いろいろ拙ブログのネタに事欠かない昨今ですが、今日はこちらの件を。
>ダッカ人質テロ 日本人7人の死亡確認 13人救出、IS系が犯行声明
産経新聞 7月2日(土)23時46分配信
【ダッカ=岩田智雄】バングラデシュの首都ダッカで1日午後9時半(日本時間2日午前0時半)ごろ、武装集団が飲食店を襲撃し、客の外国人ら数十人を人質に立てこもった。治安部隊が2日朝に現場に突入、日本人男性1人を含む13人を救出した。同国軍関係者は、実行犯6人を射殺し、1人を拘束、人質20人が死亡したと明らかにした。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)系メディアが犯行声明を出したが、真偽は不明。
日本政府関係者によると、日本人男性5人、女性2人の計7人の死亡を確認した。
日本政府関係者によると、救助された男性は東京都内の建設コンサルタント会社社員で、千葉県に住む40代の渡辺玉(たま)興(おき)さん。渡辺さんは負傷したが、命に別条はないという。
国際協力機構(JICA)の円借款プロジェクトに参加する企業の技術者ら日本人8人で食事中、事件に巻き込まれた。
渡辺さんは「別々に逃げ、他の7人の安否は分からない」と現地の日本大使館員に話していた。死亡が確認された7人は、渡辺さんと同じ会社を含む都内の3つの建設コンサルタント会社に勤務し、そのうち2人は女性だという。
安倍晋三首相は2日夜、7人に関し、「確認に全力を尽くしているが、大変厳しい状況だ。バングラデシュの発展のために尽力してこられた皆さんであり、痛恨の極みだ」と述べていた。
安倍首相は同日、バングラデシュのハシナ首相と電話会談し、「非道な行為はいかなる理由でも許されず、断固として非難する」と述べ、同国への連帯を表明していた。
地元当局によると、実行犯は8、9人で、襲撃時、「アッラー・アクバル(神は偉大なり)!」と叫びながら発砲。警察と銃撃戦となり、警官2人が死亡し、約30人が負傷した。AP通信によると、武装集団は外国人20人を含む35人を人質に取って立てこもった。
発生から約10時間後、当局が治安部隊100人以上を投入し、救出作戦に着手。激しい銃撃戦となり、爆発音も響いたという。
軍当局者は「死亡した人質の大半はイタリア人と日本人だ」と語った。イタリア政府は9人の犠牲が確認されたと明らかにした。犠牲者には、バングラデシュ人や韓国人、インド人も含まれていたという。
現場はダッカ国際空港に近いグルシャン地区にあり、日本大使館など外国公館にも近い。襲撃が起きた1日はラマダン(断食月)最後の金曜日で、治安当局はイスラム過激派の活動を警戒していた。
で、私が印象に残ったのが、こちらの記事です。
>ダッカ人質テロ 「私は日本人、撃たないで」店外に響いた悲痛な叫び
2016.7.2
【ニューデリー支局】イスラム教のラマダン(断食月)の夜、バングラデシュの首都ダッカにある飲食店が武装グループに襲撃された。一夜明けて治安当局が突入、武装グループは制圧されたが、店内で人質になっていたとみられる複数の日本人と連絡が取れないことが判明。「信じがたい…」。現地の邦人社会には衝撃と動揺が広がり、日本政府や会社などは情報収集に追われた。
日本人ら外国出身者に人気の飲食店「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」に武装した男たちが押し入ったのは、現地時間の1日午後9時ごろだった。
現地報道などによると、武装グループは店の出入り口を封鎖し「アッラー・アクバル(神は偉大なり)!」と叫びながら発砲。爆発物を投げ、店内を制圧した。スタッフら10人以上が建物の階段を上がり、屋上から飛び降りるなどして逃げ出したが、多くの客は人質にとられた。
飲食店の隣に住むレストラン経営の女性(49)は発砲音で異変に気づいた。窓から様子をうかがうと、駆け付けた警察官と武装グループが銃撃戦を展開していた。
周囲は暗く、詳しい様子は分からなかったが、銃声の中で懇願するような男性の声が聞こえてきた。
