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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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小腸がんというのも希少な病気らしい(なかなか助からない病気のようだ)

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旧聞で恐縮ですが、相撲の朝潮太郎こと長岡末広氏がお亡くなりになったとのこと。記事を。


元大関朝潮の死因は小腸がん 死去は2日、妻の恵さん明かす
2023/11/04

 3日に67歳で死去が判明した大相撲の元大関朝潮の長岡末弘さんについて、妻の恵さんは4日、死因は小腸がんで2日に東京都墨田区の自宅で亡くなったと明らかにした。今後、家族葬を執り行い、しのぶ会の開催も予定している。

 恵さんは九州場所(12日初日)への影響を配慮し「最後は安らかに亡くなりました。楽しい人で、いろんな思い出がある。今は相撲の邪魔をせずに家族で静かに送りたい」と述べた。

 長岡さんは強烈な突き、押しで活躍し、大きな体と陽気な性格から「大ちゃん」の愛称で親しまれた。引退後は若松部屋を率いた後、2002年2月に高砂部屋を継承。朝青龍を横綱に育て、朝乃山を大関昇進に導いた。

© 一般社団法人共同通信社

それで朝潮のWikipediaには、こうあります。注釈は削除します。


死去する前年末に100万人に6人の確率で発症するとされる希少がんの一種である小腸がんを発症し、晩年はリハビリ生活を送っていた。ただし病気については親しい人物以外は知らさなかったという。2023年に入ると体調が悪化し、病床に伏して動けない状態が続き、家族には余命宣告もされていた。また、定年間際の時期には足の状態が悪く、車椅子生活を余儀なくされていた。

とあります。では、Wikipediaの小腸がんをみてみましょう。項目名は、「小腸腫瘍」です。悪性腫瘍概念・分類です。

原発性腫瘍は全消化管悪性腫瘍中0.6~3.2%と非常に少ない。その理由としてパイエル板の存在が挙げられる。病理学的には悪性リンパ腫消化管間質腫瘍(GIST)、平滑筋肉腫カルチノイドなどがある。癌は空腸に多く発生し、好発部位は空腸上部と回腸末端である。悪性リンパ腫はリンパ装置の発達した回腸に発生しやすい。平滑筋肉腫は空腸に、カルチノイドは回腸に多い。

だそうです。

で、私は、朝潮の死のニュースを聞き、彼の死因が「小腸がん」というのを知ったとき、「あれ、この病気前何かで聞いたことがあるな」と思いました。こちらの本でした。

警察官僚ガン闘病ブログ

なんでこの本を読んだのかは記憶にありませんが、著者は、1970年生まれで93年に警察庁に入庁、2005年夏に体調を崩し9月末に入院、小腸がんであることを告知され、翌年の5月に亡くなります。5月初旬が誕生日だったそうで、それから間もなくの死でした。著者は、病気を機にブログを発足させ、最後の方は奥さんが代筆しています。なお著者のブログは、著者が利用していたブログサービス(Yahoo!ブログ)がすでに終了しているので、現在読むことはできません。

それで、本の中で次のように書かれていたのです。

小腸のガンを発症する者は、年間日本で1人か2人、世界でも20人あるかどうかというレベルで、きわめて珍しい病気であるとのこと。(p.58)

これを読んだとき、私「え、そんな希少な病気なの?」と驚いたわけです。こちらを参照してください。


希少がんの1つである「小腸がん」とは
小腸にはさまざまな種類の悪性の腫瘍〔できもの〕ができますが、それらを総称して小腸がんと言います。
小腸がんは、患者数が極めて少ない希少がんの1つです。人口10万人に対して1年間に新たに小腸がんを発症する人は、男性2.61人、女性1.77人という推計値があります。同じ消化器の胃がんや大腸がんと比べると、とても少ない割合となっています。

小腸がんの患者数が少ない理由
小腸は胃と大腸の間に存在するため、細菌やウイルス、飲食物などによる外からの刺激を受けにくい臓器であることが、小腸がんが発症しにくい理由の1つと考えられています。

小腸がんの早期発見が難しい理由
小腸がんは早期発見が非常に難しい病気だといわれています。その理由は主に2つあります。
1つは病気の初期に自覚症状が出にくいこと、もう1つは通常の内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)では小腸まで届かないため検診による発見が難しいことです。そのため、小腸がんは進行した状態で見つかるケースがほとんどです。

