一昨日ネットを観ていて、「おいおい」と思いました。NHKの記事より。
>日本アムウェイに勧誘など一部業務 6か月停止命令 消費者庁
2022年10月14日 17時40分
会社名や目的を明らかにしないまま、違法な勧誘を行っていたなどとして、消費者庁は、いわゆるマルチ商法を展開している「日本アムウェイ合同会社」に対して、勧誘など業務の一部を14日から6か月間、停止するよう命じました。
命令を受けたのは東京 渋谷区に本社がある「日本アムウェイ合同会社」です。
消費者庁によりますと、この会社は個人を販売などを担う会員に勧誘し、その会員に「紹介料が得られる」としてさらに別の人を勧誘させ、販売組織を連鎖的に拡大していく「連鎖販売取引」と呼ばれるいわゆるマルチ商法を行っています。
このビジネスを行う際、特定商取引法では、消費者に対して勧誘者の氏名や事業者名、勧誘の目的などを明らかにする義務や禁止事項が定められていますが、消費者庁によりますと「日本アムウェイ合同会社」は、遅くとも去年3月から、会社名や目的を告げずに勧誘する、強い口調でしつこく勧誘する、書面を交付していない、などの法令違反が認められたということです。
具体的には、メッセージアプリで知り合った相手を食事に誘ったあと、密室で化粧品の購入をすすめ、相手が断ると「絶対に今買ったほうがいい」などと執ように勧誘を続けて強引に入会させ、その間、会社に関する書類を一切交付していない、などの事例があったということです。
こうした行為が特定商取引法違反に当たるとして、消費者庁は、会社に対して個人の会員も含めた勧誘行為や契約の締結など業務の一部を6か月間停止するよう命じたほか、再発防止に向けた体制の整備を指示しました。
日本アムウェイ合同会社は「一部会員の違法行為を踏まえ、改めて倫理綱領や行動規準、会員に向けたトレーニングの見直し、関連法令や規則の周知などコンプライアンスの更なる徹底などを通じて実効性のある業務改善と再発防止対策を講じてまいります」とコメントしています。
この件については、inti-solさんも記事にされています。
inti-solさんとは、私が書こうとしていたものと記事の内容がかぶる、あるいは私も興味をもって記事にするということが多いですね。やはりいろいろ考えることや興味のあることが共通しているということでしょうか。
それで、inti-solさんは、当時は日本アムウェイについてよくご存じでなかったとのことですが、1996年~97年ごろに、この組織の集まりで演奏をしたとのことです。
>詳細は覚えていないのですが、当時参加していたアルゼンチンの踊りの伴奏グループのメンバーの誰かの親戚の家の新年会ということで呼ばれたように思います。
当時アムウェイという名を事前に知っていたわけではなく、行ってみたら十数人の人が集まっていて、自己紹介で次々と「アムウェイをやっています」「アムウェイやっていてよかったです」などという言葉が出てきて、つまりアムウェイ会員の新年会だったのです。結構、誰もが名を知るような超一流大企業に勤めている、という人が多かったように思います(もちろん、自己紹介ですからそれが事実という保証はありませんが)
とのこと。
アムウェイというと、トラブルが多いとか、加入すると人が変わったようになるとかいろいろ評判が悪いところです。個人的には、ここがいままで正式には摘発されなかったというのが不可解だったのですが(統一協会同様、なんらかの遠慮が行政にあったのか)、ともかく行政が入って処分がくだされたということは大変いいことだと思います。それにしても
>勧誘など業務の一部を14日から6か月間、停止
というのは相当な厳罰ですね。私の勝手な推測では、消費者庁などの関係機関の人たちの間でも、アムウェイに対してそうとう腹を立てていたのではないか。おそらく非公式の注意は散々しているはずですから。
さて話は変わりますが、知っている人、記憶されている向きも多いかもですが、アムウェイは、実はちょうどinti-solさんのライヴの時と重なりますが、長野オリンピックでの「ゴールドスポンサー」でした。Wikipediaにおける長野五輪の「スポンサー」によれば、「ゴールドスポンサー」とは、最高位のスポンサーである「パートナー」の次の格のスポンサーであり(その次が「オフィシャルサポーターおよびサプライヤー」)、アムウェイ以外では、
>
八十二銀行 KDD キリンビール ミズノ NTT セイコー トヨタ自動車といったところがそうです。「八十二銀行」は地元企業ですが、ほかは超ビッグ企業など日本を代表する企業です。「ミズノ」は日本を代表するスポーツ用品メーカーです。そう考えると「アムウェイ」の位置づけはかなり奇異です。ほかは、超大企業だったり時計メーカーとかスポーツ用品メーカー、地元企業とかでオリンピックとの関連はわかりますが、アムウェイはさすがに「?」でしょう。
