ベルギーでテロがありました。記事を。
>ブリュッセルの空港と地下鉄で3度の爆発、警戒レベル最高に
CNN.co.jp 3月22日(火)19時6分配信
ブリュッセル(CNN) ベルギーの首都ブリュッセルの空港で2度の爆発があり、複数の死傷者が出た。また、市内の地下鉄でも爆発が発生し、全ての地下鉄の駅が閉鎖された。地元メディアの報道によれば、計3度の爆発で、少なくとも23人が死亡した。地下鉄で10人が死亡したほか、空港で少なくとも13人が死亡したという。
爆発の原因やテロとの関連は不明。
こうした事態を受け、ベルギーでは、4段階あるテロ警戒のレベルが最高レベルに引き上げられた。これにより、安全保障上の要請があれば、当局は市内に軍を配備できるようになる。
空港で22日、2度の爆発が発生し、地元公共放送RTBFによれば、複数の死者が出た。初期の報道では最大10人が死亡し、30人超が負傷したとしていた。
地下鉄でも同日、爆発が発生した。CNNの系列局RTLによれば、爆発が起きた駅は欧州連合(EU)の関連施設が集まる地区の近くだという。当局のツイッターによれば、市内の全ての地下鉄の駅が閉鎖された。
ブリュッセル空港の連邦警察はCNNに対して、爆発があり何かが起きたようだと語った。
同空港は短文投稿サイト「ツイッター」で、爆発が2回あり、建物からの避難が行われていると述べた。
空港近くのホテルにいた男性は、現地時間同日午前8時ごろ、空港ターミナルの建物から音が聞こえたと証言。「カーテンを開けると、人々が逃げ出してくるのが見えた」と語った。
私もブリュッセルの空港は使用したことがあります。そしてこのブログでもその時のことを記事にしました。
2012-13 ベネルックス(オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)紀行(30)
で、先日中国に行きまして、鉄道のターミナル駅や地下鉄の駅などで、厳重な警戒をまた経験しました。今回は、上海のほか蘇州でも地下鉄に乗りましたが、やはり荷物をX線でチェックしました。1度は、中に入っている1.5ℓの水のペットボトルについて、再確認を求められたくらいです。その時は煩わしいと思ったのですが、しかし中国もテロがありますから、やはり警戒は厳しくなるのでしょう。そしてまた、ブリュッセルというEUの本部がある街で大規模なテロがあったわけです。中国は一党独裁の強権国家ですが、ベルギーは王政ですが、まさに民主的な国の典型なわけで、そういう国でテロが起きるのはやはり怖いですね。
それで上の記事ではそこまで書かれていませんが、自爆テロだったようですね。記事を。
>2016年3月22日(火) 18時2分掲載
空港爆発は自爆テロ=ベルギー
ベルギー公共放送は、ブリュッセルの空港で22日に起きた爆発について、自爆テロだと報じた。 (時事通信)
自爆テロだとすると、なんともどうしようもないですね。人間だれでも、最低レベルとして、自分の命は惜しい、という感情があるわけです。だから人間というのは、あまりに非常識なことはしないというそれなりの制御がある。逆に死刑になるような犯罪をする人というのは、その瞬間は、そのような理性が吹っ飛んでいたり、あるいは少なくとも犯行時は、死刑になっても構わないという認識だったり、はたまたそもそも罪の意識などというものがきわめて低かったりするわけです。たとえば最初の例は、前に私が記事にした
最悪の誘拐殺人事件
や
気になった話
での犯人などがそうでしょうし、真ん中の例では、大阪教育大学付属池田小学校の事件などがまさにそうでしょう。また最後の例は、私がこれも記事にした
行政その他の支援がなかったことが非常に悪い事態をもたらした大きな要因と思われる強盗殺人事件の実例
の犯人がまさにその典型でしょう。この犯人は、知的障害者で自分の犯した犯罪の重大さを認識していないように思われます。
そして、日本でも極左勢力による爆弾テロ(三菱重工爆破事件など)やオウム真理教によるテロ(地下鉄サリン事件)などの大規模なテロ事件が起きたことがありますが、これらはいわゆる自爆テロではありません。東アジア反日武装戦線のメンバーは、逮捕される際は自殺する意志がありましたが、自殺したのは一部のメンバーに限られました。オウム真理教の実行犯その他関係者は闘争したり隠れましたが、片端から逮捕されました。人間そう簡単に死ぬことは出来ません。
しかし、自分の死を覚悟してそれでテロを実行すれば、これはどうしようもないですね。死刑も射殺されることも、なにもこわくないんだから、死ぬ直前には後悔するかもですが、実行しちゃったんだからどうにもならない。事実、たとえばガンディーを暗殺した実行犯は死刑を執行されていますし、インディラ・ガンディー暗殺犯も死刑、その息子のラジーヴ・ガンディーは自爆テロにあって死亡しています。これらの事件は、ガンディーは極右のヒンズー過激派、インディラはシーク教徒、その息子はスリランカの関係者による犯行であり、それぞれ背景は違いますが、実行者たちはいずれも主観的には自分たちは正しいことをしていると考えているわけだから、どうしようもないわけです。ヒンズーの魂を踏みにじる裏切り者だったり、シーク教徒を不当に弾圧する抑圧者だったり、自分たちの組織に不当に介入する許しがたい敵なのですから、彼(女)らが殺されるのは当然の報いであり、そのためなら自分の命も惜しくないわけです。
上では、インドの話を書きましたが、イスラエルでも、イツハク・ラビン首相を暗殺したのは、イスラエル極右の学生です。Wikipediaによれば、彼は
>ラビン死去の報に接すると、彼はただ「満足だ」と言った。
公判で、彼はラビン殺害の理由について「神の律法によれば、ユダヤ人の土地を敵に渡してしまう者は殺すべきことになっている」と語った
くらいです。自分は正しいことをしたと考えているのだから、怖いものなどありはしません。そのためなら一生刑務所で過ごすことなど大したことではないわけです(イスラエルは一般犯罪での死刑はありません。裁判で死刑が確定し執行されたのは、かのアドルフ・アイヒマンのみ)。日本の二・二六事件での青年将校たちも、死を覚悟したからあれだけのことをやったわけです。もっとも松本清張『昭和史発掘』によると、処刑される際一部の死刑囚は、刑場で抵抗したとのことです。
昭和史発掘 9 (文春文庫)
現在の日本では、二・二六事件のような大規模クーデターが起きることは考えにくいものがありますが、しかしクーデターはともかく、テロというのは、やること自体に意義があるみたいに考える人たちがいますし、本気でやられたらそれまでです。例えば山手線と小田急線と新幹線をラッシュの時間に同時に襲うテロをされたら、犯人は逮捕されるかもしれませんが、その被害は甚大なものになるでしょう。死刑になったってかまわないと考えれば、後はどれだけ大規模にするかどうかです。うんなもん、警備だって完璧なものができるわけがない。
たしか立花隆も、何かの本で、イスラエルの治安当局者か何かの発言を紹介していました。つまり、死ぬ覚悟で向かってくる連中には対応しきれないという趣旨です。それはそうです。例の同時多発テロ事件は、その極端な例です。
死を恐れない人間ほど、始末に負えないものはありません。