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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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産経新聞というところも、ご都合主義にもほどがあるところだ

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産経新聞のこの社説には思わず苦笑しました。

>【主張】組み体操 一律禁止いかがなものか

(前略)

日本の教育現場は、そこまで信用が置けないのか。

(後略)

産経新聞てさあ、基本的に教育現場での教員の自己決定その他をやたら批判しているじゃないですか(笑)。どの面下げてこんなこと書いているんだか。

私はこちらの記事

なかなか明るいニュースだ(組み体操の中止)

で、

>私も中央官庁が教育の細かい点について口を出すのを好きな人間じゃありませんが

と書きました。いまの時代中央官庁が地方のいろいろな政策を強権的に指示したり無下に拒否する時代ではないでしょうし、また現実に文部科学省が都道府県区市町村のさまざまな教育方針に細かく口を出すということも、昔と比べればだいぶ減ってきていると思います。しかしこの組み体操の件は、自治体任せじゃいかんでしょう。実際任せていて、いろいろ事故が起きてしまったのだから。そして死者や重篤な後遺症が生じた事故もある。

だいたいこの記事を読んでいてもわかりますように、産経がこの件を批判するのは、別に自治体の教育委員会や個々の学校の意見・意志を尊重しようと考えてのものではない。単に産経が組み体操が好きだから続けてほしいだけです。だから、組み体操の問題というのは、個人的な好き嫌いで続行あるいは中止を論じてよいのかです。組み体操はあまりに事故が多く、そして死亡、後遺症の残る怪我をする危険性がある。さらにはこれはけっこう本質的な問題だと思いますが、競技の選択ができて、また参加が(基本的に)任意である放課後部活動などと違い、学校の授業の一環であり(事実上)参加を強要される組み体操は、その存在自体が非常にやばくないですうかね。組み体操が安全、少なくともそんなに問題となるほどの事故が起きるものでなければ、世間だって文部科学省だってマスコミだって私だって、こんなに問題を指摘するわけではない。

それでこのような産経の主張も、いつものパターンですが、またひどい。

>徒競走でも、転べばけがをする。泳げば溺れる可能性がある。相撲や柔道などの格闘技はもちろん、野球やサッカーなどの球技でも負傷のリスクは常にある。

 極論をいえば、全てのスポーツは何らかの危険を伴う。

一般論としてスポーツの問題を議論しているのではなく、組み体操の特異な危険性を私たちは憂慮しているのです。また組み体操は現実に死者や後遺症の残る大けがが発生しています。また上にも書いたように、組み体操は自動は事実上拒否することができない。保護者(主に親)が学校に自分の子どもの不参加を申し入れるのも難しいし、そんなことをしたら子どもがいじめられる可能性があります。また柔道は実際に死者が続出していたので、競技する中学生などが激減していますし、柔道界も事態を重視、改善に努めています。他のスポーツだって、少なくとも事故続出であるにもかかわらず(事実上)何もしていないなんてことはない。熱中症に対する対応とか、いろいろ気をつけています。

それに対して組み体操は、そもそも事故の防止とかがきわめて難しいし(たとえば周りに教職員を配置しても、中から崩れたらどうしようもありません)、最悪頭を打って死亡もしくは一生寝たきりなどという重篤な後遺症が残る場合があります。公立学校なら自治体だって莫大な賠償金(税金による支出です)を払うことになります。いいんですか、それで、です。自分の自治体(学校)(子どもたちの間)では、(統計学的に見て)そんな事故は起きない(であろう)ですか? お話にもなりませんね。

たさ産経新聞が、連中が絶対支持している安倍内閣の文科相の決定について異を唱えるというのも面白いよね(笑)。つまり組み体操というのは、好きな人間は本当にそこまで好きだということです。上にも書いたように、好き嫌いで済ませるには、「組み体操」はあまりに危険すぎますが、これ右翼とか左翼とかのイデオロギーとかの問題じゃなくて(組み体操に固執する学校関係者が、産経並の右翼とかあるいは逆に左翼イデオロギーの持ち主ということでもないでしょう)、見識と書か賃というか、たぶん集団行動や集団示威行動への好みみたいなものがあるんでしょうね。日本の国民体育大会での(昔の)更新とか、旧社会主義国あるいは現北朝鮮とかの軍事パレードやマスゲームなどが共通しているようなものでしょう。それもどうかです。

そう考えると、私はもちろん橋下徹なんて人間は全く評価しませんが、彼が率先して組み体操への奇声を言い出したことは、それなりに(あくまで「それなりに」ですよ)評価していいいんじゃないんですかね。大阪府・大阪市の教育行政というのも、公募校長の無残で無様な有様や、君が代斉唱の口の動きチェック、教育長の教育委員へのパワーハラスメント(! ていうかそもそも、教育長って教育委員に対してなんら指示監督命令権限なんかありはしませんが)とか、論外にもほどがあるような気もしますが、ほかはともかくこれは、それなりのものはあるかと思います。

いずれにせよ、前に私が書いた記事の題名を借りれば、

「感動」とは安全に優先するものではないと思う

ということです。子ども関係については、まずは子どもの安全・人権を最優先にしてほしいと思います。学校及びその近辺の不審者情報のような愚にもつかないことで一喜一憂している人たちが、「感動」とか自分の好み、周囲の思惑とかを優先させて子どもたちの安全をないがしろにしているのであれば、けっきょくのところこの人たちは、子どものことなんか何ひとつ考えてはいないんだなと思います。児相その他が「親権」をたてにされて保護している子どもを虐待親に引き渡して、それで親がまた虐待して最悪子どもを殺してしまう事例があります。尼崎の事件などはその一例です。親権というのは、子どもの人権のためにあるわけで、親の子どもへの恣意的な扱いを許す、あるいは認める物ではない。子どもの身体の安全などを、「感動」とかの名のもとに危険にさらしていたりしていては、論外にもほどがあるというものです。

この記事は、bogus-simotukareさんの記事からヒントを受けました。感謝を申し上げます。


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