過日、とある筋から、今年支給が予定されている戦没者の特別弔慰金について厚生労働省が自治体職員用に作成した事務処理マニュアルなるものを入手しました。といっても、私がもらったのは、PDFファイルです。
で、ちょっと見ていて「おや」と思ったことが。たぶんこんなこと、この方面にくわしい人(遺族の関係者、自治体関係者、あるいは厚生労働省の関係者など)にとっては常識中の常識でしょうが、しかし私はくわしくないので、あらためて「どうもなあ」と思ったわけです。下の画像をご覧になってください。
どうですかね。さすがに2015年に作成された中央官庁作成の文書で「日華事変」てのは時代錯誤じゃないですかね。ちなみに私が自分のPCで「にっし」というのを打って「日支」と変換させようとしたけど(同日の記事の訂正:当然ながら「にっし」「日支」でなく「にっか」「日華」の誤りです。訂正します)、変換されなかったぞ。初期設定ではたぶん変換対象じゃないのでしょう。さしさわりがあるので故意に変換対象にしていないのかどうなのかは未確認ですが、どちらにせよ、いまの時代あまり使われる用語じゃありませんね。なおWikipediaには、「日華事変」では項目がありませんが、「支那事変」なる項目があり、その記述によると
>当項目では「支那事変」という「呼称」について解説する。
>日本では初め北支事変(ほくしじへん)、後には支那事変(しなじへん)の呼称を用いた。新聞等マスコミでは日華事変(にっかじへん)などの表現が使われる場合もあった。日支事変(にっしじへん)とも呼ばれる。
戦後の学校教育では当初「日華事変」に統一されていたが、昭和50年代以降[要出典]は徐々に「日中戦争」という呼称が広まった。これは日中双方が「事変」としていたが、事実上の戦争であるとの歴史学界による学説、さらに主として日本教職員組合など教育現場やマスコミが、占領軍(GHQ)や中華民国・中華人民共和国(建国前)両政府の「中国を侮蔑するニュアンスを含む」とする政治的圧力をうけて「支那」という言葉の使用を避けた為である。[要出典]なお本来「支那」という呼称に差別的意味はないとする研究もある。
とのこと。脚注の番号等は省略しました。要出典マークがついていますが、少なくとも公文書で使う用語じゃないと思いますね。
稲田朋美みたいに、国会議員になって以降ですら「シナ事変」と自著で書いているような人物と比べればまだましでしょうが(稲田のようなガチの右翼と比較したってしょうがないけど)、「日中戦争」と書けない縛りでもあるんですかね。現在「日華事変」という言葉を使用しているのは、他意があるというよりは、たぶん以前からの用語をそのまま使っているだけということなのでしょうが、それもどうかです。担当している役人(自治体も厚生労働省も)は、違和感を感じないんですかね。変な話です。