過日産経新聞の記事を読んで「おいおい」と思いました。いつものことです。(魚拓1、魚拓2、魚拓3、魚拓4)
>2015.1.8 11:00
【関西の議論】安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える“愛国”幼稚園 「卒園後、子供たちが潰される」と小学校も運営へ
「教育勅語」や「五箇条の御誓文」の朗唱、伊勢神宮への参拝・宿泊…。大阪市淀川区に超ユニークな教育を園児に施している幼稚園がある。塚本幼稚園幼児教育学園。安倍晋三首相夫人が同園を訪れたとき、園児らのかわいらしくもりりしい姿を見て、感涙にむせんだという。さて、その塚本幼稚園の籠池泰典園長が、小学校運営に乗り出している。現代教育のゆがみをも映し出すその理由とは-。(服部素子)
昭恵夫人「安倍首相に伝えます」
「夫婦相和し、朋友相信じ、恭倹(きょうけん)己を持(じ)し、博愛衆に及ぼし、学を修め、業を習ひ…」。園庭に2~5歳の園児約150人の大きな声が響く。
教育勅語(正式には「教育ニ関スル勅語」)は、明治23(1890)年に発布され、第2次世界大戦前の日本政府の教育方針の根幹となった文書。なぜいま、教育勅語なのか。
「子供に学んでほしいことは何か、とつきつめたとき、その答えが明治天皇が国民に語りかけられた教育勅語にあったからです」と籠池泰典園長(61)の答えは明快だ。
あどけない幼児が大きく口をあけ、難しい言葉を朗唱する姿を初めて見た人は一様に驚き、感動する。安倍首相の昭恵夫人もそのひとりだ。
昭恵夫人は昨年4月、同園の視察と教職員研修のため訪れたとき、鼓笛隊の規律正しいふるまいに感動の声を上げた。さらに、籠池園長から「安倍首相ってどんな人ですか?」と問いかけられた園児らが「日本を守ってくれる人」と答える姿を見て、涙を浮かべ、言葉を詰まらせながらこう話したという。
「ありがとう。(安倍首相に)ちゃんと伝えます」
子供と教師が「なあなあ」でいいのか
同園は昭和25(1950)年の開園。全国初の学校法人立幼稚園だという。
籠池園長の就任は61年。他の幼稚園関係者との会話の中で、前職の公務員時代に抱いていた思いが頭をもたげてきた。
「教育関係者と接していたとき、教師と教え子の“なあなあ言葉”での会話を聞いたり、教師のジャージー姿を目にしたりするにつけ、違和感を覚えました。根底に幼児期の『徳育』の欠如があるのでは、と感じたんです。園の先生たちと話していて、改めてその思いが強くなったんです」
そんなとき、平成7(1995)年1月、阪神大震災が起きた。
「あのときの日本人の行動には、人としての矜持があった。この矜持を育むことこそ教育。それから当園の教育の根幹を12の徳目に置き、『教育勅語』や『五箇条の御誓文』の朗唱を始めたんです」
12の徳目とは、親や先祖を大切に▽兄弟姉妹は仲良く▽夫婦はいつも仲睦まじく▽友達はお互いに信じ合い▽自分の言動をつつしみ▽広くすべての人に愛の手を差しのべ▽勉学に励み職業を身につけ▽知識を高め才能を伸ばし▽人格の向上につとめ▽広く世の人々や社会のためにつくし▽規則に従い社会の秩序を守り▽正しい勇気を持って世のため国のためにつくす--その基となっているのが「教育勅語」なのだという。
また、基礎体力作りとしての剣道、スイミング、ラグビーや、日本の伝統文化を身につけるための将棋、そろばん、論語、書道。また、創造性を養うものとして、鼓笛隊や大正琴、日本太鼓も授業に組み入れた。
せっかく身につけたことが…
籠池園長は現在、大阪府豊中市に私立小学校「瑞穂の國記念小學院」の建設を進めている。開校は平成28年4月を予定。目指すのは「礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる」教育だ。
なぜ小学校運営なのか。籠池園長は説明する。
