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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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ほれみろ、米国とイランだって、けっきょく対価じゃねえかよ(こういうことを拒否しまくっているから、9月17日に拉致問題がろくに話題にならないという事態になるのだ)

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過日の記事を。


米国、イランと囚人交換 8800億円の資産凍結を解除

2023年9月19日 2:27

【ドバイ=福冨隼太郎、ニューヨーク=中村亮】米国とイランは18日、囚人交換を実行した。米国は交換の条件になっていた約60億ドル(約8800億円)にのぼるイラン資産の凍結を解除し、イラン中央銀行が確認した。関係悪化を食い止めて核協議の再開を模索する。

バイデン米大統領は18日の声明で、イランが米国人5人を解放したと発表した。カタールを経由して米国に戻る予定だ。解放交渉を仲介したカタールとオマーンに謝意を示した。

声明で不当に拘束された米国人の解放に関し「政権発足1日目からの優先課題だ」と強調した。ロシアやシリア、ベネズエラをあげて「まだあまりにも多くの米国人が違法に拘束されたままだ」と言及し、解放へ取り組むと訴えた。

イラン国営テレビは18日、米国内で収監されるなどしていたイラン人5人が解放され、このうち2人がカタールに到着したと伝えた。イラン外務省報道官は5人のうち2人は米国にとどまり、1人は家族のいる第三国に向かうと明らかにした。

イラン中央銀行のファルジン総裁は同日、韓国で凍結されていた約60億ドルの資産がカタールの銀行口座に振り込まれたと発表した。カタールで資産を管理し、米国は用途を食糧や医薬品に限定する。

資産は韓国が原油購入のためにイランへ支払う予定だった。米国による対イラン制裁で凍結になっていた。イランは違法に差し押さえられたとして支払いを繰り返し求めてきた。

バイデン米政権は囚人交換に合わせ、イランへの追加制裁も発表した。イランのアハマディネジャド元大統領と情報省を制裁対象に指定した。米国人の拘束に関与したためだと説明した。

米野党・共和党ではバイデン政権がイランに弱腰だとの批判が根強い。追加制裁を通じ、人権問題で譲らない姿勢を印象づけて批判をかわす狙いがある。

バイデン米政権は囚人交換をきっかけにイラン核合意再建に向けた協議再開を探る。

米政府高官は記者団に「イランが米国民の拘束を続けるほど外交の土台をつくれないと明確にしてきた」と述べた。核協議再開の可能性にコメントを控えつつ、囚人解放に関し「外交の障害を取り除く」と言明した。

米国と英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国は2015年、イランの核開発を制限し、経済制裁を解除する国際合意をまとめた。米国のトランプ前政権が18年に合意から離脱して経済制裁を再開。イランは核合意の義務履行を相次いで停止した。

その前の記事


米とイラン、核協議再開探る 制裁緩和・囚人交換で調整

2023年8月14日 11:30 (2023年8月14日 18:42更新)

【ワシントン=中村亮】米国とイランは関係修復を探る。両国は囚人交換とイラン保有資産の一部凍結解除で最終調整に入った。バイデン米政権はイランの核開発を制限する多国間協議の再開に向けて布石を打つ。中東で一定の影響力を維持する狙いだ。

米国家安全保障会議(NSC)は10日の声明で、イランの刑務所で拘束されてきた米国籍の5人が自宅軟禁に移ったと明らかにした。解放に向けた前進を示し「最終的な解放に向けて交渉は続いており機微に触れるものだ」と言及した。

イランのバゲリ外務次官は囚人交換に加え、米国はイラン資産の凍結解除に応じると説明した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、イランは韓国にある約60億ドル(8700億円)の資金を使えるようになる。

NSCのカービー戦略広報調整官は11日、イランとの協議は続いているとしたうえで「資金は軍事転用ができない食料や薬、医療物資の調達にだけ使える」と記者団に話した。カタールで資金を管理し、米国が使途を厳しく監視すると強調した。

60億ドルは韓国政府が原油購入のために支払う予定だったもので、米国の制裁により凍結されていた。イランは違法に差し押さえられた資金だとして支払いを繰り返し求めてきた。

