こんな記事を読みました。
元アイドルが食べた"刑務所メシ"(1)いまでも麦飯を食べる理由とは?
記事から引用します。
>“刑務所ダイエット”の効果
後藤氏は今、体重は平均66キロ。だが刑務所の中にいた時は、ずっと56キロだったという。少刑では運動の時間、ずっと走らされるからカロリーの消耗は激しい。なのに食事の量は、それに見合うものでは決してなかったようだ。
ただ満足感はさておき、腹8分目の食事は健康にいい、とされる。麦飯だって身体にいい。また、味付けも必要最小限で、塩分は控えめ。栄養士も専属の人がちゃんといて、きちんとカロリー計算された料理が供される。
前に取材した一人は、ずっと糖尿病で悩んでいたが、中に入るとみるみる血糖値が下がり、「病気が治ってしまった」と言っていた。
「だから糖尿病の治療なんて、簡単なんです。刑務所と同じものを食べさせればいい。『刑務所ダイエット』なんていい本になると思いますよ」
後藤氏も、「ある意味、精進料理みたいなものばかり食べさせられるわけですから(笑)。刑務所メシで糖尿病が治った、ってあってもおかしくはないと思います」との意見だった。
かつての「臭いメシ」が実は、健康にいい。そのことだけは間違いがないようだ。
文/西村健
記事中の
>後藤氏
とは、後藤真希の弟である後藤祐樹のことです。彼は、2008年から12年まで川越少年刑務所に収監されていました。
記事の筆者である西村健氏は、同じく後藤にインタビューした一連の記事の中で、
>「みんな甘いものに飢えている」
刑務所に入ったら、とにかく甘いものが欲しくなる。以前、取材した元受刑者達は強く主張していた。内の一人は元々お酒が好きで、甘いものはそんなに食べる方ではなかった。それでも―――
「中にいたら、酒が呑みたいとかは特に思わないんです。それよりとにかく甘いものが食べたい。本当にそうなります」
(中略)
「僕の周りを見てみても、普通は男性、甘いものはあまり食べない、って人も多いじゃないですか。特にお酒呑みの人はそうですよね。でも中に入ると真逆なんです。みんな甘いものに飢えている。出されると、むしゃぶりつくように食べてます」
「とにかく甘いものが食べたくなる」という後藤祐樹さん
出所したら、お菓子を買いまくって食いまくる
後藤氏は元々、お酒はそんなに呑む方ではなかったそうだ。ただ、ヘビースモーカーではあった。日に何箱も吸っていた。タバコの禁断症状はどうだったのか。
「それが、タバコも別に吸いたいとは思わないんですよ。それよりとにかく甘いものが食べたい。お酒よりもタバコよりも、甘いもの。それが実感でしたねぇ」
こういう証言を聞くにつれ、我々は普段の生活で必要以上の糖分を摂っているのだろうな、と思い知らされる。それに身体が慣れている。だから刑務所に入って、必要最小限の糖分しか与えられないと無性に欲しくなってしまう。そういうことなのだろう。
連載第1回の際に、糖尿病持ちだったのが「服役したらそれが治った」という元囚人の証言を紹介した。外にいると過剰なまでの糖分にさらされるから、糖尿病にもなってしまう。だが塀の中で、必要最小限の糖分だけを摂っていれば、症状が改善してしまった、というのだ。どれだけ我々の普段の生活は不健全なのか、こうしたエピソードから思い知らされる。
と書いています。
刑務所で暮らしていたら、糖尿病が軽快(改善した)という話は前に何かで読みました。こちらですかね。
刑務所で麦ごはんを食べていたら、糖代謝が改善されて健康になった!?
>【論文・レポート】
日本の福島刑務所の2型糖尿病の男性の囚人の代謝改善
Metabolic improvement of male prisoners with type 2 diabetes in Fukushima Prison, Japan
■概要
本試験では、日本における2型糖尿病の男性受刑者の代謝制御を調べた。1998年から2004年までの福島刑務所の男性囚人のカルテの後ろ向き分析で、2型糖尿病の109人を調査。彼らは刑期中、空腹時血漿グルコースおよびHbA1cレベルが大幅に低下した。さらに、インスリン治療を受けていた18人中5人(28%)と、経口血糖降下薬治療を受けていた34人中17人(50%)が治療を中止し、良好な代謝制御を維持することができた。日本の受刑者たちは、麦ごはんを含む高食物繊維食を日々摂取し、週に5日働いている。これらの知見は、良好に制御された生活習慣および大麦などの高食物繊維の長期摂取が、2型糖尿病の患者の代謝管理に有益な効果をもたらす可能性があることを示唆している。
拘置所は(未決ですから)差し入れOKですが、刑務所は食い物の差し入れは一切不可です。記事にもあるように、きっちりとしたカロリー量、禁酒禁煙、甘いものが少ない、きっちり労働もさせる(少年刑務所は、ものすごく運動もさせる)、こういう環境なら、食いすぎや運動不足でなる2型糖尿病にはきわめて有効ですね(1型糖尿病は話がちがいます)。
ただ問題は、刑務所暮らしにおけるストレスです。特に少年刑務所などは、いじめがひどい。後藤もだいぶやられたそうです。そうだろうなと思います。そして糖尿病は、ストレスが大敵です。詳細については、こちらの記事を参照してください。
正直刑務所に行く人は、ストレスうんぬん以前に食生活ほか私生活全体が非常に荒れている人間が多いので、刑務所でのストレス増加よりも日々の生活状況の改善の方が勝るのかもしれません。実際刑務所の方がほっとするという服役囚も多いわけです。
ただそうすると一般人は、食生活や労働環境、禁酒禁煙というルールはいいとして、ストレスの激しさは問題になりえるかと思います。どっちみち糖尿病治療のために刑務所に行くというのは現実的なアイディアとは言えませんから、ここは禁酒禁煙と食生活をまねするということになりそうです。そうすればHbA1cの改善やインスリン治療、薬物治療から解放、あるいは軽減という可能性もあるかもしれない・・・?