先日このような記事を書きました。
アムウェイは、長野オリンピックにおける「ゴールドスポンサー」だった(さすがにマルチ商法の会社がスポンサーじゃまずいでしょ)本日は、その記事の補足みたいなものかもしれません。それで本日は、アムウェイに対して消費者庁が行政処分を下したことを報じる記事を、前回ご紹介したのとは違うものを引用します。後日の参考のため、全文引用いたします。inti-solさんも同じ記事を引用されています。
>「日本アムウェイ」に6カ月の取引停止命令 社名や目的言わず勧誘
毎日新聞 2022/10/14 15:13(最終更新 10/15 11:52) 1765文字
消費者庁は14日、「日本アムウェイ合同会社」(東京都渋谷区)に対し、連鎖販売取引(マルチ商法)について社名や目的を言わずに勧誘したことなどが特定商取引法違反に当たるとして、6カ月の取引停止命令と、再発防止策を講じることなどを求める「指示処分」を出した。同社への行政処分は初めて。
この処分で連鎖販売取引についての勧誘や契約などが禁じられるが、会員同士の売買は可能だ。
同庁によると、社名や目的を言わずに勧誘した▽目的を告げずに誘った相手を密室に連れ込んで勧誘した▽相手の意向を無視して一方的に勧誘した▽契約締結前に書面を交付しなかった――という4種類の違反を確認したという。
具体的には、ネット交流サービス(SNS)を通じて誘われた「女子会」でハンドクリームを勧められたり、サークルメンバー募集に応募したら事務所に連れられ、後日、突然勧誘されたりしたという。
同社は、会員が勧誘により別の会員を増やすことで報酬を得るネットワークビジネスが主事業。同社のホームページによると、1979年5月の創業で資本金は50億円。2021年6月時点で373人の従業員を抱えている。日用品から健康食品など幅広いジャンルを取り扱い、21年の売上高は984億5700万円に上った。同庁によると、会員数は今年3月時点で約60万2000人。
同庁によると、全国の消費生活センターに寄せられたアムウェイに関する苦情相談件数は、19年度317件▽20年度257件▽21年度270件▽22年度(9月15日時点)109件。相談は47都道府県から寄せられ、相談者の内訳は男性が約4割、女性が約6割。年代別では20代が45・1%を占めるという。
消費者庁は今回の処分について「苦情相談が全国に広がっており、マッチングアプリを利用して誘い込んでから『実はアムウェイである』と告げる悪質性を総合的に考慮し、処分が必要と判断した」と話した。
消費者庁によると、連鎖販売取引は契約書面を受け取った日から20日間以内であれば、原則として無条件で契約を解除できる。判断に困る場合は、消費者ホットライン(電話188)への相談を呼びかけている。
同社は「本件を厳粛に受け止めております。いかなる違法行為も許さない姿勢で、実効性のある業務改善と再発防止対策を講じてまいります」などとするコメントを発表した。【藤沢美由紀】
事業継続の意欲示すメールを会員に
「消費者庁より、数件の特商法違反行為を問われる事態となり、新規勧誘の取引等停止の命令とともに更なる改善努力を指示されています」。消費者庁が行政処分を公表する前、業界大手のマルチ業者「日本アムウェイ合同会社」(東京都渋谷区)が会員に送った文書の一部。「弊社はいかなる違法行為も許しません」などとも記し、事業継続への意欲がみてとれる。
同社には従業員の他に、ABO(アムウェイビジネスオーナー)と呼ばれる販売を担う会員がいる。同社のホームページによると、ABOは約69万組に上るとされ、会員価格で仕入れた製品を知人や友人に販売しているという。販売価格と会員価格の価格差が会員の利益になるという仕組みで、売れば売るほど報酬が増える。
新規会員獲得などの成果に応じたボーナスも設定されている。20段階程度の「ピン・レベル」と呼ばれる階層があり、上位になるほどそれに応じた特典が得られる。同社は「努力に応じた報酬制度」とうたい、「経験や性別、学歴などに左右されることなく、機会は平等に提供されます」などと紹介していた。
