昨日に続いて、今回も洋画の日本語吹替と声優の話を。
1978年のリチャード・ドナー監督による「スーパーマン」は、wikipediaによると2種類の日本語版が存在します。1983年放送分と2006年放送分です。翻訳は同じ人の担当ですね(木原たけし)。ただ、同じ翻訳かどうかはわかりませんが。あるいはどこかを手直ししているのかもしれません。
このうち、2006年版は見てないので論評できないのですが、しかし個人的には、見るまでもなくこれは1983年版のほうが出来がいいと思います。それはお前の偏見だといわれたら甘んじて批判を受けます(見ていないんだからね)。でも1983年版の出来がいいのは事実でしょう。
そしてこの1983年版の日本語吹替えは、一部のソフトに収録されています。
スーパーマン アンソロジー(8枚組)コレクション ブルーレイBOX (日本語字幕/一部吹替あり) [Blu-ray] [Import]
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これは、日本語吹替版も入っていて、価格も高くない、優れ物のセットです。
1983年版では、ジーン・ハックマンを担当した小池朝雄とネッド・ビーティを担当した神山卓三の吹替えが抜群に面白いですね。このあたりは小池と神山の芸達者ぶりというものでしょう。このことは前にも記事に書きました。小池は1985年3月に亡くなっているので、たぶん声優としてはこれ以降たくさんの仕事はしていないのじゃないですかね。wikipediaによると、84年や85年発表の仕事もありますが、84年10月にテレビ放映された「スーパーマン?」の声は石田太郎が担当しているので、すでにこの時期小池は仕事を受けられる状態ではなかったのでしょう。昨日も記事に書きましたように、石田は後に「刑事コロンボ」の新シリーズでピーター・フォークの声を担当しました。小池が担当することの多かったジーン・ハックマンの声を引き継いだこともあり、小池の死後は、わりと早い段階で石田はコロンボの声の担当候補ではなかったかと思います。
ところで小池の死因は「肺不全」と発表されていますが、亡くなったのが国立がんセンターなので、たぶん肺がんなどのがんに由来するものと考えられます。早すぎる死でした。もっと氏の声を聞きたかった。
レックス・ルーサー(ハックマン)の恋人(愛人? 情婦? 同居人?)であるイヴ・ティッシュマーカーを演じたヴァレリー・ペリンの声を担当した小原乃梨子の声もいいし、細かいことを言い出すときりがありませんが、ささきいさお(佐々木功)のスーパーマン(クラーク・ケント)は、やっぱりスーパーマンは佐々木さんの声じゃなければ・・・という気がします。マーロン・ブランドを担当した大平透もいい。
ほかにもジャッキー・クーパー(主人公の上司役。クーパーさんも亡くなったんだね。彼も刑事コロンボの犯人役です。「野望の果て」)の声をあてた近石真介もうまいし、これも吹替え黄金時代の最後の時代なのかなと思います。この映画がテレビ放映された83年は、そろそろレンタルビデオが社会に広がり始めている時代ですから、まさにテレビの洋画劇場、日本語吹替の黄金時代の最後だったのでしょう。
それにしても、やはり80年代初めごろまでの声優たちというのは綺羅星のようなすごい人たちがいますね。他ブログ様でのコメントを再録するのも気が引けますが、ogatさんのブログにさせていただいたコメントより。「ふしぎなメルモ」についての記事です。
>このマンガは題名しか知りませんが(私マンガには詳しくないんです)、面白そうですね。で、これははじめからアニメ制作が前提の作品だそうです。「ジャングル黒べえ」に近いかも。あちらのほうはアニメ企画先行です。
で、wikipediaを確認したら、アニメは主人公の声を武藤礼子がやっているのがびっくり。武藤さんてこういう仕事していたんだ・・・ていうところです。ゲストの声を見ても、綺羅星のようなすごい人たちばかり。新録の人たちとくらべても、ちょっと格がちがう・・・というのは、年をへた人間である私の偏見でしょうが、この旧録の声をソフトで復活させてほしいですね。武藤さんもずいぶん以前にお亡くなりになりました。ずっと後になって知って、武藤さんも亡くなったかとずいぶんがっかりしたものです。
ところで過日テレビ東京で放送された、午前十時の映画祭でも上映された「大いなる西部」の声優陣がすごい。主演4人が
>>ジェームズ(ジム)・マッケイ グレゴリー・ペック 城達也
ジュリー・マラゴン ジーン・シモンズ 武藤礼子 学校教師。
パトリシア(パット)・テリル キャロル・ベイカー 鈴木弘子 ジムの婚約者。
スティーブ・リーチ チャールトン・ヘストン 納谷悟朗
鈴木さん以外は、皆故人です。