イランの外務省報道官は14日の記者会見で「囚人交換や資産凍結の解除は核合意と直接関係ないが、互いに影響する可能性はある」と指摘した。

米国とイランは数週間をかけて囚人の交換や資産凍結の解除を進める見通しだ。両国は国交を持たず、オマーンやカタールなどを介して交渉を重ねてきた。

米国とイランの間接交渉では、イランがウラン濃縮度を60%以下に下げる方針で一致したとされる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはイランが保有する濃縮ウランの一部で合意を履行したと報じた。

イランは米制裁の長期化で国内経済が疲弊しており、さらなる関係悪化を食い止めたい考えだ。拘束者の解放や核開発で一部譲歩する姿勢を見せ、米国側の出方を見極めるとみられる。

米英とフランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国は2015年にイランと核開発制限を定めた核合意をまとめた。だがトランプ前政権は18年に一方的に合意から離脱。イランへの経済制裁を再開した。イランの資金源である原油輸出を断ち切るため、同国と取引した外国の金融機関にも米金融機関との取引を禁じた。

21年に発足したバイデン政権は核合意の再建を目指した。再建交渉は一時妥結に近づいたが、イランが米国の再離脱を警戒して暗礁に乗り上げた。22年には核合意に加わったロシアがウクライナ侵攻を開始。ロシアと米欧との亀裂は決定的となり、従来の枠組みでの再建はさらに遠のいた。

米国の離脱に反発したイランは核合意で制限されたウラン濃縮活動を加速した。米国家情報長官室は3月公表の年次報告書でイランが最大90%までウラン濃縮を進めるシナリオに言及した。濃縮度90%は核爆弾の製造が可能な水準と位置づけられる。

22年12月にはイスラエルでネタニヤフ氏が首相に返り咲いた。ネタニヤフ氏はイランに対して武力行使を排除しない構えだ。イランは核爆弾を保有する方針はないと公言するが、イスラエルの懸念は根強く、米国が対応を迫られている。

対立が続いていたイランとサウジアラビアは3月、中国の仲介により外交正常化に合意した。バイデン政権はイランとの核協議再開を通じて中東の安定に関与し、同地域で存在感を増す中国に対抗する狙いがある。

とはいえ、バイデン政権がイランとの歩み寄りに使える手段は少ない。イスラエルメディアによると、同国首相府は「イランの核関連インフラを解体しない取り決めは核開発計画を止めず、イランが支援するテロ集団に資金提供するものでしかない」と言明した。

60億ドルの利用をイランに認めるバイデン政権を非難するものだ。バイデン米大統領は秋に米国でネタニヤフ氏と会談する計画だが、イラン問題で協調を打ち出せるかどうかは見通せない。

米国内では野党・共和党もバイデン政権を批判する。マイケル・マコール下院外交委員長は13日、FOXニュースのインタビューで資産凍結解除に関してイランのテロ行為や核開発を後押しすると主張し「過去の誤りに回帰する」と唱えた。

24年11月の米大統領選に向け、共和党はバイデン政権がイランに弱腰だとの批判を強めていく公算が大きい。

米国はイランがウクライナ侵攻を続けるロシアを軍事支援していると非難してきた。バイデン政権はイランに弱腰と受け取られるとウクライナや欧州から批判を浴びるリスクをはらむ。

挟まっている図表は、元記事からです。挿入されている場所も同じ。引用記事にもありますように、


とはいえ、バイデン政権がイランとの歩み寄りに使える手段は少ない。イスラエルメディアによると、同国首相府は「イランの核関連インフラを解体しない取り決めは核開発計画を止めず、イランが支援するテロ集団に資金提供するものでしかない」と言明した。

60億ドルの利用をイランに認めるバイデン政権を非難するものだ。バイデン米大統領は秋に米国でネタニヤフ氏と会談する計画だが、イラン問題で協調を打ち出せるかどうかは見通せない。

米国内では野党・共和党もバイデン政権を批判する。マイケル・マコール下院外交委員長は13日、FOXニュースのインタビューで資産凍結解除に関してイランのテロ行為や核開発を後押しすると主張し「過去の誤りに回帰する」と唱えた。

24年11月の米大統領選に向け、共和党はバイデン政権がイランに弱腰だとの批判を強めていく公算が大きい。

米国はイランがウクライナ侵攻を続けるロシアを軍事支援していると非難してきた。バイデン政権はイランに弱腰と受け取られるとウクライナや欧州から批判を浴びるリスクをはらむ。