「アイム・ジャパニーズ、ドント・シュート(私は日本人です、撃たないで)」。女性は産経新聞の取材に、「まるで戦争のようだった」と話した。
近所の男性は銃撃戦を動画で撮影した。「3分ほど前から始まった。とても大きな音。ああ、まだ続いている」。動画の中の男性は恐怖で声を震わせていた。
現地新聞などの報道によると、双方の発砲は徐々に散発的になり膠(こう)着(ちゃく)状態に陥った。
店内に取り残されたウエーターは、親族への電話で自身の周囲に複数の遺体が横たわっていると伝え、「人質は危険な状態。武装グループは『警察が発砲した場合は殺す』と言っている」。家族連れで飲食店を訪れ人質になった男性はおじに電話をかけ「お願い、助けて」と訴えた。
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)系メディアは、武装グループが殺害したとする遺体の画像を配信。武装グループは人質全員にコーランを暗唱するよう求め、暗唱できた者には危害を加えなかったという。
死傷者が出た治安当局側は午後11時ごろ、いったん距離を置き、銃撃や爆風に備え防弾チョッキやヘルメット、重火器をかき集めた。2日未明、武装グループとの接触を試みる一方、突入に向け装甲車の手配など準備を進めた。
午前4時45分ごろ、治安当局関係者がジャーナリストらに対し、飲食店から離れるよう要請。その約3時間後、治安部隊は装甲車を配置した上で、自動小銃などを持った隊員たちが突入した。
銃声と爆発音が響く中、顔や衣服が血まみれになった隊員らが最前線から後退する場面も。現場にいた警察官の一人は「あられのような弾丸と手投げ弾に見舞われた」と話した。
次々と人質が救出されたが、飲食店の中を見たという隊員は「血まみれの人が5人いた。亡くなっていたかは分からない」。その後、飲食店内で多数の人質が死亡していることが判明した。
近所の女性は「家族連れも多く、みんなの憩いの店だった。ここでこんなことが起きるなんて…」と絶句した。
惨劇の舞台となった店のHPはこちらです。近日中に閉鎖されるかも。以下ネットからいただいた写真を掲載します。
で、私が印象に残ったくだりはここです。
>銃声の中で懇願するような男性の声が聞こえてきた。
「アイム・ジャパニーズ、ドント・シュート(私は日本人です、撃たないで)」。
報道されたところによると、犯人側は、コーランを読ませてイスラム教徒かどうか確認してそれで非イスラム教徒には拷問(というのが具体的にどのようなものかわかりませんが)したとか。真偽はわかりませんが、つまり自分は日本人だ(だからあなたたちから危害を加えられるいわれはない)、という話は通用しなかったわけです。昔、日本赤軍とPFLPが仲が良かった時代なら、特にアラブ系のテロリストなら日本人は大目に見てもらえたのかもしれませんが、たぶん今回の犯人たちはそんなことを知らないでしょうし、知っていたってそんなことは過去の話だということでしょう。
それでこのような事件が起きるたびに同じ話を書いていますが、こういう事件はやったもん勝ちですからどうしようもないですね。オウム真理教のテロなどは、実行者や最高責任者(麻原彰晃)らは姿を隠しましたが、今回の事件その他は、自爆テロだったり、あるいは立てこもっても交渉などをしようとしないのですから、自分は助かろうとしていないわけです。こうなるとどうしようもない。治安部隊などから射殺されても、実行しちゃえばそれで任務完了なのだから、まさに勝利なわけです。その後の治安部隊との戦闘などは、余技でしかありません。
だいたいこういう事件は、やろうと思えばいつだってできます。日本では、簡単に銃なんかは入手できませんが、たとえば満員の山手線や小田急線あるいは地下鉄で、車内にガソリンをまいて火をつけたらどうですか? やろうと思えば簡単にできます。ただ(現段階)やる人がいないだけです。で、電車内へのガソリンの持ち込みを防ぐことはできませんね。やられたらおしまいです。
それでこのような記事もありました。
><バングラテロ>「出来よい息子、悔しい」死亡の岡村さん父
毎日新聞 7月3日(日)1時1分配信
