私は高世仁が、2020年12月に大要、会社が倒産したので、これからはいうべきことを発言するなんて言う趣旨のことを書いていた時、「口先だけだ」と思いました。事実、それから1年半ほどの間、高世はそのような発言をしていなかったと思います。
そういうことであるなら、小泉元首相、田中均氏、蓮池透氏らに陳謝する用意くらいはあるんだろうな>政府や今の運動体を批判する内容で、一部の人たちからは反発を買うだろう。以前は経営していた会社への影響を考えて、多少遠慮してコメントしていたが、今はもう背負うものがない。
が、一時的に高世のブログが閲覧不可になった後、彼はある程度突っ込んだ発言をした記事を複数発表しています。下の記事は、その最初の記事です。
なぜ政府は2人の拉致被害者を見捨てるのか? - 高世仁のジャーナルな日々
それらは、高世の記事がひと段落したあとで、またあらためて論評しようと思いますが、本日はこの記事の題名の件について、ちょっと書いてみたいと思います。
北朝鮮が崩壊する前に自分の会社を倒産させた無様で無残な話という拙記事で引用した高世の記事
からです。
>私の『金正日「闇ドル帝国」の壊死』という本もT君の手で光文社から出してもらった。これは金融制裁が北朝鮮を体制崩壊寸前まで追いつめていることを書いた本なのだが、出版直後に当時のブッシュ政権が制裁を緩和してしまい肩透かしをくって全然売れなかった。申し訳なかった。
と高世は書いています。それで、その本が発売されたのが2006年12月4日とAmazonにはあります。そして現在これが、高世の最後の北朝鮮関係の本となっています。
高世はその後3冊本を出していますが、1冊は講談社での共著、2冊は高世の本を数冊出している旬報社からの発売した本ですが、北朝鮮・拉致問題の関係の本ではありません。『闇ドル帝国』より前に発売された本(4冊)は、北朝鮮・拉致問題関係の本です。
高世は、ブッシュ大統領(当時。子どものほう)が北朝鮮への金融制裁を緩和したことが、自著の売れ行きの悪さにつながったと主張していますが、実際は、それ以前として内容が評価されなかったから売れなかったのでしょう。それで、高世がそういうことを本気で理解していなかったとは私には思えない。高世は、そこまでの狂信者、あるいは馬鹿ではないでしょう。
ところで高世が北朝鮮・拉致関係の本を出版するにいたらなかった理由は他人には伺えませんが、常識的に考えてそれは、高世にやる気がなくなった、あるいは出版社側が高世にお声をかけなかった、もしくはその両方といったところだと思われます。それで、そのような事態になった最大の要因が、高世の著書『金正日「闇ドル帝国」の壊死』ではないかと思います。bogus-simotukareさんがご指摘のように
>つまりは高世の北朝鮮認識が完全に間違っていたということですね(失笑)。
ということですが、どうもこの本の評価は、私が(そしておそらくbogus-simotukareさんもそうかもしれません)考えていたより、ずっと低かったように感じますね。高世本を出版した光文社のようなメジャー出版社からお声はかからなかったわけだし、また高世がある程度自分の意見を通せる出版社である旬報社からも出すにいたっていないのは、高世のやる気をひどく削ぐくらいの悪評が、高世本に寄せられたということではないかいなという気がします。
とすると高世が次なる北朝鮮本を出版するとなると、もう北朝鮮が滅亡するというネタを繰り返すわけにはいきませんよね(苦笑)。滅亡ネタをまた書いて、やっぱり北朝鮮は滅亡しなかったなんて事態になったら目も当てられない。それで、高世がもし滅亡ネタの本を再度出したらやっぱり「高世の書いていることなんてデタラメじゃん」という話になります。おそらく高世は、そういう事態になりたくないと思うので、北朝鮮本を出版しなかったのだと私は思います。
ただそうであれば、滅亡ネタでない違うまともな本を書けばいいじゃんという話になります。が、それは高世にはできない相談だったのでしょう。けっきょく高世は、家族会と巣食う会の見解からはずれた北朝鮮・拉致問題関係の記事を書くことが不能だったわけです。だからブログなどでは、高世は北朝鮮・拉致問題関係の記事を書くことが可能ですが、本を出すことはできなかったわけです。高世は独立したジャーナリストであって、そんなこと高世の知ったことじゃないのですが(苦笑)、しかしけっきょく高世は、私が何回も批判する巣食う会側が仕掛けた政治工作に乗っかっちゃったため、家族会と巣食う会に頭が上がらないわけです。それで、こんな政治工作で「自分は優秀なジャーナリストだ」とか勘違いして、会社を飛び出して独立してそれで失敗しちゃったのだから、高世もどんだけ馬鹿なんだということになりますが、その件については繰り返し指摘していますので、興味のある方は下の記事をご参照ください。