「集合時にだらだらとしていたり、子供が先生と友だちのようにしゃべったりというのが『普通』になっている小学校に、当園を出た子供たちが入っていくと、自分の根っ子に不安を持ち始めるんです。せっかく、当園で身につけたことが潰される…。それで小学校をつくることにしたんです」
たしかに、記者が小学生だった昭和の時代は、普通の公立の小学校でも登下校時に先生にあいさつするのは当たり前で、わざわざ「あいさつしなさい」と注意された覚えもないし、先生との会話は敬語だった。
新設する小学校は木造2階(一部3階)建て。敷地面積は約8700平方メートルで、教室にはそれぞれ6・6平方メートルの畳敷きのバルコニーを設ける。江戸時代にあった岡山藩の藩校「閑谷(しずたに)学校」をイメージした講堂1階は、板張りの間と和室があり、修身や茶道などの授業が行われる。
批判や嫌がらせにも揺るがぬ決意
実は、幼稚園運営だけでも苦労は多い。日の丸を掲げ、君が代を斉唱し、皇族が関西に来られると、園児を連れて奉迎に出向く…という教育方針への批判の声は多いという。正面からの批判ならまだともかく、園の玄関に掲げた日章旗を盗まれるといった嫌がらせを受けたことも。
「でも、そういう時代はもう過去になったと思います。古来、日本人は八百万(やおろず)の神を崇め、祀ってきました。子供のころ、よこしまなことを考えると『神様が見てる』という言葉が、常に心を射ました。そういう教育を行う小学校にしたい」
籠池園長は笑顔の中にも決意を込めてこう語った。
ここ、以前私も記事にしていました。
ちょうどこの時自民党の総裁選があって、私この時点では安倍が総裁に再選されるなんて思っていませんでしたので、そのあたりやや妥当性を欠く部分がありますが、記事の趣旨自体に特に訂正すべきところはないでしょう。常軌を逸した幼稚園です。
そもそも論として、いくら産経とはいえ、新聞が特定の私立幼稚園のパブ記事を書いていいのかというレベルで「どうもなあ」ではあります。だいたいこんな記事読んだら、たいていの読者は「非常識極まりない幼稚園だ」「こんなところが小学校をつくるとはとんでもない」とかいうくらいの反応でしょうが、産経のセンスでは「美談記事」になっちゃうのがなんとも。安倍夫婦だって、こんなこと書かれたら実際のところ迷惑なはずですが、それがそうにならない(らしい)のが、安倍とか産経新聞というところのどうしようもないところです。
で、記事によると安倍晋三の奥さんが幼稚園に来たとのことですが、これってつまり安倍の名代ということなのでしょうね。別に本人行きたくて行ったということでもないのかもですからあんまり書いてもなんですが、そうであれば、こんな常軌を逸したところに行かされて気の毒ではありますね。というか彼女は、ヒラリーさんやオバマの奥さんやブレアの奥さんみたいな優秀な人間じゃない、単なるいいとこのお嬢さんだから(あんまり勉強のできる人間は、安倍みたいな馬鹿とは結婚したがらないでしょう)、そんなに深いことは考えないのかもです。なお、上の記事には書いてありませんが、安倍の奥さんは昨年12月に講演もしたとのこと。演題は、
>平成26年12月6日 安倍昭恵首相夫人講演会「ファーストレディとして思うこと」
だそうです。幼稚園を経営しているとかその役員とかならともかくとして、首相の奥さんが同じ年に2回もしかも東京にも安倍の選挙区にもあるわけでない幼稚園を訪れるなんてことはそうそうめったにないでしょう。これもなんともすごい話ですね。いかに安倍がこの幼稚園を気に入っているかということなんでしょうね、きっと。やはり安倍というのはまともじゃありませんね。非常識な男です。
>さらに、籠池園長から「安倍首相ってどんな人ですか?」と問いかけられた園児らが「日本を守ってくれる人」と答える姿を見て、涙を浮かべ
安倍の奥さんが、この答えを聞いて感激して涙を流したのなら(本当かどうかはいざ知らずですが)、たんにこの人が頭が悪い女性だというだけの話でしょう。世間一般であれば、「そこまで園児にやらせるのは良くない」くらいの反応では?
