過日読んで正直絶句した記事を。
>「子供の貧困」報道を架空取材で批判のビジネスジャーナル、NHKの指摘で捏造明らかに
31日には謝罪文掲載
posted on 2016/09/01 10:01
Tatsunori Tokushige
徳重辰典 BuzzFeed Staff, Japan
株式会社サイゾーが運営するニュースサイト「Business Journal(ビジネスジャーナル)」は8月25日付の記事「NHK特集、『貧困の子』がネット上に高額購入品&札束の写真をアップ」の一部に捏造部分があったと31日、サイトにて謝罪文を掲載した。
ビジネスジャーナルの担当者は31日夜、BuzzFeedの質問状に回答し、捏造発覚の経緯を明かした。
問題の記事は、8月18日に「NHKニュース7」内で放送された「子供の貧困」特集がやらせ問題で揺れているとの内容。記事は外部の契約記者が執筆した。
ビジネスジャーナルの記事では番組映像に「エアコンらしきものがしっかりと映っている」とあるが、実際には写っていなかった。さらに記事には、NHKに問い合わせ、回答を得たとあったが、実際にはNHKに取材は行わず捏造だった。
記事は担当編集者、編集長もチェック
ビジネスジャーナルの担当者は、記事の捏造発覚の経緯について「今回の捏造は、記事掲載翌日の8月25日にNHKからの指摘により判明しました」と説明する。
契約記者から入稿された記事に関しては、担当編集者および編集長もチェックしており「記事内容に疑いを持たずに掲載に至ったことの責任を編集部として重く受け止めております」と反省した。
NHKの報道を捏造と書きながら、実際に捏造を行っていたのはビジネスジャーナルだったという事実に「廃刊レヴェルの不祥事」「他業界なら即刻営業停止レベル」など厳しい声が相次いでいる。
特に同じメディアに関わる人間からは「『ネットメディアってこの程度なんでしょ』と思われるそうで本当に心外」「取材してないのに取材したと主張した記者って誰よ。非常に迷惑」などメディア全体の信用を貶めると非難が集まっている。
同担当者は「多くの方々から批判を頂戴しております。それらを真摯に受け止め、外部識者を交えてつつ、再発防止策を講じていくつもりです」とした。
記事で取り上げた女子高生への対応は
今回取り上げた記事の影響はNHKだけでない。記事中で取り上げられたNHKのニュースに出演した女子高生への誹謗中傷へも繋がっている。
担当者は「当該記事によってご迷惑をお掛けした方々にも、まだ十分ではない経緯説明やお詫びを引き続き行い、名誉回復の手段をできる限り講じる努力をしてまいります」と何らかの対応を行うとした。
回答文の文末では「本件については、関係者の皆さま、読者の皆さまにあらためてお詫び申し上げます」と改めて謝罪している。
NHKの番組と、それにまつわる騒動については、こちらの記事が的確にまとめているので、ご参照ください。
貧困女子高生” 炎上の背景に報道側の配慮不足とネットの悪ノリ
別にここではもちろん書きませんけど、高校生の実名や高校もネットでは出回っているのが現実です。ひどいものです。
それで上の記事ですけど、私がおったまげたのがこちら。
>ビジネスジャーナルの記事では番組映像に「エアコンらしきものがしっかりと映っている」とあるが、実際には写っていなかった。さらに記事には、NHKに問い合わせ、回答を得たとあったが、実際にはNHKに取材は行わず捏造だった。
というところです。編集者も編集長も確認したということですから、連中の確認というのは、エアコンが写ったスクリーンショット、番組の動画も実際には見なかったってことなんですかね。そういうことなんでしょうけど、それじゃあどうしようもないですよね。またNHKへの取材ってのも、これの確認はどうなんですかね。返答の実物を見せてもらわなかったのか、どういうアドレスで質問をし返答を受けたのか確認しなかったのか。しなかったんでしょうけど、あまりに幼稚なねつ造に心底からうんざります。
それで、ビジネスジャーナル側の謝罪です。魚拓も。
>2016.08.31
お詫びと訂正
