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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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けっきょく高沢皓司も、高世仁や小林峻一らと同様、ネタに遭遇したから本を書けた一発屋だったのだろう

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bogus-simotukareさんの記事で知ったのですが、北朝鮮やよど号の関連などで本を書いたりしていたジャーナリストの高沢皓司がお亡くなりになったそうですね。朝日新聞の記事を。

>ジャーナリストの高沢皓司さん死去 著書に日本人拉致扱った「宿命」
2022年7月9日 18時00分

 ジャーナリストの高沢皓司(たかざわ・こうじ)さんが6日、誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなった。75歳。葬儀は近親者で営む。

 学生時代に全共闘や新左翼の運動に参加し、社会運動や学生運動を取材。1970年に日航機よど号を乗っ取り北朝鮮に渡った赤軍派メンバーらが、その後の日本人拉致事件にかかわったとする経緯を記した著書「宿命」で、99年に講談社ノンフィクション賞受賞。自ら収集した社会運動関係の文書約5万点を93年に米ハワイ大学に寄贈した。

写真も同じ記事より。99年の撮影とのことで、たぶん「講談社ノンフィクション賞」授賞式の写真のようですね。

このブログの中を「高沢皓司」で記事内検索してみると、1記事だけヒットしました。下の記事ですが、ほとんど取り上げたというにも値しない程度の言及です。

自己責任が大好きな人たちも、北朝鮮拉致被害者や日揮㈱にはそれをもちださない(らしい)

それで・・・最近の高沢の活動を確認してみると・・・何も見つかりませんね。

Wikiopediaによると、単著は、記事でも紹介されている「宿命」が最後、共編著も、翌年に出た本が最後です。とすると、彼は、亡くなるまで四半世紀弱著書を発表してこなかったわけであり、それ以前はそれなりに本を出していたにもかかわらず、これはどういうことなのか。まさか、「宿命」のおかげで、一生働かなくてもいいくらいの印税が入ったということもないだろうし。

そもそも朝日新聞の掲載する写真が、99年の彼自身がもらった授賞式での写真というのもミソですね。おそらくこれ以降、朝日新聞のストックに、まともな彼の写真がないのではないか(苦笑)。たぶんそうです。どうもそれ以降彼は、目立った活躍ができていないのではないか。つまりたぶんこの本が彼の最初で最後の栄光だったのかもしれません。Wikipediaに、

>拉致被害者家族の集会等で講演を行なっていた。

とありまして、以前(あとで、そのことについてはまた書きます)ちょっと確認したのですが、最近の彼の「講演」ほかの活動記録を確認できませんでした。本を出さなくてもジャーナリスト活動ができないわけではありませんが、どうも彼についてなんら動きを確認できませんでした。これも一体どういうことなのか。

昨年私は、次のような記事を書きました。

「ハニートラップ」なんてことで、そのような歴史の話を解釈するのはよろしくない(半藤一利氏って、こんなトンデモだったのという気がする)(上) 「ハニートラップ」なんてことで、そのような歴史の話を解釈するのはよろしくない(半藤一利氏って、こんなトンデモだったのという気がする)(下)

その記事を書くにあたって参考にしたのが、bogus-simotukareさんのこちらの記事です。

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年6/3分:荒木和博の巻)(追記あり)

そこで私は、次のようなやりとりをコメント欄でしています。最初と最後が、私の投稿したコメントです。なぜ高沢がコメントに登場するかというと、高沢の著書「宿命」に、よど号事件の奥さんたちが、色仕掛けで日本人男性を北朝鮮に導いたという話があったからです。