>実は、幼稚園運営だけでも苦労は多い。日の丸を掲げ、君が代を斉唱し、皇族が関西に来られると、園児を連れて奉迎に出向く…という教育方針への批判の声は多いという。
そりゃそうでしょ。ふつうに自民党に票を入れるくらいの人だったら、こんな教育にいい顔しないでしょう。さすがにかかわりあいたくはないはず。安倍のような大物政治家あたりだったら本来関係したがらないでしょうが、安倍は馬鹿だから自分でこの幼稚園に行こうとしたり、奥さんを行かせるわけです。
ていうか、bogus-simotukareさんがお書きのように
>正直この記事を書いたという「服部素子記者」もどこまで本気かどうか。
「服部さん、あなたは幼児時代この幼稚園に入りたかったですか?」「あなたのお子さんをこの幼稚園に入れたいですか?」と聞かれて服部記者は「はい、喜んで(by庄やグループ)」と即答できるんでしょうか。
さすがにできないんじゃないかと思いますけどね。まあ、産経には阿比留みたいなガチのキチガイもいますけど、この服部記者はさすがに違うんじゃないか。
また服部記者が「はい、喜んで」だとしても「全産経社員がそう即答できるか」と言ったらさすがに違うんじゃないか。
まあ、「ウヨ相手の商売で心にもないことを書く産経記者」てのも人として最低ですけど。
というレベルでしょう。産経新聞の記者だって、こんな幼稚園に子どもをいれたがる人は少ないはず。仮に「ぜひ入れたい」と思う記者がいたとしても、よほどの狂信者でなければ、世間がこの幼稚園をどういう目で見るかくらいの判断はつくでしょう。
ところで、この記事についてのはてなブックマークで、ちょっと気になったところが。
>inai_inai 以前ニュース番組でこの幼稚園の特集をやってたな。給食を時間内に食べられなかった子は廊下で食べさせられてて、園長が「ああして恥の文化を教えている」とか言ってて目眩がした覚えがある
これがもし事実なら、地元の役所が指導を入れるレベルじゃないですかね。それともこのような幼稚園に子どもを通わせる親は、これを「妥当な教育」と考えているのでしょうか。なんとも救いがありません。テレビがどういう意図で取り上げたかは不明ですが、視聴者だっていい顔はしないでしょ、こんなの。つまりは、これが自分たちの教育の宣伝になると本気でこの園長は考えているのでしょう。まともじゃないですね。
それでこの幼稚園(塚本幼稚園幼児教育学園)のHP、これがまたひどい。2013年7月が最後の更新ですが、「園長の部屋」の最終更新の記事では、次のようにあります。
>子供社会と同じ事が国際社会にも言える。中華人民共和国(支那)にはまさにドンピシャである。異形の国と言われるが変な国なのだ。この国がなければ世界はまさにルールに基づいて動く。全てが民主的にルールに乗っ取って動く世界に駄々をこねて世界平和を乱す元凶は中華人民共和国(支那)なのだ。人に対すると同じように国民がある時は暴力に訴えることにより国家の統治機能が是正される。国際協調機関である国家連合体を先生と仮定すれば良いのです。我が儘、気のままの中華人民共和国は建国以来国家育成基礎的段階で大きな間違いをしでかした(共産主義を基盤とした国家…個人のことはどうでもよい集団最優先)だが、そのような揺籃期の権力闘争を経験し、素直な育ち方ができなかったがゆえに暴力装置(軍隊)を強大化し、近隣諸国に圧力と迷惑をかけ、領海領土まで侵犯し、実力行使をする。そして諸外国から外交的に抗議警告を受けるとサッと引き、また再び侵犯。お人よしで放っておくとフィリピンの南沙諸島のように実行支配される。…とすると、こちらが心に勇気をもって対応することだ。かの国がない方が世界平和につながるので、4つ位の国に分裂させるか、なくしてしまうことだ。人間社会でも究極は刑務所に入れる(極刑は死刑)このことによって、人為的に社会から遮断する。学校であれば退学、社会であれば懲戒免職であります。
どこの政治結社のビラだよ(呆れ)。幼稚園の園長が幼稚園のHPに書く内容じゃありません。相当頭がいかれているように思いますね。ところでこの幼稚園を推薦するとして、次の人たちが名を連ねています。表記はHPの記載のままです。
>中山 成彬先生
衆議院議員
(元文部科学大臣)
田母神 俊雄先生
軍事評論家
元航空自衛官
第29代航空幕僚長
西村 眞悟先生
衆議院議員
元防衛政務次官
竹田 恒泰先生
慶應義塾大学
大学院法学研究科講師