当サイトに掲載した8月25日付記事『NHK特集、「貧困の子」がネット上に高額購入品&札束の写真をアップ』における以下記述について、事実誤認であることが発覚しましたので、次のとおり訂正してお詫びします。
まず、「取材の映像でも、少女の部屋はモノで溢れており、エアコンがないと言っているにもかかわらず女子高生の部屋にはエアコンらしきものがしっかりと映っている」と報じましたが、実際には、女子高生の部屋にはエアコンはなく、取材の映像にエアコンらしきものがしっかり写っているという事実も確認できませんでした。
当該記事は外部の契約記者が執筆したものであり、NHKに取材をして回答を入手したと記述しておりましたが、実際には回答を入手しておらず、当編集部も確認を怠った責任があります。
当該記事では、「今回の疑惑に対しNHKに問い合わせのメールをしてみたところ、「NHKとしては、厳正な取材をして、家計が苦しく生活が厳しいという現状であることは間違いないと、担当者から報告を受けています。ですので、ネット等に関しましては、取材の範囲ではありません。但しご意見は担当者に伝えます」との回答を得た」と報じましたが、実際には、弊社はNHKに取材しておらず、回答は架空のものでした。
弊社は、今回の記事において、何ら根拠なく、「NHKがまたやらせ問題で揺れている」「貧困は社会が抱える大きな問題だが、だからといって報道でそれを捏造してしまえばたちまち矮小化されてしまう」などと報じることで、読者に対し、あたかもNHKが「やらせ」「捏造」を行ったかのような印象を与えたことにつき、取材が十分ではありませんでした。NHKに対し、深くおわびいたします。
また、今回の記事の掲載により、女子高校生やご家族、並びに読者の皆様に多大なるご迷惑をお掛けいたしました点についても深くおわびすると共に、他に同様の事案がないか調査し、厳正な処分を行うとともに再発防止に取り組みます。
■本件に関する当社の処分について
当社は、報道に携わる者として今回の問題を真摯に受け止め、今般、代表取締役揖斐憲の役員報酬の減額(2016年9月より3カ月間にわたり50%の減額)を含め、就業規則に基づき、編集長及び担当編集員に対し、厳正なる減給処分を実施致しました。もちろん、関係者の処分をもって今回の問題が解決されるわけではございません。記事によりご迷惑をお掛けいたしましたNHK、報道対象者の方やご家族にあらためて深くおわび申し上げるともに、引き続き、誠意を尽くして対応してまいります。また、再発防止に努め、読者の皆さまの信頼回復にまい進する所存です。
2016年9月2日
株式会社サイゾー
ちなみに実際の記事は、次のようなもののようですね。引用はこちらより。
>2016/08/25(木) 07:03:36.04 ID:CAP_USER9
NHKがまたやらせ問題で揺れている。
先日放送されたニュース番組の「子どもの貧困」をテーマにした特集のなかで取材を受けた女子高生が、本人のものと思われるツイッター(現在このアカウントは削除)上で
「イエス!!!散財!!!!!」などという書き込みとともにマンガ作品のグッズなどの高額商品の購入写真を多数アップしていることが発覚。
番組視聴者からは「パソコンやエアコンを買うお金もないと言っていた貧困家庭なのに、こんなものを買う余裕はあるのか?」と報道内容に多くの疑問の声が寄せられている。
さらにはツイッター上に彼女の同級生と名乗る女性から、彼女の日頃の素行の悪さを暴露するものやNHKのやらせを示唆する内容のリークが行われ、
そのあまりの内容にインターネット上では「こうした嘘が貧困をさらに貶める」「こんなことをするからNHKの受信料を払いたくない」と怒りの声で溢れており、
出演した女子高生の住所まで特定する、いわゆる「祭り」状態になっている。
そうしたこともあってか、特定された女子高生の自宅まで押しかける人々が後を絶たないようで、
今度はツイッターで姉を名乗る女性から「妹は何も嘘をついてません。高価な物は私が全部買いました。
家に行くのは本当にやめてください」との書き込みがなされた。
しかしこのツイートが火に油を注ぐことになる。「エアコンじたい家に設置されていません。
1台も」との発言に対し、放送された映像ではエアコンが映っていたことを問いただされると、「電気代節約のためにつけませんでした」と苦しい言い訳で発言を修正し、