で、当時テレビでもやたらアムウェイのCMが流れていました。
Amway CM 長野オリンピック
なおWikipediaによると、
>1996年7月5日、長野オリンピックのゴールドスポンサーになったことが発表された
とありますが、当時のアムウェイの状況は、日本では
>1990年代半ば頃、日本でブームになり、1996年には売上高が2121億9500万円となるが、1997年、国民生活センターの理事長が衆議院の委員会にて、日本アムウェイ社に関する苦情・相談件数が4年連続で1000件を超えていること、社名公表を含めて検討していることを発言。これを機に、各メディアがアムウェイ商法の問題点を指摘するなど、社会問題化したことで売り上げを大きく落とし、会員数も減少に転じる。2000年には、売上高1197億円とピーク時の半分程度に急落する。上場も廃止し、株式も非公開とする。
というものであり、ブームになった後急激によろしくない状況になるというかなり問題の多い時期でした。96年にゴールドスポンサーになったはいいが、翌年には国会で問題となっては、いくら何でもオリンピックのスポンサーとしてはまずいでしょう(当たり前)。なお上の引用では、注釈の番号は削除していることをお断りしておきます。以下も同じです。
それでアムウェイは、米国では、実は共和党の有力支持企業でもあります。これもWikipediaからの引用ですが、
>創業者リッチ・デヴォスは共和党の財務委員長を務めた。
リッチ・デヴォスの息子であり元社長のディック・デヴォスは、2006年にミシガン州知事選挙に共和党代表として立候補したが、民主党現職候補に敗れた。
ディック・デヴォスの妻ベッツィ・デヴォスは、2017年から2021年1月まで11代目アメリカ合衆国教育長官を務めた。
という具合です。私もアムウェイが、共和党の熱心な支持企業であることは知っていましたが、ここまでいろいろなことにかかわっているとは知りませんでした。日本でも野田聖子がかかわっていることが紹介されています。また同じくWikipediaから引用しますと、
>全米商工会議所は、日本や欧州の商工会議所とは異なり民間の団体である。米国最大のロビイスト組織でもある。
「en:United States Chamber of Commerce」も参照アムウェイ創業者のジェイ・ヴァン・アンデルは、1979年に会頭を務めた。
アムウェイ会長のスティーブ・ヴァンアンデルは、2001年と2013年に会頭を務めた。
親子二代で会頭職を務めたのは初だった。
というわけであり、かなりの影響力があるのではないかと思われます。
それにしてもこの件はさすがに、スポンサーになったこと自体は違法ではないとはいえ、昨今問題となっている東京オリンピックでのスポンサー問題同様いろいろな点でオリンピックのスポンサー関係というのも、よろしくないことが多いですね。実際他のスポンサー企業の間でも、「アムウェイなんかと一緒にされたら困る」という声はあったはずだし、たぶん組織委員会がアムウェイをスポンサーにしたのも、気は進まなかったがほかにスポンサーになってくれる企業がなさそうなのでなってもらったということのようですが(実際にはわりとスポンサーになってくれたので、組織委員会も「あんなとこになってもらわなければよかった」と後悔したという話を前読んだことがあります。事実かどうかは知りませんが、まあそうだったのでしょう)、アムウェイのようにトラブル多発、マルチ企業の会社をオリンピックなんかのスポンサーになってもらわなくてもいいでしょう。アムウェイの問題点については、Wikipediaの「批判」をまずはご覧になってください。日本だけでなく、本国の米国はもちろん、カナダや英国などでの事例も紹介されています。
最近は、日本でもAmazonほか通信販売などの無店舗販売の位置づけが大きくなっていますし、ましてや国土がだだっ広くて近くに店舗が十分でないことも多い米国のような国では、日本とはまた違った意味で通信販売の意義があります。そういうことは理解しますが、それにしたってねです。アムウェイにとって、マルチのシステムというのは、レゾンデートルなのでやめるわけにはいかないのでしょうが、さすがに多方面に迷惑のかけまくりです。「中島薫」などという人物(どういう人物かは、この人物の名前に「アムウェイ」とあわせて検索してください)は、関係者には神に近いような人間かもしれませんが、関係ない人間にとっては、いかがわしい人物でしかない。関係している人たちは、自分たちが世間でどういう目で見られているか、すこしは考えたほうがよろしいかと思います。
inti-solさんに感謝してこの記事を終えます。