とありますし、確かにそれはそうなのかもしれませんが、でもしょうがありませんね。そうしなければ米国人が解放されないし、交渉の糸口もつかめない。政権批判のための批判という側面もあるし、またバイデン氏の前任者であるドナルド・トランプ氏は、イランに対してはイスラム革命防衛隊ガーセム・ソレイマーニー(ほかに複数の表記あり。この記事では、Wikipediaにのっとります)氏を暗殺するなど過激なことをしましたが、北朝鮮に関しては、金正恩氏と会談するなど、そんなに強硬な態度を取っていたわけではない。

さてさてここで、私が思い出すのが、かの高世仁の記事です。こちらで論評しました。

そういう例を出すのなら、拉致問題だってやっぱり金(対価)次第じゃないか

高世は、フィリピンで反政府武装勢力に身柄拘束された日本人カメラマンが、右翼他の仲介で金の支払いで解放されたという話を記事にしています。

拘束されたカメラマンを右翼が救出

しかし高世は、そのような記事を発表しておいて、

形を変えた拉致=「帰国運動」

という記事では、

>(前略)

きょう午後、ロシアのジャーナリストに拉致問題についてレクチャーすることを頼まれた。

(中略)

「ただ、いつになるか分らない全面解決までの間、並行して、可能なかぎり身柄を取り返す努力もすべきだと思う」

と私がいうと、彼は、「かつて西ドイツが東ドイツに対してやったような、お金による身柄引き渡しはできないのですか」と聞いてきた。

これは、いわゆる「政治犯の買い取り」と言われるもので、63年から東欧体制が崩壊した89年までの間に、西ドイツは、3万3755人の政治犯や離散家族など合わせて25万人を35億マルクを支払って東から引き取った。

(後略)

という話を紹介しておきながら、

>私は拉致被害者の「買い取り」が可能なら試みるべきだと思う。しかし、北朝鮮が日本から拉致してきた人のリストを出してきて、一人10万ドルなどと取り引きを持ちかけてくるならともかく、「拉致問題は解決済みで、生存している被害者は一人もいない」と言い張るのだから、「買い取り」たくともできない。

という結論なわけです。ただそれって、つまりは当時の西ドイツ政府が、現在の日本政府よりもはるかに現実的かつ効果的な対応をしたということであって、西ドイツ政府のやり方を支持するのなら、「なら日本もそうするべきだ」という結論になるかと思いますが、高世の頭脳では、そうはならないというのがなんともはやです。ていうか、日本政府もそれしたんですけどね。

米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる

その記事の中で私は、


反北朝鮮を訴える組織、あるいは個人が、北朝鮮へ経済制裁ほかの圧力をかけることにより(屈服させることで)、北朝鮮から譲歩を勝ち取り、拉致被害者帰国を実現したしこれからも実現することを可能とする、みたいな主張をしています。しかし私は、そのような主張を立証する第三者の発言その他を読んだり見たりした記憶がないですね。

私はいままで、拉致問題に関してさまざまな本を読みましたし、新聞、雑誌、ネットなどのさまざまな記事を読みました。また拉致について特集したテレビ番組などもたくさん見ています。それで、それらの中で、上に書いたように、圧力によって北朝鮮側の譲歩を勝ち取れたということを具体的な証拠をもって説明した記述や報道は、私は知らないですね。巣食う会や家族会、その関係者や支持者(櫻井よしことか)がそのような主張をしているのは数限りなく読んだり見たりしていますが、その主張を立証するものは知りません。

と指摘しました。つまりは、日本が北朝鮮に大規模な経済支援のオファーをしたことが、北朝鮮が拉致被害者を返す最大のポイントだったということです。現在では、そういう話は「なかったこと」「不都合な真実」で語らませんが、だからといってそういうことがなかったわけではない。そのオファーがなければ、たぶんいまでも蓮池さんや地村さん、曽我さんらは北朝鮮にいるのではないか。ジェンキンス氏は、北朝鮮で亡くなったのでしょう。で、高世がそんなことを認識していないわけがない。何をいまさらながら、呆れた野郎です。

