲載された写真で、農作業を終えたあと、兵士に守られて帰宅する女性や子供が写っている。これを中国側は旧日本軍が女性らを連行する場面と紹介し、「農村婦女は連れ去られ陵辱、輪姦、銃殺された」と説明していた。この写真は戦後、朝日新聞記者、本多勝一氏の著した『中国の日本軍』や中国系米国人作家のアイリス・チャン氏の著書『ザ・レイプ・オブ・南京』でも、残虐行為と関連づけて紹介されるなど、国内外で繰り返し誤用されてきたことで知られる。
また、幼児たちの写真は、朝鮮現代史の学術書に掲載されたもので、匪賊(ひぞく)(盗賊集団)に殺された朝鮮の子供たちの遺体。赤ん坊の写真は米誌「ライフ」に掲載された報道写真で、撮影地は上海。いずれも南京の旧日本軍とは関係ないが、愛国主義教育の“模範基地”と指定される同館は「悲惨な史実」と紹介してきた。
日本側は、事実無根だったと判明している“百人斬り”関係の展示品のほか、誤用や合成と指摘されている写真について、さまざまなルートを通じて撤去を求めてきたが、これまで同館は応じていなかった。
85年に開館してからの同館の参観者の累計は1897万人。日本の修学旅行生らも訪問している。
そもそも
>政府関係者の話で明らかになった。
ていうのが、思いっきり語るに落ちていて笑っちゃいます。政府関係者の話なんて、あくまでネタの発端であって、ここからが取材です。この記事を書いた牛田久美という人物も、たぶん中国側になんら確認を入れていませんね。入れていれば、中国側の何らかのコメント、あるいは「取材に応じなかった」という趣旨の記述があるでしょう。それで上にも書いたように、これ「政府関係者」(? これだって実在するかどうかも分かったもんじゃありません)の話のみで記事を書いているのでしょう。だから具体的な内容がろくにないのです。中国側に取材を入れていれば、いつから写真を撤去したのか、どのような理由で写真を撤去したのか、今後写真をどのように扱うのか、くらいのことは書くでしょう。そんなことすら何も書いていないわけです。こんなのデスクが牛田に怒鳴るくらいでは済まないくらいの激怒するような代物ですが、産経はこんな記事に基づいて社説まで書きました。そして、中国側が抗議を入れたら、陳謝も撤回も反論もせず、逃げちゃいましたからね。どんだけ馬鹿でクズなんだかです。
それにしても、高木は支局長、牛田の年齢は知りませんが、私の知る限り、若手、駆け出しではない。それ相応の年齢です(記事執筆時の2009年の時点でそうです)。しかも産経の場合、牛田の最低のデマ記事にのっとった社説まで発表している。ドラマのネタになるようなお粗末な取材をはるかに上回るお粗末な取材と記事にのっとって、産経はさらに悪のりしたわけです。どんだけ気が狂っているのか。まともじゃないとはこのことです。しかも高木は産経から処分を受けましたが、私の知る限り牛田はされていない。それどころか、
>2012年7月23日、同年同月16日夜から17日にかけて実施された自衛隊の統合防災演習に際し、隊員の区役所庁舎内立ち入りを拒否したとして、東京都内11区を名指しで報道。「区民に迷彩服を見せたくなかった」と明かしたという担当者の声も掲載した。翌24日付の「産経抄」でも「職員の心ない仕打ち」「自衛隊員の心情を思うとやりきれない」と痛烈に批判していた が、名指しされた全区が事実無根、防災担当職員に対する侮辱だとして抗議声明を発表。25日付の紙面で、一部訓練を除き庁舎内で訓練が行われていた旨や、そもそも訓練を行わなかった区があったことを認め、謝罪記事を掲載した。
という記事までありましたが(注釈の番号は削除)、この記事を書いた人物も懲戒処分を受けていなようですからね。どれだけまともじゃない連中なのか。ひどいものです。ほとんどマンガの世界じゃないですか。正気の沙汰ではありません。だいたい上の記事が仮に事実だとして、そんなことは東京都特別区側と自衛隊側で合意のできている話であり、一方的に特別区側が非難されるようなことじゃありませんが(あえてどっちが悪いとかいう話をするのなら、自衛隊側のほうが問題ではないか)、これは完全なデマ記事であり、懲戒解雇レベルの不祥事でしょう。
なおお断りしておきますが、高木記事も牛田記事も、仮に事実だとしてもそもそもニュースになるような代物じゃありませんよ。どんだけてめえら右翼ミニコミなんだよです。しかしその事実関係すら論外の極致です。お話にもなりません。