「出来のよい息子だったのに。悔しい」。日本人7人の死亡が確認されたバングラデシュの首都ダッカで起きた人質テロ事件。そのうちの一人、建設コンサルタント会社「アルメックVPI」社員、岡村誠さん(32)の父駒吉さん(71)=千葉県富里市=は、そう声を絞り出し、無念さをあらわにした。
岡村さんの死亡確認を聞いたのは2日午後11時過ぎ。事件の発生後に外務省から連絡を受けていたが、それまで安否は分からなかった。駒吉さんが外務省に電話をかけて、その後の状況を確認したところ、担当者が「誠に申し訳ないが、亡くなっています」と答えたという。
岡村さんは日本大大学院を卒業後、アルメックVPIに入社。駒吉さんによると、東南アジアを中心にインフラ整備の仕事をしていた。中学生の頃から都市を開発するテレビゲームなどに熱中するなど、インフラに携わる仕事を目指していたという。
先月上旬にはバングラデシュに向かう岡村さんを自宅近くの駅まで送迎した駒吉さん。その際、昨年10月に首都ダッカの宗教施設であった複数の爆発が頭によぎったという。
駒吉さんが「今回はちょっと気をつけろよ」と言うと、岡村さんは「うん。わかった」と応じたという。その後、岡村さんが出国前に空港から「1カ月後には帰るから」と電話してきたのが、最後の言葉となった。
駒吉さんら家族は3日にも政府専用機で現地に向かう。駒吉さんは「本当に優秀な息子だった。大学時代もいろいろな賞をとった。政府にはきちんとテロの対策を取ってもらわないといつまでも同じことが続く。もう同じような被害は出ないようにしてほしい」と話した。
>先月上旬にはバングラデシュに向かう岡村さんを自宅近くの駅まで送迎した駒吉さん。その際、昨年10月に首都ダッカの宗教施設であった複数の爆発が頭によぎったという。
駒吉さんが「今回はちょっと気をつけろよ」と言うと、岡村さんは「うん。わかった」と応じたという。その後、岡村さんが出国前に空港から「1カ月後には帰るから」と電話してきたのが、最後の言葉となった。
駒吉さんら家族は3日にも政府専用機で現地に向かう。駒吉さんは「本当に優秀な息子だった。大学時代もいろいろな賞をとった。政府にはきちんとテロの対策を取ってもらわないといつまでも同じことが続く。もう同じような被害は出ないようにしてほしい」と話した。
現実問題として、気をつけるのは当然ですが、今回の事件に関しては、気をつけようもないですね。だって別に危険なところにいたわけではないし、岡村さんに非があるわけではない。政府がテロ対策を取るったって、バングラデシュその他外国の話ですから、日本に出来ることは極めて少ない。各国政府だって、こんな事件どんな対策を取ったって防げるものではないでしょう。同じような被害が出ないことを願うのは当然ですが、実行犯とこのような行為に意味を見いだす人がいる限りこのような事件は起きますね。それはどうしようもないことです。
ただ私もそこらじゅうをほっつき歩いている人間ですから、こういう事件は怖いですね。韓国とか台湾なら、外国人がたむろるところへ私は足を踏み入れませんが、中国や香港、マカオでしたらそうでもないし、ミャンマーですとそのようなところに私はだいたいいます。発展途上国では、先進国以上に外国人というのは別格な存在です。で、外国人があつまるところは、このような事件の格好の舞台になります。地元の人間が少ないところだから、襲う際も大義名分(?)が(主観的には)立ちやすいのでしょう。今回の事件の店も、報道でも外国人御用達とされているし、上の写真を見ても、一般のバングラデシュ人が入れるような店ではありません。
旅行者もそうですが、ビジネスで渡航している人も、ある程度このような場所への立ち寄りは少なくともそれなりの注意をした方がいいのかもですね。最悪の際のことを考えて、逃げる方法(具体的には出口を確認するくらいしかないでしょうが)も考慮したほうがいいかもです。ホテルに泊まる際、非常口を確認するようなものです。
もちろんこのような事件に遭遇する可能性は、人間そんなに高くはありません。出来ること、注意することも限られています。それは前提の上でいろいろ考えていきながら、私も旅行していきたいと思います。なお、今日は7月3日ですが、4日の記事として更新します。