本日は、こちらの記事を。
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小学生兄弟死亡の稲美町放火事件 被告・伯父の裁判員裁判、25日に初公判
2024/1/10 19:34
2021年11月に兵庫県稲美町の民家が全焼し、小学生の兄弟2人が死亡した放火事件で、殺人と現住建造物等放火の罪で起訴された兄弟の伯父、松尾留与被告(53)の裁判員裁判の初公判が今月25日に開かれることが、神戸地裁姫路支部への取材で分かった。
起訴状などによると、松尾被告は21年11月19日深夜、同町岡の木造2階建ての自宅で、布団にガソリンをまいた上に火を放って全焼させ、就寝中だった当時小学6年の松尾侑城君(12)と同1年の眞輝君(7)を殺害したとされる。
松尾被告は同年12月から約7カ月間、精神状況などを詳しく調べるため鑑定留置された。その後、22年7月に神戸地検姫路支部が同被告を起訴していた。
同支部などによると、2月15日に判決が言い渡される予定という。
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「極刑以外ない」癒えない両親の悲しみと憤り 稲美町放火殺人事件 25日に初公判
2024/1/24 17:35
高田 和彦
兵庫県稲美町で令和3年11月、民家が全焼し住人の小学6年、松尾侑城(ゆうき)君=当時(12)=と同1年、真輝(まさき)君=同(7)=の兄弟2人が死亡した事件で、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた2人の伯父で無職、松尾留与(とめよ)被告(53)の裁判員裁判の初公判が25日、神戸地裁姫路支部で開かれる。公判を前に2人の両親が、癒えない悲しみと被告への憤りを語った。
事件は3年11月19日深夜に発生。仕事を終えた母親(51)を父親(60)が迎えに行くために外出した直後、自宅から出火し寝ていた2人が犠牲になった。松尾被告が逮捕され、精神状況を調べるための鑑定留置を経て起訴された。
母親の兄にあたる松尾被告。生活に困窮していたため、事件の約2年半前から同居を始めた。当初は一緒に出かけるなどしていたが、次第に兄弟に罵声を浴びせるようになるなど家族との溝が生じるように。両親は被告に「悩みがあるなら言ってほしい」と声をかけていたが、事件に至った。
誰とでも分け隔てなく接し、すぐに仲良くなる侑城君。友達思いで、幼稚園の遊戯会でほかの子の分までセリフを覚えて教えてあげていた真輝君。2人とも大の阪神タイガースファンで、将来の夢はプロ野球選手だった。
家族旅行やキャンプに出かけるなど幸せに包まれていた日常はあの日、暗転した。友人からの連絡で火災を知った両親が慌てて戻ると、すでに自宅は焼け焦げていた。
松尾被告が兄弟を連れ出してくれているのではと願ったが、夜が明けるころ、真輝君の遺体が警察官に運び出された。「抱っこだけでもさせてほしい」。母親の最後の望みもかなわなかった。
「何度も亡くなった子供たちのところへ行きたいと思った」。あの日から両親の時間は止まったままだ。事件後、当時の自宅と雰囲気が似ていて愛着を覚えた一軒家に転居。家には兄弟の習字作品やタイガースグッズ、2人の写真が飾られ、2人の面影があると感じて購入した人形も大切そうに並べられている。
公判では被害者参加制度を利用するつもりだ。被告からこれまでに反省や謝罪の言葉はないが「犯した罪がどれだけ重いものなのか考えてほしい」という。
極刑以外ないと考えているが「たとえ刑が執行されても罪は消えない」。今は「かわいくて元気いっぱいの侑城と真輝を返してほしい」ということだけを願っている。(高田和彦)
拙ブログでも、この事件についてとりあげています。
精神疾患か発達障害か境界知能かそういうこととは関係ないのか定かでないが、この伯父も生きづらさを抱えて孤立していたのだろうこの事件で、伯父が犯人らしい(放火して、甥2人を殺害した)ということを知ったとき、「これやばいなあ」と思いました。まさに家族間殺人の中でも最悪といっていいケースではないかと感じます。
甥のご両親は、(義)兄に対しては、極刑・厳刑を絶対要求しているわけです。それはそうでしょう。しかもご両親は、兄の居候を許し、何とかコミュニケーションを取ろうと努力していたようです。記事を一部抜粋。
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生活に困っていた被告を迎え入れる形で、事件の3年ほど前から同居を始めたという家族。