一方で、商品を売るため強引な勧誘などが問題となっていた。昨年11月には、マッチングアプリで知り合った女性を同社に会員登録するという目的を告げずにエステに連れ出し勧誘したとして、特定商取引法違反容疑でABO2人が京都府警に逮捕される事件も起きている。同社への勧誘を巡り、同法違反で立件されたのは全国で初めてとみられ、警察や行政機関は監視を強めている。
ABOの中には、主に商品の取引で生計を立てている人もいるとみられ、6カ月の取引停止命令が下れば、生活に困窮するケースも出かねない。違法なマルチ商法が名前を変えるなどして潜伏し、新たなマルチ商法の被害を生まないためにもしっかりとした監視が引き続き必要だ。【小鍜冶孝志】
記事中私が興味深く感じたのがこちら。
> 同庁によると、社名や目的を言わずに勧誘した▽目的を告げずに誘った相手を密室に連れ込んで勧誘した▽相手の意向を無視して一方的に勧誘した▽契約締結前に書面を交付しなかった――という4種類の違反を確認したという。
え・・・それって旧統一協会がやっていることじゃん(苦笑)。
世の中マルチ商法をおおっぴらにやっている企業がそうそう長くそのような営業を続けられるというものでもないはずですが、日本アムウェイは、こういった営業をえんえん続けていますからね。これまた変な話です。読売新聞の記事より。
>消費者庁は14日、違反の具体的な事例も公表し、会員らがSNSなどで相手に近づき、 執拗しつよう に勧誘をしていた実態を明かした。
公表事例によると、被害者の女性は昨年3月、マッチングアプリで知り合った男性から食事に誘われた。食事中に「知り合いがサークルをやっている。参加してほしい」と言われ、近くの建物に移動。その場にいた女性から後日、フェースマッサージを受けることになった。その後、「今使った化粧品がおすすめ。教えてあげるわ」と言われ、初めて日本アムウェイの冊子を見せられた。
被害女性は断ったが、男性から「絶対に必要」などと繰り返され、さらに「商品を買うなら入会が必要」としつこく勧誘された。女性は承諾しないと家に帰れないと考え、入会してしまった。別の被害者はSNSで知り合った人物から「女子会」に誘われ、食事後に突然、勧誘されたという。
自分たちの組織名や目的を言わずに勧誘したりするというのは、この種のいかがわしい組織の常道です。自分たちの名を出したりすれば一発で警戒されるし嫌がられるので名前を出さないというのも、だったらそんなことするなというレベルの話ですが、どうもそうもいかないらしい。
さてさて、私もアムウェイというのはろくでもないところだと認めることについてはやぶさかでありませんが、しかしそういうことを言うのなら、上にも書いたように、旧統一協会はアムウェイよりはるかにもっとひどいですよね。
安倍晋三を殺した山上徹也容疑者の受けた仕打ちは、
>山上容疑者の伯父によると、同容疑者は4歳の時に父親と死別した。母親は夫の死などを受け旧統一教会に入会。献金額は少なくとも1億円に上り、母親は2002年に破産した。山上容疑者は同年、任期制自衛官として海上自衛隊に入隊。海自時代の05年には生活に困窮した兄と妹に保険金を渡すため、自殺未遂を図った。兄は15年ごろに自殺したという。
とのこと。アムウェイも相当いろんな人間の人生を狂わせているでしょうが、さすがにここまでひどい事例はそうはないんじゃないですかね。まったくないということもないかもですが、しかし旧統一協会にかんしては、こんな事例はしょっちゅうですからね。Wikipediaの「霊感商法」にも、
>2018年6月8日に消費者契約法改正案が成立し、「消費者は事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、以下の勧誘行為によって困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる」と霊感商法について消費者は消費者契約を取り消すことができると規定され(取消権の期限は法7条により、追認をすることができる時から1年以内又は該消費者契約の締結の時から5年以内)、2019年6月15日に施行された。