>高沢も最近消息を聞きませんがね。まあ八尾恵からきいたんでしょうが。

>会社を潰した高世と言い、文芸評論家に転身した関川と言い、救う会と付き合うとろくな事になりませんね。八尾恵も消息を聞かなくなりましたし。

>これほんとそう思います。前の記事で指摘したアエラの長谷川のほかにも、恵谷、李教授、有田議員、もちろん家族会ほか、連中とかかわってろくでもない事態になった連中数知れずですね。小泉氏、田中氏らはいうまでもない。それこそ安倍晋三とか、連中と付き合ったのがプラスになった人間はごく少数でしょう。けっきょくめちゃくちゃな方針に固執して、それを批判する人間を遠ざけてばかりいて、仲間すら迷惑するということになるんでしょうねえ。世の中ここまで迷惑な存在もめずらしいのではないか(呆れ)。

このコメント欄でのやりとりから、下の記事を書かせていただきました。そしてその時高沢について調査して、まるで彼の消息をつかめなかったのです。

巣食う会とか家族会系の連中とかかわった北朝鮮関係の言論人は、その後ろくな状況でないと思う(関川夏央や高世仁、恵谷治、李英和ほか)

それで私は、この件で、先日執筆した記事を思い出しました。

「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞した文藝春秋社の本ですら、文春文庫に(他社の文庫にも)なっていないことがある

上で取り上げた本の著者である小林峻一と加藤昭も、ここ最近これといった著書がありません。そしてそれは、私が何かと記事にする高世仁も同じでしょう。高世も、2006年に光文社から出した本が、内容的にも商業的にもよろしくなく、その後は共著ほか中心で、本格的な本を出すにいたっていません。

北朝鮮が崩壊する前に自分の会社を倒産させた無様で無残な話

それで、けっきょく高沢も同じようなものなのでしょうね。彼の場合、田宮高麿が死んで(1995年)よど号グループと決別して以降、それまでの取材と八尾恵からの情報で本を書きましたが、けっきょくそれ以外にネタがなかったのでしょう。bogus-simotukareさんもご指摘のように、八尾もすでに表に出てきません。彼女のWikipediaにも、

>その後、自分が話せる範囲で北朝鮮による日本人拉致問題に関して語り始め、上述の著書を出版、テレビ出演も行っていたが、社会の拉致問題への関心低下、他方では実娘、よど号グループ及び支援者からの激しい個人攻撃や誹謗中傷を受け、2010年代以降は目立った活動は行っていない。

と書かれる始末です。つまりは、完全に過去の人のわけです。

つまりは、高沢も、上のお三方と同様、一発屋でしかなかったんでしょうね。高世仁の政治工作による安明進取材、小林と加藤の旧ソ連からの流出文書入手と同様、高沢も、よど号グループ関係者との人間関係でしかまともな取材などができなかったのでしょう。その他のことで、人に読んでもらえる本を書く力量がなかったのでしょう。

で、どうもなんですが、上の朝日の訃報記事にもあるように、高沢は、

>自ら収集した社会運動関係の文書約5万点を93年に米ハワイ大学に寄贈し

ています。私の勝手な印象では、高沢はジャーナリストというより学究肌の人間なんじゃないんですかね。彼は、現場のジャーナリストとしての能力は高くなかったのではないか。そういう点でいうと、彼はライターや編集者としての能力より、物事を収集したりいろいろなことを分析する能力などのほうが高かったんじゃないんですかね。私の誤解かもしれませんが、正直そんなにひどい見当外れということもないのではないか。

そう考えれば、たぶん彼にとっては、よど号グループとの付き合いが、彼にとってのジャーナリスト活動のすべてだったんじゃないんですかね。私も彼の著作では、「宿命」以外にたとえば「歴史としての新左翼」という本を読んだことがあります。これはなかなか面白い本でしたが、ただこれもジャーナリズムというより、社会思想史的な本ですね。彼は、初めから学者になる意思はなかったのかもですが、編集者としてはともかく、ジャーナリストとしての取材活動については、知っている人間(よど号グループ関係者)に対して以外には、そんなに適性がなかったのだと思います。「宿命」は面白い本でしたが、それ以外の面白いノンフィクションを書く能力、あるいは意思は、彼にはなかったのでしょう。

bogus-simotukareさんに感謝して、この記事を終えます。


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