荒木和博が書いていることやその活動にまともに対応するのもどうかですが、しかしこれはかなりひどいと思います。荒木というか、「特定失踪者問題調査会」なる組織が行ったという記者会見についての荒木のブログ記事です。
> 平成25年7月2日
「反物事案」について
特定失踪者問題調査会
横田早紀江さんがめぐみさんの拉致された翌昭和53(1978)年、拉致未遂に遭っていた可能性がある。
偶然ではあるが、ほぼ同時に和服の反物を売ろうとする不審な人物を過去に目撃したとの三つの情報が入ってきた。その一つは横田めぐみさんの母、早紀江さんである。もう一つは千葉県在住の男性とその母親である。これは拉致の手口の一つである可能性がある。詳細は以下の通り。
1、横田早紀江さんに関わる「反物事案」
昭和53(1978)年3月以降(3月〜5月あるいは11月?)頃、午前中(もしくは夕方の時間帯?)に、所用(PTAないし買い物?)で早紀江さんが新潟市水道町の当時自宅から大通りに出て出かけた際に、めぐみさんが拉致されたと思われる交差点付近より少し南側、当時あったホテル前付近で、海岸の方を向いて左に寄せた乗用車(色不明)が駐車している事に直前で気付く。
その車の側から1人の男が反物を2本手に持って「奥さん、反物の良い物が安く展示してあるので、見に来ませんか」と声を掛けて来た。近くにはもう一人の男がいた。
男達は、背広を着用し、30代前後、身長はそれほど高くなく、どちらかと言えば きゃしゃな感じ、髪型は普通の七三分け、メガネはかけていない。日本語に不審な点は無く、気さくな感じだった。
当時はめぐみさん失踪からまだ日も浅く、早紀江さんの心はどん底の状態でそれどころではなかった。また、早紀江さんは以前に呉服店に勤めた経験があり、展示会などを路上にて声をかけ誘う事はあり得ない、顧客には招待状を出すのが普通だという認識があり、非常に不審な感触を抱いた。めぐみさんがいなくなった直後から不審な電話などもあり、日常的に警戒心を持っていた。
早紀江さんは怖くなり、すぐに申し出を断って、新潟大学の交差点方向へ向かった。後を付けられていないか不安であったが、後ろを振り返る事は出来なかった。用事を後回しにし、そのまま新潟中央警察へ直行。不審な人物に声を掛けられた事について通報した。車のナンバーは記憶しておらず、警察は調べておきますと対応したと言う。その後、警察からは「あれ以来そのような不審者は現れず、何でも無いですよ」と告げられた。
(後略)
横田の奥さんの話がどれくらい正確なのかどうかすら怪しい気がしますが(故意にではなくても、だいぶ以前の話でそうとう事実と記憶とが違っているんじゃないのという気がします)、こんな話のどこが北朝鮮拉致なんでしょうか。ふざけるのもいいかげんにしてほしいと思います。私が拉致被害者家族なら、「馬鹿ほざくのもいいかげんしろ」と激怒しています。なにをこんなでまかせの与太を記者会見などするのでしょうか。
それで、さらにこちらの記事もひどい。「特定失踪者」の親類の女性の体験談です。
>「反物事案」その3
【調査会NEWS1369】(25.7.3)
前号のニュースをご覧になった永本憲子さん(昭和56年高知県で失踪)の従姉妹、牧野由美さんから次のようなメールをいただきました。正直なところちょっとぞっとしました。
-------------------------------------------------------------
1985年(昭和60)年から1992(平成4)年の間のことと記憶しています。当時、私は20代から30代になる年齢でした。
当時住んでいたアパートから最寄りの東急東横線 日吉駅に向かう途中で車から声をかけられました。男性でした。勤めていた呉服店が倒産し、呉服の在庫を抱えて困っている、安くするので見てみないかというのです。
バンタイプの車で、中は確認しなかったと思いますが、後ろに何か荷物を載せているような雰囲気はありました。声をかけられた場所は角を曲がれば駅まで一直線。人通りもずいぶんと違います。なぜ、この場所なんだろう。ふと思ったのは駅前には交番(当時)があるからかという疑いでした。
加えて、いくら横浜とはいえ、車で道端で声をかけて呉服を売るというのは、あまりにずさんな売り方ではないかとすぐに断りました。
人ごみをあるけばうさんくさい勧誘を受ける都会で、数多くそんな疑いを持つ機会はありましたが、なぜか日吉でのそのシーンはよく覚えています。いただいたメールの中、自分の記憶と重なる部分がありました。警察関係者の方のご意見も読みまして、念のためにお知らせしようと思いました。
1985年から92年の7年間のうちのいつかって何よそれ、と思いますが(つまりはそんなに強く記憶に残る話ではなかったということでしょう)、こんな体験を話されたところで何の価値もありません。こんな話に「ぞっとしました」とまで書く荒木という男には絶句します。
さすがにこんな与太は産経新聞ですら記事にはしかねるでしょうし(確認した限りでは、産経その他記事にはしていません。漁船を襲って若者を拉致して中高年は船ごと沈めたとかいう話も、産経以外は記事にしませんでした)、拉致被害者家族支援者ですらどうかと思うくらいのものでしょうが、警察関係者からのメール(これだってほんとかどうかわかったもんじゃありません)を紹介した記事がこれまたひどい。その一部を。
>(前略)
反物は朝鮮半島でも歴史がある産業です。また、国内において、目をつける必要がある歴史的背景も事実存在します。それは、反物製造における在日朝鮮、在日韓国人の稼動実態です。
戦前から全国的に在日の方に対する職業差別などがあり稼動できる職種は限られていたようです。そのなかに主たる彼らの職業として、反物製造業があります。
(中略)
もちろん、拉致未遂の被疑者が在日朝鮮、韓国人か日本人かその他外国人かはわかりません。ただ、反物製造の歴史的背景からも、また北朝鮮拉致という観点からも反物事件が拉致に密接であるならば本件被疑者が、在日朝鮮、韓国人の可能性が充分に考えられます。
>戦前から全国的に在日の方に対する職業差別などがあり稼動できる職種は限られていたようです。そのなかに主たる彼らの職業として、反物製造業があります。
というのが事実かどうか知りませんが、事実だからといって、北朝鮮工作員がそんなものに偽装して日本人拉致をするとは考えにくいでしょう。といいますかこの記述は、反物業界に対する重大な名誉毀損じゃないんですか。業界団体は抗議したっていいんじゃないの。いや、するべきでしょう。あまりに馬鹿馬鹿しすぎて相手にする気もしないでしょうが、荒木とか巣食う会系の連中はそういったことにつけあがって非常識きわまりない活動をするのですから、迷惑にもほどがあるというものです。
それにしても、こんな話を記者会見までするというのはこの連中はまともじゃないですね。そんなことははじめからわかっていますが、なおさらです。拉致問題って、こんなことまで記者会見するほどネタがないのと思います。そうとうな末期状態にありませんかね。安倍晋三が首相に復帰しておいてすらこの様ですから、お話にもならないとはこのことです。どうにもならないですね。なんとも惨憺たる無残きわまりない光景です。
なおこの記事を執筆するに当たって、bogus-simotukareさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。