「夏場で室温は高いはずの部屋で窓を締め切って撮影していたのは、エアコンを使っていたからではないか」とNHKのやらせ疑惑を補強することになってしまう。
さらには過去にアップされた画像に数百万円単位の1万円札を手に持ったものが見つかり、
援助できる近親者がいるにもかかわらずなぜ貧困に陥っているのかと、疑惑は収束するどころかいっそう深まる一方である。
今回の疑惑に対しNHKに問い合わせのメールをしてみたところ、
「NHKとしては、厳正な取材をして、家計が苦しく生活が厳しいという現状であることは間違いないと、担当者から報告を受けています。
ですので、ネット等に関しましては、取材の範囲ではありません。但しご意見は担当者に伝えます」
との回答を得た。
確かに報道した内容にいくつもの嘘が見つかったからといって女子高生の家庭が貧困ではないとの証明にはならないが、
貧困が事実だとしてもツイッターでの女子高生の生活ぶりからすると社会の問題ではなく、浪費癖という個人の問題のように感じられる。
取材の映像でも、少女の部屋はモノで溢れており、エアコンがないと言っているにもかかわらず女子高生の部屋にはエアコンらしきものがしっかりと映っている。
それでもNHKは貧困家庭として疑問を持つことは本当になかったのか。なかったとしたら取材力の低さに問題はないのか。
貧困は社会が抱える大きな問題だが、だからといって報道でそれを捏造してしまえばたちまちに矮小化されてしまう。
NHKは一連の疑惑にどう対応していくのか、今後の動向を注視したい。
記事自体は、きわめてもっともげですけどね(笑)。しかし上の記事中にもあるように、女子高校生自身がかなりひどい目にあっているわけで、NHKみたいな巨大組織でもない一個人を、ねつ造までしてめちゃくちゃな非難をするって、いったいぜんたいどういうことなんですかね。あきれ返るにもほどがあります。それに片山さつきまでまた便乗しているしねえ(呆れ)。この間の参議院選挙でも、けっこう上で当選したしね。全体では5位、自民党では3位の39万票以上の票を得ています。
なお上の女子高校生の散財(?)については、上に引用した水島氏の記事とinti-solさんの記事をお読みになってください。
貧困女子高生騒動
例によって非常に参考になります。さすがinti-solさんです。
さてさて、ビジネスジャーナルの記事は論外の極致ですが、こちらについてはどうですかね。
>当社は、報道に携わる者として今回の問題を真摯に受け止め、今般、代表取締役揖斐憲の役員報酬の減額(2016年9月より3カ月間にわたり50%の減額)を含め、就業規則に基づき、編集長及び担当編集員に対し、厳正なる減給処分を実施致しました。
当然といえば当然ですが、しかしこういう当然なこととまったく無縁の新聞社がありますよねえ(笑)。そう、我らが日本に存在する産経新聞という新聞です。
上の記事で、
>NHKの報道を捏造と書きながら、実際に捏造を行っていたのはビジネスジャーナルだったという事実に「廃刊レヴェルの不祥事」「他業界なら即刻営業停止レベル」など厳しい声が相次いでいる。
特に同じメディアに関わる人間からは「『ネットメディアってこの程度なんでしょ』と思われるそうで本当に心外」「取材してないのに取材したと主張した記者って誰よ。非常に迷惑」などメディア全体の信用を貶めると非難が集まっている。
とあります。それはそうだと私は思いますが、そういうことを言い出したら、産経なんか何回廃刊になっているかわかったもんじゃないでしょう(笑)。
以前私は次のような記事を書きました。
産経新聞よりは、こちらのほうがよっぽどまともな対応だと思う
この記事で取り上げたのは、中国の南京事件の祈念館についてのデマ記事、自衛隊への東京都の複数の特別区へのデマ記事、辻元清美へのデマ記事です。この3つの記事について考えてみると、中国の記事については先方に取材した形跡が記事からは見えません。記事ではいろいろなことを書いていますが、なんら具体的な内容のない記事です。あるいは取材をしたのに記事に反映しなかったのかもです。産経は、中国側から抗議があっても、反論も謝罪・訂正もしないで逃げてしまいました。ひどいものです。自治体の記事では、記事で批判された11の特別区すべてが即刻厳重抗議、産経も即刻お詫びを入れる始末です。自治体側は、産経の取材への対応が、記事に反映されていないと抗議しています。つまりは取材はしたが、デタラメを書いたということです。辻元のデマ記事については、辻元側が