「当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、特定事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げる」(法第4条第3項第3号) 「当該消費者が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること」(法第4条第3項第4号) 「当該消費者に対して霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げる」(法第4条第3項第6号)なお、統一教会による金銭被害は、霊感商法だけでなく、信者への多額の献金要求なども含むことに留意が必要である。霊感商法の被害は、教団外部の第三者が受けた被害であるため、内部の信者が自発的に行動して受けた被害をどう扱うのかという問題が浮上している。
2005年から2010年にかけて、警察による霊感商法の摘発が相次いだことから、不特定多数を狙った霊感商法は下火になり、集金方法は「狭く、深く」少数の信者から大金を搾取するようになっているという。
とあります(注釈の番号は削除。以下同じ)。山上容疑者の母親は、上の引用にある
>なお、統一教会による金銭被害は、霊感商法だけでなく、信者への多額の献金要求なども含むことに留意が必要である。霊感商法の被害は、教団外部の第三者が受けた被害であるため、内部の信者が自発的に行動して受けた被害をどう扱うのかという問題が浮上している。
2005年から2010年にかけて、警察による霊感商法の摘発が相次いだことから、不特定多数を狙った霊感商法は下火になり、集金方法は「狭く、深く」少数の信者から大金を搾取するようになっているという。
というくだりの典型事例かと思います。
それでこういうめちゃくちゃな組織に対して、安倍晋三は応援するメッセージを送ったし、また萩生田光一は、国政選挙における自民党の新人候補(生稲晃子)を連れて、
>八王子市子安町の統一教会の施設「八王子家庭教会」に向かった。八王子家庭教会には150人ほどの信者らが集まった。司会者は期日前投票に行くことなどを求め、生稲と萩生田の入場を告げると、教会は拍手に包まれた。信者は『巨人の星』の替え歌で「行~け行~け~晃子~、どんと行け~」と激励。生稲は目頭を押さえ、萩生田は生稲の支援を要請した。二人は30分ほど滞在した。
というわけです(生稲晃子のWikipediaからの引用)。これが、今年の6月22日の話であり、いわば自民党という政権与党である政党の(最高)幹部らが、積極的に支持したり、あるいはその関係を連綿と続けようとしてそれを実行しているわけです。米国や韓国では、さすがに昔はともかく現在は、旧統一協会もそうそう政権に食い込んでいるわけでもないようですが、日本ではこの始末です。旧統一協会は、まさに自民党政権を自分たちの用心棒にしているわけで、そうでなければ旧統一協会なんてところがいまだにでかい面ができるわけがない。
それで今回の日本アムウェイへの摘発も、安倍暗殺にからむ旧統一協会騒動が関係しているのではないかと思います。inti-solさんも、私のコメントへの返しで、
>安倍が殺されたことというより(もちろんそのことが原因で)統一教会の霊感商法の問題点が取り沙汰されていることと、この行政処分はつながりがあるだろうなと、この報道を見た瞬間に私もパッと連想しました。無関係とは考えにくいです。
とお書きになっています。そう考えられても仕方ないでしょう。
で、そのコメントでも書きましたように、カルト組織というのは、若者に対しては労働力を搾取し、中高年に対しては財産を分捕るというところがあります。旧統一協会なら、学生などはやたら働かせ(昔は、珍味売りなどをさせていました)、中高年に対しては、霊感商法などで財産をかすめ取るわけです。オウム真理教などもご同様。日本アムウェイの場合、必ずしも若者がディストリビューターとして極端に働くということもないのかもですが、ともかくアムウェイが摘発されるのなら旧統一協会の方がはるかに悪質です。それは間違いない。これでは、たとえば昔の米国におけるマフィアと地元政財界との癒着とかを笑えない。お話にもならない光景です。
inti-solさんに感謝を申し上げてこの記事を終えます。