先週金曜日のお昼、山手線を池袋から渋谷へ移動していてiPhoneでニュースを確認していたら、「おいおい」と思ってしまいました。
>小田嶋隆さんが死去、65歳 反権力の論客、コラムニスト 雑誌「噂の真相」で執筆
2022年6月24日 12時07分
反権力の立場で世相を斬る論客として知られたコラムニストの小田嶋隆(おだじま・たかし)さんが24日、病気のため死去した。65歳。東京都出身。葬儀は近親者で行う。
早稲田大卒業後、食品メーカー勤務などを経て、1980年代前半からパソコンのマニュアルを書く「テクニカルライター」の草分けとして執筆活動を始めた。
その後、反権威、反権力、タブーへの挑戦を掲げた雑誌「噂の真相」(2004年休刊)でコラムを連載し、各界の著名人らを鋭く風刺して幅広い読者の支持を獲得。新聞や雑誌、10年ごろからはツイッターでも社会的発言を続けた。早稲田大、関西大では教壇にも立った。
「小田嶋隆のコラム道」「ポエムに万歳!」「日本語を、取り戻す。」など著書多数。アルコール依存症と診断され、断酒の日々をつづった「上を向いてアルコール」でも知られた。今年6月に初の小説集「東京四次元紀行」を刊行したばかりだった。(共同)
記事でも取り上げられていますが、「噂の真相」で小田嶋隆氏が連載していた「無資本主義商品論」は、私も面白く読んでいました。これは、2冊の本になっています。
最初の本は、画像を見つけられませんでした。乞うご容赦。
その他の本も読んだことは何冊かあるのですが、どうもほかの本は、いまひとつ私の感性に合わなかったようで、昨今はほとんど彼の本を読むことはありませんでした。ただいつだったか覚えていませんが、小田嶋氏がたしか「報道ステーション」に出演してコメントを述べていて、あれ、この人こんな番組に出演するようになったんだと思って驚いた記憶があります。
それはともかく、これも記事にあるように、小田嶋氏はアルコール依存症でした。そのことは私も知っていましたが、昨年だったかに、たまたま地元の図書館で本をあさっていたら、記事中で紹介されている本を見つけたのです。
それでAmazonの紹介に、こうあります。
>「50で人格崩壊、60で死ぬ」。医者から宣告を受けて20年——
なぜ、オレだけが脱け出せたのか?
人格崩壊はともかく、60からプラス5歳で、彼はこの世を去ることとなってしまったわけです。
小田嶋氏の死因は、「病死」とだけ発表されていて、具体的な病名を知らないのですが、やはり彼が長きにわたってアルコールにおぼれていて、アルコール依存症に苦しんでいたことが、彼の寿命を縮めた可能性はあるなと思いました。少なくとも彼の体が相当に傷んでいたことは間違いない。
本を読んだ限りでは、彼も幻聴などもあったりと非常によろしくなかったのを精神科に行って、なんとか断酒できたそうです。しかし一定の年齢になったら、やはりその無茶をした時期のつけがまともに来たということなのでしょう。いや、あるいは彼のアルコール依存と彼の死因となった病気は、直接の関係はないのかもですが、そのあたりは確認できないのでこれ以上議論しませんが、少なくとも彼の生命を長らえることに反していたのは確かでしょう。いくつかサイトで確認したところによると、アルコール依存症患者の平均寿命は52歳とか、あまりよろしからぬ数字が出ています。こちらのサイトでは、
>アルコール依存症患者の平均寿命は52~54才程度と進行性の致死性の病気です。
とあります。
私が繰り返しご紹介する元予備校講師の佐藤忠志氏も、一時期断酒できたようですが、奥さんから逃げられてまた元の木阿弥になってしまい、最後は食事もほとんどとらなかった(とれなかった?)ようで(つまり酒ばかり飲んでいたわけです)、そのまま生活保護受給者となり、まもなく孤独死してしまったわけです。こういった人たちは、佐藤氏以外にもたくさんいるということです。
日本では、急性アルコール中毒についての危険性はさすがに昨今ある程度社会に広まっていると思いますが、いわゆる依存症についてはまだまだ認識が低いのではないかと思います。小田嶋氏が65歳まで生きられたのは、あるいは彼が酒をやめることができたからなのかもしれません。いずれにせよ酒は一生楽しみたいし、もう一生飲めないと医者から言われて、それで飲まないというのはやっぱりうれしくない。私は、死ぬまで酒を楽しめればいいと思います。
小田嶋隆氏のご冥福を祈ってこの記事を終えます。