下に同じ記事からのイラストをご紹介します。

上の表を見ると、さすがに日本で年間に1人から2人しか小腸がんにならないというものでもなさそうですが、ともかくあまり多くない病気ではあるようです。朝潮のWikipediaには、100万人に6人の発症とあります。こちらによると、


小腸悪性腫瘍のうち、小腸がん(小腸腺がん)は2番目に多い。とはいえ、小腸悪性腫瘍全体が希少がんの定義(年間発生率:10万人あたり6人未満)に該当し、米国のデータによると、1995年から2008年の小腸悪性腫瘍の年間発生率は、10万人あたり男性2.61人、女性1.77人である。2番目の小腸がん(小腸腺がん)は、10万人あたり0.22人から0.57人とさらに少ない。小腸がん(小腸腺がん)とは、十二指腸、空腸、回腸の粘膜から発生した悪性腫瘍を指し、十二指腸ファーター乳頭がんは含まない。また、胃がんや大腸がんなどの再発病巣が小腸まで及んできたものも小腸がん(小腸腺がん)には含まない(胃がん・大腸がんの腹膜転移という)。

とのことで、NHKの番組にある表は、上の


米国のデータによると、1995年から2008年の小腸悪性腫瘍の年間発生率は、10万人あたり男性2.61人、女性1.77人である。

のことですかね。「小腸がん」の数値でなく、「小腸悪性腫瘍」というより大きなくくりの数字のようですね。白人主体の米国と、アジア人の日本では、人種としての遺伝子の違いや食生活なども異なるので、また違った数字が出るのではないか。

いずれにせよざっとネットの記事などをよんでみると、かなり予後不良な病気のようですね。なったら助かる可能性は少なさそうです。このブログで、何回かがんについての記事を書いてきました。

すい臓がんというのは危険な病だとあらためて思った オードリー・ヘプバーンは、虫垂がんというめずらしいがんで亡くなった

九重親方はすい臓がんで、オードリー・ヘプバーンは、虫垂がんで亡くなりました。どちらも非常に予後の悪い病気です。前者は、

早期発見が非常に困難な上に進行が早く、極めて予後は悪い

膵癌の予後は非常に悪い。5年生存率は部位別がんのなかで最下位(5%)であり、治療がきわめて困難な癌の一つである。

であり、後者は

虫垂癌は自覚症状が少なく、大腸内視鏡検査での発見率は30%程度との報告 がある様に手術前確定診断が難しいため別の疾患の検査や手術に伴い発見されることも多い。

発見されているときにはすでに腹膜リンパ節に転移していることが多い ことから、外科手術により虫垂および転移箇所を除去した上で化学療法を行う。しかし、他のガンとは異なり虫垂癌固有の標準術式は確立されていない。

です。小腸がんも、虫垂がん同様症例が少なすぎて、標準の治療は確立していないようです。実際、上の本の著者も、朝潮も、どうもこれといった有効な治療を受けるにいたれなかったようです。事実上医学の力は無力だったのでしょう。それにしてもこのような深刻な病になるというのも、ほんと運ですよね。世の中希少な病気で死ぬ人もいる。力士だった剣晃は、汎血球減少症を患い、肺出血で亡くなりました。彼のWikipediaによると、

汎血球減少症とは白血病の一種で、当時の日本ではまだ4例しか報告例が無い(そのうち2例は当時既に死亡)奇病であり、治療法は確立されていなかった。

とのこと。なんともはやです。同じ白血病でいえば、本田美奈子.も、彼女のWikipediaによれば、

急性骨髄性白血病の中でも極めてまれな予後不良の治療抵抗性の白血病であったという。

だそうで、けっきょく治療の甲斐なくお亡くなりになったのです。

こういうのもまさに運ですよね。渡辺謙のように白血病を患って再発までしたのに何とか助かった人もいるし、これはもう個々人の体力、病気の性質、その他さまざまな運によるでしょう。世の中医学の力では何ともならない病気もある。うれしくはないが、どうしようもないこともいろいろあるわけです。実際私の父も、筋萎縮性側索硬化症(ALS)で死にました。世界広しと言えども、なりたくてALSになる人はいないし(当たり前です)、なる方法もない。私の親類にもALSになった人はほかにいないので、遺伝性でなく孤発性のものだと考えられます。まったく運が悪い、それだけのことです。非常に遺憾ですが、いかんともしがたい。まったくもって困ったものです。


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