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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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日本の首相には、是枝裕和監督の韓国映画『ベイビー・ブローカー』を観に行くという度量は(現段階)ないと思う

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先日こんな記事を書きました。

つまりは、韓国大統領にとっても大した脅威ではないということだ

それで、これはやや枝葉末節な部分でもありますが、日本人としてはなかなか興味深い部分がありますね。そこで引用した記事を一部再引用します。

>北朝鮮“ロケット砲”後に…韓国大統領が映画鑑賞
[2022/06/14 14:03]
 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、北朝鮮がロケット砲とみられるものを発射した後に映画観賞をしていたことについて、野党などから批判が上がっています。

 尹大統領は12日午後、ソウル市内の映画館で是枝裕和監督が韓国で制作した「ベイビー・ブローカー」を夫人と観賞しました。

(後略)

ここで私が注目したいのが、尹大統領が鑑賞した映画が、

>是枝裕和監督が韓国で制作した「ベイビー・ブローカー」

ということです。是枝裕和監督のWikipedia

>2021年には『ベイビー・ブローカー』で初めて韓国映画の監督を務め、ソン・ガンホカン・ドンウォン、さらに『空気人形』でもタッグを組んだぺ・ドゥナといった韓国の映画俳優が出演。ソン・ガンホは本作で第75回カンヌ国際映画祭男優賞を受賞し、韓国人俳優としては初の快挙となった。

とあります(注釈の番号は削除)。この映画は、そのWikipediaにもあるように、

>是枝裕和監督初の韓国製作及び韓国語作品

であるわけです。日本資本の入っている合作映画ではない韓国映画です。大島渚監督の『マックス、モン・アムール』(キャスト・スタッフが大島監督以外非日本人)などに近いですかね。

尹大統領の趣味に映画鑑賞があるのかどうか私はその情報を入手していませんが、たぶんですが、彼がこの映画を鑑賞した理由は、その1つが日韓関係を考えてのものでしょうね。bogus-simotukareさんも、

>是枝ファンと言うよりは「日韓関係改善の模索」ではあるでしょう。
 勿論「日本文化=自民党政権」ではありませんし、是枝氏が自民党に近いわけでもないでしょう。そしてこうした動きに自民党政権がまともに対応するかも疑問符がつきますが。

とお書きになっていまして(注釈の番号は削除)、私もそう思います。

今日の朝鮮・韓国ニュース(2022年6月15日分)

その記事のコメント欄に私が書き込ませていただいたコメントをご紹介すれば、

>現実問題として、このご時世で韓国の大統領が、慰安婦問題や過去の問題(少女像や安重根)などで日本にそうそう譲るとも思いませんが、このようなところはそれ相応に気を使っていることです。

ということになろうかと思います。そして私のコメントは、次に

>でも日本の首相は、安倍は絶対そんなことをしませんが、岸田も是枝映画を観に行くような度量はたぶんないのでしょうね。

と書いています。

少々誤解があるのかもですが、私も行ったことのある安重根の記念館は、1970年に開館したものであり、これは一部の日本右翼からやたら評価の高いらしい朴正煕の時代です。つまり当時のように日本に相当頭を押さえつけられていた時代ですら、そのようなものが建設されるくらい安の評価は韓国では高いわけです。かつて櫻井よしこは、

>韓国大統領の文在寅氏が、1919(大正8)年3月1日に起きた反日独立の「3・1運動」の100周年記念日を前に、2月26日、独立運動の活動家、金九の記念館で閣議を開いた。戦時を除き、政府庁舎以外での閣議開催は初めてだ。

文氏は、「国家的な意味を込め」た同閣議に先立ち、金九の墓をはじめ、日本の初代首相、伊藤博文公を暗殺した安重根や日本の要人2人を殺害し死刑になった尹奉吉ら、日本から見ればテロリストらの墓を続けて参拝したと、「産経新聞」が2月27日付で報じている。

と書いていましたが、私がその櫻井の主張を取り上げた記事で指摘したように、

>金九にしても安重根にしても、少なくとも李承晩以来の韓国の政権で、彼ら(たぶん尹奉吉も)を否定的にとらえたことなんかないんじゃないんですかね。たとえば安重根の記念館は、日本右翼がやたら評価しているらしい朴正熙政権下の1970年に設立されています。そしてそれが今日まで続いているわけで、文大統領がどうこうという話ではない。

というものでしかありません。櫻井が大げさに騒ぐほどのことではない。

3月1日なので、その日にかかわる櫻井よしこのデタラメ記事をご紹介

慰安婦問題だって、一部の論者が期待するほどの態度の軟化はないんじゃないんですかね。とりあえずそう予想したほうが間違いがないと思います。

が、そのあたりの私の予想があたるかどうかは今後のこととして、ともかく現段階尹大統領は、あえて日本人の監督による韓国映画を鑑賞したわけです。ともかくここに、日本側への何らかのメッセージ、それは関係改善ということでしょうが、それがあるのは間違いない。

が、しかしですよ。引用したコメントにも書いたように、日本の首相には、『ベイビー・ブローカー』を鑑賞するという度量がありますかね。かなり怪しそうです。

安倍晋三ではまったくだめ、菅前首相もそういう人でもなさそうですが、現在の首相である岸田首相はどうですかね。とても彼にも、そういうことをする見識があるようには見えませんね。

そもそも彼に、そういうことをしたらどうかとすすめるブレーン、側近などもいそうにないし、いたらいたで、岸田は観にいくことを拒否するんじゃないんですかね(苦笑)。いやわかりませんけど。でもこれも「可能性」の問題ですが、彼には、「ではその映画を観にいこう」と考えるようなところはなさそうですね。ご当人が行きたくても、やっぱり行かないというタイプではないか。

自民党の人間でも、野中広務とかのレベルならそういうこともできそうですが、彼も議員引退したのはとっくの昔、もう故人ですからね。そういった自民党の良識がある程度あった人間も過去の話ですから、当分そういう人間は出ないのかなと思います。あるいは、福田康夫氏なら、ある程度そういうこともできたのかもですが。

例によってあまり前向きにならない記事ですが、正直な私の本音です(苦笑)。bogus-simotukareさんに感謝してこの記事を終えます。あ、岸田がこの映画を観たら、それはそれで彼を多少見直します。


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