当初は良好に思えた関係も徐々に被告が心を閉ざし始めたといいます。
当初、警察の調べに対し、「兄弟の両親に恨みがあった」などと供述していた被告。
こちらも。おなじく勘所の引用を。
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生活に困っていた被告を迎え入れる形で、事件の3年ほど前から同居を始めたという家族。
当初は良好に思えた関係も、徐々に被告が心を閉ざし始めたといいます。
亡くなった兄弟の両親ー「(同居を始めて)半年までは一緒に銭湯に行ったり、一緒に外食したりとか、子どもは子どもで阪神タイガースの話をしたりとか将棋をしたりとかコミュニケーションを取ろうとしていた。半年に満たないうちに銭湯も行かなくなって、子どもらに対しても話しかけたら罵声を浴びせるというか、子どもたちも距離を置くようになった」
ご両親からすれば、踏んだり蹴ったりにもほどがあるというものでしょう。
それで、最初の引用によると、判決は来月15日ということで、そうなると、初公判から判決まで3週間ということになります。同じ裁判員裁判でも、先日特定少年への死刑判決ということも話題になった甲府地裁での死刑判決では、初公判が昨年10月25日、12月11日の21回目の公判で論告求刑があり、判決が今月18日というわけで(以上の情報はこちら)、それと比較してもかなりのハイペースですね。おそらくあまり争点がなく、弁護側も情状酌量を訴えるのが中心なのでしょう。これは、死刑判決の可能性が高いのではないかと思います。裁判官や裁判員も、おそらくあまりいい心象はもたないでしょう。
ところで本日は、京都地裁で京都アニメーション放火殺人事件の判決があります。記事を。
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京アニ放火殺人事件 25日に判決 京都地裁
01月24日 14時47分
5年前(2019年)、「京都アニメーション」のスタジオが放火され社員36人が死亡し、32人が重軽傷を負った事件で、殺人や放火などの罪に問われた青葉真司被告に対し、25日、京都地方裁判所で判決が言い渡されます。
検察が死刑を求刑したのに対し、弁護側は精神障害により責任能力がなかったとして無罪を主張しています。
青葉真司被告(45)は、5年前の2019年7月、京都市伏見区にある「京都アニメーション」の第1スタジオに火をつけ、社員36人を殺害し、32人に重軽傷を負わせたなどとして放火や殺人などの罪に問われています。
裁判員裁判は京都地方裁判所で去年(2023年)9月から22回にわたって開かれ、被告の責任能力の有無が大きな争点となっています。
検察は、「京アニに作品を盗用されたという妄想が動機の形成に影響したが限定的だ」などとして、被告には事件当時、完全な責任能力があったとして死刑を求刑しました。
一方、弁護側は「被告は妄想の中で生き、妄想の中で今回の事件を起こしていた」などとして、精神障害により責任能力はなかったとして無罪を主張しています。
裁判で青葉被告は京アニに小説のアイデアを盗まれたと主張する一方、「こんなにたくさんの人が亡くなるとは思っておらず、やりすぎだった」などと述べていました。
25日の判決で裁判所がどう判断するかが焦点です。
(以下は、ご遺族のコメントですが割愛させていただきます)
いま取り上げた3つの事件は、まったく偶然ながら放火関係です。特定少年の事件は、刃物で殺害した後の放火ですが、ほかの2件は放火による殺害です。特定少年の事件はどうだかですが、特に兵庫の事件は、犯人自身による「人生リセット」のような気がしますね。こういっては何ですが、甥の殺害と家の放火による焼失は、彼にとって不可分ではなかったか。自分が、昔ながらのいい方をすればこの家の世帯主であるべきなのに、居候の肩身の狭い身分であることに耐えられなかったというところもあったのではないかと思います。よって、その最も愛していて最も憎む自宅(実家)を焼失させた。逆恨みにもほどがありますが、めちゃくちゃな心境の人物は、こういうひどいことをしかねない人もいるのでしょう。なおこちらの記事によると、家屋は松尾被告のものだとのこと。そういったことも、逆恨みに拍車をかけた可能性もあります。
ともかく昨年12月から今月、おそらく来月も死刑に関するニュースが続出です。私もいろいろ注目していきます。なお私は死刑反対論者ですので、記事に出てきた被告人たちの死刑判決や今後ありうる死刑確定について賛成しているわけではないことを明記します。