>また同社記者は辻元清美に対していっさいの事実確認をしておりません。
と主張しています。なおこのくだりは、辻元のHPからはすでに削除されています。記事中にある引用も、書名すら出してなく、引用もデタラメです。記事では、
>カメラマンの宮嶋茂樹氏の著書によると、辻元氏は平成4年にピースボートの仲間を率いてカンボジアでの自衛隊活動を視察し、復興活動でへとへとになっている自衛官にこんな言葉をぶつけたという。
「あんた!そこ(胸ポケット)にコンドーム持っているでしょう」
とありますが、実際の本では
>・・・引き続き、駐車場で、ピース・ボートのメンバーの対話集会が開かれた。なんだか、その内容はオフレコとのことで、辻元さんはピリピリしていたが、結局この時のピース・ボートの方々の質問は産経新聞が書いてしまったので、私も記念に書いておこう。
「従軍慰安婦を派遣するというウワサがあるが」
どうして私のひそかな計画が露顕してしまったのであろう。
「隊内でコンドームを配っているとか。(相手の隊員を指差して)あなたのポケットにもあるんでしょう」
いつもコンドームを持ち歩く軍隊も珍しいと思う。(以下略。「ああ、堂々の自衛隊187頁)
とあるだけです。クズにもほどのあるねつ造です。名誉棄損裁判では、1審で辻元勝訴、産経側は控訴すらせず確定しています。
でですよ、こういう言語同断なデマ記事を書いたクズ連中は、別に懲戒処分になったなんてことも伝わっていないし、また出世すらしているわけです。こんな言論治外法権、言論無法地帯があるでしょうか。それで、このような意図的なデマ記事でないものでは、産経はしっかり処分も下しているわけです。
産経も、このような件ではちゃんと記者や上層部を処分する(笑)
>産経新聞:「フィギュア盗用」で処分
毎日新聞 2015年03月17日 21時26分(最終更新 03月18日 09時28分)
産経新聞社は17日、インターネットサイト「産経ニュース」に今年1月に掲載したイタリアのフィギュアスケート選手に関する記事について、「盗用と指摘されても仕方のない不適切な引用だった」として、執筆した東京本社運動部記者を減給処分、管理、編集責任を負う小林毅執行役員東京本社編集局長ら編集局幹部3人をけん責処分とした。
問題の記事は1月27日に掲載された。同社によると、イタリアのスポーツサイトが報じたとして引用した部分が、このサイトを翻訳して個人ブログに掲載していた筆者から「翻訳を盗用された」と指摘されていた。【川口裕之】
記事の盗用とねつ造では、ねつ造のほうが悪質だと私は考えますが、産経はそうは考えていないということですね。それで、上にあげた3つのデマ記事は、正直産経のデマ記事の中では氷山の一角ですからね。学ラン事件など、その種のネタはいろいろあります。もし本当に、ビジネスジャーナルの不祥事を
>「廃刊レヴェルの不祥事」「他業界なら即刻営業停止レベル」
とするなら、産経なんか何回廃刊になっているかわかったもんじゃないでしょう。記事を書いたクズ連中はおろか、管理責任を問われる上司も、懲戒処分などされはしないわけです。産経がデマを認めていないらしい南京の記事はともかく、自治体と辻元の記事は、常識として懲戒解雇処分でしょう。それがそうならないのが産経というところです。
私の勝手な考えでは、たぶんこれは、産経がすでに商売の論理で発行しているのですらないということも大きな要因なのでしょうね。大赤字をたれながしていても、フジテレビが(背任めいた)支援をしているから、打ち出の小づちみたいなものなのでしょうね。そう考えると、フジの産経支援も非常に罪深いというものです。困ったものです。
今日の記事は、inti-solさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。