推薦の言葉も引用してもいいのですが、むやみに記事が長くなるのでやめます。幼児教育の専門家なんか誰もいないじゃないですか(笑)。まあこんな幼稚園をHPに登場して堂々と宣伝する幼児教育の専門家もいないでしょうが。上の園長の言葉といい、この推薦者の顔ぶれといい、この幼稚園の園長は、とても教育者じゃありませんね。まともじゃない政治活動家です。それにしても推薦者として出てくる人間のうち、実に3人までが、過日の総選挙で「次世代の党」から出馬しているというのもすごいですね。全員討死しましたが。下にも書いたように、党首の平沼も講演で呼ばれています。この園長は安倍晋三を支持しているようですが、内心では安倍や自民党は生温いと考えているかもですね。たしかに普通の自民党の議員なら、このような幼稚園と直接かかわるのは嫌がるでしょうね。そう考えると、呼ばれたり行こうとしたり奥さんを複数回行かせる安倍という男の異常さがよくわかるというものです。
教育講演会で呼ばれる人たちも、たとえば一部を抽出すれば
>平成26年4月26日 曽野綾子先生 講演会
平成25年9月21日 平沼赳夫先生 講演会
平成25年5月25日 竹田恒泰先生 講演会
平成23年11月3日 櫻井よしこ先生 講演会
平成21年5月9日 田母神俊雄先生 講演会
平成20年11月15日 中山成彬先生 講演会
ほかにも米長邦雄とか(彼は東京都の教育委員をしていましたが、右翼だから呼んだんでしょうね)が呼ばれていますが、田母神の演題は「国防理念なき日本民族の将来」」、中山のは「日教組の影と功罪」です(笑)。幼児教育とぜんぜん関係ないじゃん(呆れ)。なにしろ竹田恒泰の講演なんて「私の憲法論」ですからね。ほかの人も同じようなものでしょうが、竹田に幼児教育についての知識なんか素人以上のものがあるとも思いませんが、それにしてもです。一応建前としては
>お子さんの教育は保護者の方々のしつけ、けじめに非常に影響されます。
塚本幼稚園では、子供たちが将来立派な人間として成長し、我が国を率先して引っ張って行ける人材を共に育てるため、保護者の方々にもご成長していただきたく、著名な先生をお呼びし、講演をしていただいております。
だそうですが、「しつけ」「けじめ」とも関係ない演題じゃないですか(笑)。
ほかにも大阪府警の年頭視閲式に参加(見学)したなんて活動報告もあります。あと天皇が昨年奈良(大阪にあらず)に来た時の写真もあります。はてなブックマークに出てくる
>xjp86za7 奈良に天皇皇后両陛下が来られた際にここの幼稚園の子供たちが来てたがすごかった。もちろんほめ言葉ではない。
とあるのは、この時のものなのでしょう。わざわざ専用のページを作って >御皇室・自衛隊関連行事 塚本幼稚園では、御皇室、自衛隊、警察など様々な式典に招かれて、歌や演奏など披露しています。 と紹介しているくらいです。それにしても、自衛隊や警察はともかく、皇室が式典に招いているんですか? この文章ではそのように解釈できますが、招かれているとしても、皇室そのものや宮内庁が招いているのではないんじゃないのと思いますが、どうなんですかね。また自衛隊は、関係しているのは海上自衛隊に特化しているみたいですね。理由は不明。この幼稚園はほかにも旧海軍関係のイベントにも参加しています。そういうえば、制服がやや旧海軍に似ているような気がしないでもありません。 とにかくなかなかすごい幼稚園ですね。もちろんほめ言葉ではありません。左翼だって・・・なんて指摘する人もブックマークをしている人にいますが、これ右翼とか左翼とかそんな次元じゃないでしょ。左翼でこんな幼稚園経営してこんな非常識なことしているところ私知りませんし(あったら乞う情報提供)右翼だって私ほかに聞きませんよ。右翼イデオロギー、左翼イデオロギーの持ち主の幼稚園経営者はいても(幼稚園の経営者は保守的な人が多いですから、左翼よりは右翼の方が多いでしょう)、経営の問題と「社会常識」の問題があるから、こんな非常識なことしないでしょ。この園長は、経営の問題は突破したからこういうことをできる・・・ってことなんですかね。いずれにせよ記事に出てくる小学校の運営が軌道に乗るのか、これはちょっと興味深いですね。幼稚園よりはむずかしいでしょうが、どんなもんでしょうか。
つまりは、flagburner氏がおっしゃるように
>つか、この幼稚園の運営がそれなりに順調(?)のは、自分達の子どもに対しそういう教育を望み入園させる親の存在も大きいんだろうな。
ということなのでしょうね。残念な話ですが、そういうことでしょう。この幼稚園については、私なりに継続的に観察をしていこうかと考えます。
今回の記事には、bogus-simotukareさん、flagburnerさんからの知見その他をいただきました。感謝を申し上げます。