けっきょく「横田めぐみ拉致問題における安明進証言」などというものにのっかったのが、高世仁が会社をこかした淵源(の少なくとも1つ)ではないか 巣食う会とか家族会系の連中とかかわった北朝鮮関係の言論人は、その後ろくな状況でないと思う(関川夏央や高世仁、恵谷治、李英和ほか) 高世仁の幼稚なデマ自慢を平然と垂れ流すNHKの馬鹿さとクズぶりに本気であきれ返る現在高世が、上にも書いたように、その方向から外れた言論を始めているのは、2020年12月に高世が述べていたように、高世が経営する会社をこかしたことが1つ、あとこれは、高世は公然とは認めないかもしれませんが、安倍晋三が首相を辞任したということもあるのでしょうね。家族会があそこまで安倍を徹底的に支持していたことが、そこから言論をはずすということをはばからせたという側面はあるはず。
そういったもろもろのことを考えていると、けっきょく高世の北朝鮮・拉致言論なんてものは、文字通り巣食う会のコントロール下にあった、手のひらの上で踊っていたということなのでしょう。それは、家族会もご同様。連中は、巣食う会の手先にすぎません。でもこれ、まったくもってジャーナリストの言論活動じゃないですね。最初からジャーナリストの取材と称して政治工作に参加していたわけで、ジャーナリズムじゃなくて政治活動だったわけです。まさに私の書いたこちらの記事そのものですね。
これじゃあ「ジャーナリスト」でなくて「反北朝鮮活動家」だそれで同じことは、これまた私が何回も馬鹿にすると同時に批判する関川夏央にもいえるでしょう。関川はかつて、拙記事
20年前の、対北朝鮮強硬派の考えや意見を再度ご紹介(なにが「常識人の常識」だか)から再引用しますと、
>1:金正日はいつまでもつか
関川夏央:現状ではかわりが見つかるまでは、むしろもってほしい。
>2:北朝鮮という国はいつまでもつか
関川夏央:韓国に、北朝鮮と中国に対するリアリズムが育つ日まで。あるいは中国に統一コリアと国境を接する準備が整うときまで。
>3:戦争はおこるか、おこるとすれば、いつ、どんな形か
関川夏央:全面戦争でなければ1、2年以内に。あるいは金正日の精神・肉体が危機的となったとき。
としたうえで、
> 近未来予測は、ある意味で通俗なやり口といわざるを得ない。それを承知で編集委員会があえてその手法を採用したのは、大多数が普通の人々であるだろう本書の読者の利便に供したいと発想したからだが、同時に、北のみにとどまらず、長くコリア全体を見つづけ学んできた民間研究者たちの見方を、ここで日本政府にも端的に示しておきたいという意図もひそんでいる。読者は、これら執筆者の北朝鮮の将来へのクールな展望とともに、日本外交への強い危惧の念をも感じとって驚かれることだろう。しかし、それこそが常識人の常識であると知っていただきたいのである。
とまで書いています(1997年)。それをすっからかんに外して、自分の妄言を撤回もせず北朝鮮言論から逃げ出したのだから、てめえどんだけデタラメで無責任なんだよ、クズ野郎と思いますが、それはともかく。関川のほざいた主張が間違っていたのはもはや取り返しがつかないのだから、自分の過去の言説を「自分のこれらの言説は誤っていました。撤回します」と書いたうえで、「しかし金正日体制(金正恩体制)には問題があるので、これからも批判を続けます」とすればいいのです。さすがにあそこまで書いちゃったのだから、それを見過ごすわけにはいかんでしょう。
が、彼には、北朝鮮は近日中に滅亡するというシナリオの本しか書けなかったのでしょうね。ようするに彼も、
> 長くコリア全体を見つづけ学んできた民間研究者たち
なんてえらそうに自分たちのことを称していますが、つまりは反北朝鮮の政治活動家たちでしかないわけです。どこが「民間研究者」じゃいです。関川が北朝鮮言論からトンズラした背景には、つまりは関川にとっては、「北朝鮮の体制が弱いものではない」ということは認めがたかったのでしょう。それって、現実の政治状況とまったくそぐわないものでしかありません。だから彼は、ほかで食っていける道を模索して、北朝鮮言論から逃げたのでしょう。どんだけ中途半端な政治活動家なんだか(苦笑)。高世と関川は、要は同類だと思います。
関川はおそらく今後も北朝鮮関係の言論からは逃げ続けるでしょうが(しかし私は、これからも徹底的に関川を批判していく所存です)、高世はこれから少しはまともな北朝鮮報道をするんですかね? それには相当な自己批判が必要だし、関川はそれが嫌で、北朝鮮の関係から口をつぐんでいるのでしょうが、高世はどうか。大して期待はできないかもですが、ここは私なりに見守っていきたいと思います。
なお上に引用したbogus-simotukareさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。