すいません、ogatさん、自分のブログで書くべきことを、貴ブログでコメントしてしまいました。
ogatさんの記事は、別にアニメの話をしているのではないのですが、私の趣味で自分の興味のある話を書いてしまっています。ogatさんには申し訳ないのですが、せっかく
>確かにブログのコメントにしては内容が濃過ぎてもったいないので、ぜひそのまま転載してご自身でご利用ください笑
とまでおっしゃっていただけましたので、再録いたしました。
で、「ふしぎなメルモ」のゲスト声優をご紹介しましょう。wikipediaより。
>
渡メルモ -
武藤礼子
渡トトオ -
松島みのり
ママ(渡ひろみ) -
北浜晴子
タッチ -
沢田和子(第1〜7話)→
吉見佑子(第8〜26話)
ワレガラス -
北村弘一
手塚先生 -
富山敬(第5話)→
伊藤克(第11・12・16・19話)→
大竹宏(第17話)
ゲスト出演[
編集]
メルモのおばさん -
麻生美代子(第1・11・21話)
神様 -
青野武、
北村弘一、
肝付兼太(第1話)→
野本礼三、
原田一夫、
江角英明(第15話)→青野武、原田一夫、
本多晋(第18・26話)
若者 - 竹尾智晴(現・
中尾隆聖)(第1話)
老人(ゼンゾウ) -
八奈見乗児(第2話)
大臣 -
梶哲也(第3話)
大使 -
納谷悟朗(第3話)
大統領 -
田の中勇(第3話)
女将校 -
小原乃梨子(第3話)
パイロット -
山田康雄(第4話)
オスウサギ -
小宮山清(第4話)
ナナメ -
堀絢子(第5話)→
杉山佳寿子(第8・13話)
シカク - 富山敬(第5話)
イケハラ - 沢田和子(第5話)→
野沢雅子(11・19話)
ヒトミ -
松尾佳子(第5話)
ニタ子 -
太田淑子(第6話)
古池教授 -
大塚周夫(第7話) - モチーフキャラは
天馬博士
デーモン - 納谷悟朗(第8話)
ビリ犬 -
山本嘉子(第9話)
変身後のビリ犬 - 富山敬(第9話)
母犬 -
増山江威子(第9話)
社長(ひき逃げ男) -
小林修(第11話)
ハヤト - 野沢雅子(第12話)
片やん -
矢田耕司(第12話)
紫 - 伊藤克(第12話)
小森コン太郎 -
丸山裕子(第12話)
校長 -
水島晋(第12話)→原田一夫(第16・19話)
少年(タダオ) - 山本嘉子(第13話)
社長 -
永井一郎(第13話)
秘書 - 増山江威子(第13話)
出来底 - 矢田耕司(第13話)
出来底の妻 - 野沢雅子(第13話)
ヨシヒコ - 永井一郎(第14話)
マル子 -
小原乃梨子(第14話)
チャ子 - 山本嘉子(第14話)
シンキチ -
山下啓介(第14話)
刑事凸・凹 - 矢田耕司、永井一郎(第14話)
手品師 - 大塚周夫(第15話)
校長の妻 -
沼波輝枝(第16話)
五平 -
田村錦人(第17話)
五平の甥 - 田の中勇(第17話)
ギャング(小西) -
辻村真人(第18話)
大造 -
小林恭治(第18話)
警部 - 槍田藤吉(第18話)
千恵子 - 吉見佑子(第18話)
野沢先生 - 江角英明(第19話)
鉄腕大五郎 - 田の中勇(第19話)
ター子 - 山本嘉子(第19話)
社長 -
木村幌(第20話)
社長の秘書 -
作間功(第20話)
記憶喪失の男 -
加藤治(第21話)
近石昭吾 - 竹尾智晴(現・中尾隆聖)(第22話)
昭吾の父 -
雨森雅司(第22話)
昭吾の母 -
牧野和子(第22話)
津村実 -
八代駿(第23話)
矢部千代子 -
吉田理保子(第23話)
矢部社長 - 大塚周夫(第23話)
加藤太郎 - 神谷明(第24・26話)
加藤二郎 - 山下啓介(第24・25・26話)
加藤三郎 - 山本嘉子(第24・26話)
二郎の母 -
平井道子(第24・26話)
柳田豪十郎 - 木村幌(第25話)
豪十郎の母 - 堀絢子(第25話)
豪十郎の妻 - 山本嘉子(第25話)
どうです。ほんとすごいでしょ。私が「すごい」なんて書いても仕方ないかもしれませんが、やっぱりすごい人たちです。時代がちがうので、これだけすごい声優たちがひとつのアニメに参集するのって、これからは難しいでしょうね。「スーパーマン」でとりあげた声優さんたちも、存命中の方も70歳を軽く超えているし、故人もいらっしゃいます。すでに30年前の収録ですからそれもいたしかたないところです。
昨日書いたことを繰り返すと、テレビの洋画番組に往年の影響力がなく、海外テレビドラマの位置づけが低くなり、アニメもかつてほどには国民的な人気番組が出にくくなっているわけで、個々の声優の実力はともかくとして、昔ほど老若男女に知名度のある声優が出てきにくいのは当然といえば当然です。それは仕方ありませんが、やはり声優も新しい時代と新しい姿になっていくんだろうなと思います。*