そうなるとこんどは、「泥棒に追い銭だ」とかいう手合いがいますが、つまりは、どちらが大事かということです。こういうことを主張する人間は、拉致被害者(人質)が解放されるより、北朝鮮への強硬措置(といえばかっこいいが、要は単なる不作為)を続ける方が(たぶんずっと)大事だと考えているということでしょう。もっとも共和党だって、政権を握れば、時と場合によっては、今回のバイデン政権のような対応を取る可能性は十分にあり得ます。それでですよ、そういう追い銭主張をしている人物の一人が、「巣食う会」副会長の島田洋一です。こんなことでは、拉致問題なんか解決するわけがない。

さて、9月17日は、2002年に小泉首相(当時)が、北朝鮮に行って拉致を認めさせた日です。これは、日本外交の偉大な勝利と私は思いますが、

「9月17日は小泉訪朝の日」ほか

でbogus-simotukareさんがご指摘のように、日本のマスコミなどもこの件をろくに報道しないわけです。私も、bogus-simotukareさん同様この日のことを忘却しました。私たちでそうなのだから、他の人はなおさらでしょう。それも当然であって、家族会の連中がやれ平壌に連絡事務所を置くなとかめちゃくちゃなことを要求するわけです。その家族会の態度では、そうなるのが当たり前でしょう。いったいぜんたい、連絡事務所すら設置しなくて、どうやって北朝鮮と交渉しようというのか。

まあつまりは、与党(自民党・公明党)の政治家も、(まともな人は)対北朝鮮対応に限界を感じているのだろう

上の記事でご紹介した佐藤優氏の記事を。


ハバナ勤務の米国務省職員

 外交を断絶すると、「利益代表国」を指定する。外交がなくなった国と連絡を取る必要が生じた場合は、利益代表国を通じて行う。大東亜戦争中、米国における日本の利益代表国はスペインで、日本における米国の利益代表国はスイスだった。

 1980年代末、ソ連とイスラエルは外交関係を断絶していた。ソ連におけるイスラエルの利益代表国はオランダだった。オランダ大使館には、オランダ人外交官のパスポートを持ってイスラエルの外務省と秘密組織「ナティブ」(ヘブライ語で「道」の意味。ソ連・東欧からユダヤ人を秘密裏に出国させるための機関)の代表者が赴任していた。表面上、対立しているように見える国でも、裏では交渉のチャンネルを作っているという事例は多い。

 キューバに関しても、これがあてはまる。キューバにおける米国の利益代表国はスイスだ。ハバナのスイス大使館には100人以上の米政府職員(主に国務省)が勤務しているという。この話を筆者が初めて聞かされたのは、85年に外務省に入省し、情報調査局情報課で研修生をしていたときだ。先輩の課長補佐が、キューバ勤務から戻ったばかりで、「アメリカとキューバの関係は、外から見ているほど、悪くはないよ」と言って、スイス大使館の話を聞かせてくれた。外交の実態とはこういうことかと筆者は興奮した。

その引用に続けて私は、


ちなみに上の記事での85年というのは、レーガン政権の時代であり、社会主義陣営に対して米国が強硬な立場だった時代であることも留意すべきです。またこの記事は、産経系のメディアでの発表です(笑)。

と指摘しています。そういうものです。つまりは、合理性や現実性を追求すれば、そういうことになるわけです。当たり前でしょう。で、安倍晋三をはじめとするポスト小泉の日本の歴代の首相たちは、みなそれを逃げましたからね。これではどうしようもない。そしてそれが、巣食う会はもちろん家族会の希望と利益(?)に合致するというのだから、世の中こんな倒錯した話聞いたこともない。それで拉致被害者が帰国すればいいですが、日本側が対価を出したときは帰ってきてそうでないときはぜんぜんそうでないのだから、馬鹿もここに極まったりです。そしてそういう態度が、小泉訪朝の日すら、ろくにその関係の記事が発表されないというなんぼも無様で無残な結果になるのです。それはそうですよね、けっきょく何もしないで20年以上も経ったのだから、そんなものに世の中の人たちだって、いつまでも関心をもってもらえるわけがない。いつも私が主張しているように、反北朝鮮の道具になっているだけじゃないですか。それが、家族会の人たちの総意なのかもですが、それらはしだいしだいに世間から相手にされなくなっていくでしょうね。今そうなっているし、このままではますますそうなります。なんとも寒々とした光景です。

なおこの記事は、bogus-simotukareさんの記事からヒントを受けました。感謝を申し上げます。


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