ジャーナリストで、大学で国際政治についての教鞭もとっていた浅井信雄氏がお亡くなりになりましたね。
最近「サンデーモーニング」でお顔を拝見していなかったので、体調が悪いかなと考えていたら、やはりそうでした。記事を。
>DeNAファンの浅井信雄さんが死去
日刊スポーツ 3月15日(日)11時33分配信
国際政治学者でプロ野球DeNAの大ファンとしても知られた浅井信雄さんが6日、がんのため住居のある静岡県内の病院で亡くなっていたことが分かった。79歳。
15日午前に放送されたTBS系テレビ「サンデーモーニング」で司会を務める関口宏も伝えた。葬儀・告別式はすでにすませたという。
所属事務所のプロフィルによると、1935年、新潟・長岡市生まれ。東京外大卒業後、読売新聞社に入社。ジャカルタ、ニューデリー、カイロ各特派員、ワシントン支局長を歴任。81年に退社後、ジョージタウン大(米国)客員研究員、野村総合研究所在米コンサルタントなどを経て、87年からは神戸市外語大国際関係学科教授(国際政治学)を11年間務めた。近年は中国を重点的に取材、調査していた。
テレビ、ラジオにも出演し、23年間「サンデーモーニング」のコメンテーターを務めた。DeNAの大ファンで同番組内でチームを叱咤激励することも。数年前には沖縄・宜野湾キャンプも訪問した。
私は、このときの「サンデーモーニング」は、その発表のあったくだりは見なかったので、その後の新聞報道でその死を知りました。79歳とのことですので、若死にではないにしてもまだご本人やりたいこともたくさんお持ちだったと思います。
ところで浅井氏の本を私も何冊か読んでいると思いますが、いちばん印象に残っている本がこちらです。
出版されたのは1997年6月とのことですので、同じ年の7月の英国の香港返還を意識した出版かと思われます。マカオがポルトガルから中国に返還されたのは、1999年12月です。私がはじめてマカオに行ったのは、その直前の11月のことでした。
この本を読んだきっかけは、確か読んだ当時(たぶん1999年)マカオにものすごく興味があって、いろいろマカオについての本をあさっていて、その中の1冊という位置づけだったと思います。それで感想を言わせていただきますと、非常にまとまったマカオの歴史についての本、というところです。マカオというのは、香港と比べると人口といい立場といい、まったく地味というか存在感が薄いところがあり、最近でこそ旅行者なども香港とはちがった魅力のある街というイメージが強くなっていると思いますが、長きにわたって香港ツアーでの刺身のつま、みたいなところでした。また、ギャンブルと売春の街でもあるわけで、多少なりともマカオのことを知っている人に、「マカオが大好きだ」みたいな話をすると、なまじ知っているだけに「あんた、ギャンブル(売春)大好き人間だろう!」くらいの顔をされかねません。しかしマカオには、ほかにもっといいものがたくさんあります。
たとえば街にあるコロニアル風の建物や、ポルトガル料理、マカオ料理などはすばらしいにもほどがあります。料理なんて、それだけでまたマカオに行きたいくらいです。あとホテルなども、なかなかいいものがあるし、いろいろ魅力的な街ですが、やはりギャンブルの街というイメージが強すぎるくらい強すぎますね。それは仕方ないし実際ギャンブルの街なのですが、しかしマカオとはそのような街だと思われては、いや、それはそうとは言えないよと私など言いたくなるわけです。
ギャンブルや売春の話はともかく、マカオについて書かれた本は、その多くは旅行ガイドブックであって(「地球の歩き方」も、マカオ編を単独で出版している時代です)、この本が出版された20世紀末は、香港とマカオの返還のためにわりと多くの本が出版されましたが、香港と比べれば(当然ながら)マカオについて書かれた本はわずかですし、詳しくは調べていませんが、いまの時代は当時よりマカオについての本なんて、ガイドブック以外はたぶんさらに発売されていないでしょう。そう考えると、この本はマカオの歴史とその政治的な位置づけをとてもわかりやすく書いてくれたいい本だったと思います。
それで浅井氏は、関口宏が代表を務める三桂の所属です。実は「サンデーモーニング」の出演者は、この会社の所属の人が多いわけです。浅井慎平、中西哲生、涌井雅之、唐橋ユミ、橋谷能理子といった人たちがそうです。関口宏という人も、なかなかいい人脈を持っています。つまりはいいブレーンにも恵まれ、またその人たちとの付き合いかたにも優れているということなのでしょう。
浅井氏というと、上に引用した記事にもあるように、弱小野球チームのファンというのがお約束の役回りでしたが、そういった視聴者サービスもしてくれる人でした。あまり野球に詳しくない私ですが、今年も氏の野球の話を聞きたかったと思います。あらためて氏のご冥福をお祈りいたします。