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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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「新幹線大爆破」についての面白いエピソード

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産経新聞に面白い記事がありました。過日亡くなった高倉健さん主演の1975年製作の映画「新幹線大爆破」についてのエピソードです。佐藤純弥監督が語ります。

文革中国が輸入した「高倉健映画」 「文太」が蹴った『新幹線大爆破』、健さんは乗った…健さん・文太さん秘話(魚拓

>佐藤監督によると、沖田の役は当初、菅原さんが演じるはずだった。

 「東映側は文太さんでいくつもりだった。でもシナリオを読んだ文太さんは『この映画の主役は新幹線で、演技者は付け足しだ』と断ってきた。どうしようかと悩んでいるときに、プロデューサーが健さんにホン(脚本)を読んでもらったら『非常に面白い。出たい』と言ってくれた。願ったりかなったりでした。それまで健さんが演じていた役とはだいぶ違うが、本人も現代劇を本格的にやりたかったのでしょう」。

へーと思います。今の感覚からすれば、主犯の沖田役は高倉健以外に考えにくく思いますが、それはつまりは高倉の演技がよかった、作品が成功したということですね。菅原文太の沖田だったら、どんな映画になったかと思います。それで、菅原氏が語ったという

>この映画の主役は新幹線で、演技者は付け足しだ

という発言はかなり面白く思いますね。というのは、この映画に関しては、むしろ犯人たち(高倉、山本圭織田あきら)の姿を丹念過ぎるほどに扱っているからです。なにしろこの映画の海外版は、犯人たちの過去などを削除しているくらいです(未見なので、私は知識として知っているだけですが)。Wikipediaでは

>犯人側のドラマはカットされ、沖田たちは単なるテロリストとして扱われた。

と記されていますが、つまりは冗長すぎると嫌われたということでしょう。

菅原さんの読んだシナリオが、完成品に近いものなのか、それともまだ犯人らの描写が少なかったものなのかは分かりませんが、あるいは映画を見た(たぶん見たでしょう)菅原さんは、「うわ、断らなければよかった!」と後悔したかもですね。

なお、私も未読なので、これは資料をみつけてなんでしたらこのブログで採録しようかとも思いますが、

 >「キネマ旬報」1975年7月上旬夏の特別号には制作スタッフらの座談会が載っていて、高倉さんは「タワーリング・インフェルノ」を引き合いに出して「こっちの脚本の方がはるかに面白い」などと発言している。

とあります。これはなかなか面白そうです。

ところで佐藤監督が次のように述べています。

>『新幹線大爆破』は模倣犯が出るという理由で中国で上映されていない。ただ映画の大学なんかでは研究材料として見られているようです

これ事実なんですかね?

それは、1970年代とか80年代くらいまでなら、そのような措置にも意味があったでしょうが、現在のようにDVDなどソフトでも見られ、また動画サイトなどでも閲覧が可能な時代では意味がないでしょう。もしそのような措置を現実に今日でも行っているのだとすれば、それは実質的な意味でなく、象徴的な意味あいなのでしょうね。

なおこの記事の存在については、bogus-simotukareさんの記事よりご教示を受けました。感謝いたします。また写真につきましては、産経新聞のキャプションによりますと、

>映画「新幹線大爆破」のロケ現場で、国鉄職員役の宇津井健さん(左)と新幹線の模型を持つ高倉健さん=1975年5月、東映東京撮影所

とのことですが、「ロケ現場」じゃなくて「セット現場」じゃないですかね?

お断り:今日の夕方からまた出かけますので、コメントをいただいても、日曜にならないと反映されないかもしれないことをご了承ください。


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