私が上海から帰国した3月21日、NHKの午後9時のニュースで、オバマ大統領のキューバ訪問についてのニュースが流れました。それに関して、男性キャスターが次のような解説をしました。たまたま録画していたので、私の責任でその解説を文字起こしします。動画をサイトで流せばいいのですが、それは著作権法違反になりますので、ご面倒ですが文字起こしにて解説をご確認ください。「えー」とか「あのー」などは省略します。
>(前略)これまでの、その、政権は、とにかく封じ込めといいうか、圧力一辺倒でキューバに対してきたわけですけど、けっきょく人権問題なんかはあまり成果がなかったということで、それよりも経済制裁を緩和して、キューバの経済が良くなればね、人権状況も改善するだろう、というのがこの考え方なわけですねえ。で実際アメリカ企業が進出をすれば、それによってアメリカの国益につながる、というもちろん計算もあるんですけどね。(後略)
ここでの解説は、オバマ政権のキューバ訪問のねらいや意図を正確に説明していると思います。それで私が思いついたことがあります。すなわち、
「これって、日本と北朝鮮の関係も同じだよなあ」
ということです。
よく反北朝鮮を訴える組織、あるいは個人が、北朝鮮へ経済制裁ほかの圧力をかけることにより(屈服させることで)、北朝鮮から譲歩を勝ち取り、拉致被害者帰国を実現したしこれからも実現することを可能とする、みたいな主張をしています。しかし私は、そのような主張を立証する第三者の発言その他を読んだり見たりした記憶がないですね。
私はいままで、拉致問題に関してさまざまな本を読みましたし、新聞、雑誌、ネットなどのさまざまな記事を読みました。また拉致について特集したテレビ番組などもたくさん見ています。それで、それらの中で、上に書いたように、圧力によって北朝鮮側の譲歩を勝ち取れたということを具体的な証拠をもって説明した記述や報道は、私は知らないですね。巣食う会や家族会、その関係者や支持者(櫻井よしことか)がそのような主張をしているのは数限りなく読んだり見たりしていますが、その主張を立証するものは知りません。もちろん私の記憶から抜け落ちているということはありえるし、知らないところにはそのようなことを書いてある本や証言している人のインタビューを収録した番組などもあるのかもですから、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメント欄などでご教示いただけませんかね。よろしくお願いします。
いずれにせよ、そのようなことを書いてある本や記事、あるいはそのような証言を取り上げた番組があったとしても、北朝鮮指導部に拉致被害者を日本に返すという決断をさせるにいたったのは、圧力よりも何らかの見返り、対価であるということは、実にたくさんの人間が語っているし、また新聞、雑誌その他でも報道されていますよね。対価と圧力のどちらが北朝鮮側を動かしたかというのは明らかでしょう。たとえば大した対価ではありませんが、次のような記事はどうでしょうか。常に北朝鮮への強硬姿勢を唱える産経新聞の記事です。
>林東源は、小泉からのメッセージも金正日に伝える。「拉致問題に進展があれば、国民を説得して関係改善を進める意思がある」との趣旨だったという。
林は「日本人拉致は『過去に過激な盲動分子がやったことだ』という程度に認め、遺憾の意を表し、早期の帰還措置を取るのがよい」という「金大中の考え」を伝えて説得したとも回顧録で主張している。
林氏なる人物は、韓国の元統一相で、金大中元大統領の側近です。記事に出てくる回顧録とは、下の本ですかね。読んでないので、確認はしていません。
この記事が強調したいことは、ほれみろ、金大中なんて金正日と癒着しているとんでもないやつだ、みたいなものなのでしょうが、いずれにせよつまりはそのように北朝鮮側へ配慮することが拉致被害者帰国につながる一助になったということです。産経新聞の報道も、このようにとらえるとなかなか役に立ちます(笑)。
で、産経新聞の考えはまた違うのでしょうが、このような記事を読めば読むほど、強硬策じゃぜんぜんダメじゃんという結論に立たざるをえないと思いますけどね。外務省とか自民党とかの本音はまた違うかもですが、こういった明々白々な現実を完全なまでに無視する巣食う会とか家族会ってなんなんですかね(呆れ)。現実問題として、強硬策は全然うまくいってないじゃないですか。それで、朝鮮総連を総連会館から追い出すとか、そんなどうでもいい話に目の色を変えているんだから、こいつらの馬鹿さぶりとクズぶりというのもすさまじいものがあります。
いや、巣食う会の連中らは、拉致被害者(家族)たちを自分たちの政治運動の道具として利用する以外のことは考えていないので、そのような非常識かつ馬鹿きわまりない態度を取るわけですが、拉致被害者家族たちは何を考えているんですかね。この人たちが拉致被害者のことをまじめに考えているとは、私には全く思えませんね。いままでこの人たちのことを私はくりかえし批判していますが、私が批判してきた程度のことをこの人たちが理解できないほど頭が悪いなんてこともないでしょう。少なくとも全員が全員理解できないなんてことはない。
けっきょくこの人たちは、inti-solさんが私へのコメント返しでご指摘になったように、北朝鮮の現政権を武力で撃滅したいとしか考えていないんでしょうね。そういう考えこそが、現実性がないというものだと私は思いますが、この人たちは死ぬまでそのような非現実的なことをほざき続けるのでしょう。まったくもってどうしようもありません。
それにしても、NHKも、上のように米国とキューバについては正鵠を得た解説をするのに、日本の対北朝鮮対応については、そんな解説絶対(笑)しませんよね。それもどうかです。あ、これはもちろんNHKだけの話じゃありませんよ。他の放送局も、絶対そんな解説をしはしません。
余談ではありますが、上の金大中氏のアドバイスや具体的に動いてくれた林東源氏については、私は拉致被害者(家族)の直接の関係者ではもちろんありませんが、本当に感謝したいですね。彼らの助言や行動が、日本人拉致被害者の帰国に何らかの形で寄与したのですから、拉致被害者の日本帰国を「よかった」と思うのであれば、金大中氏のほかの政治姿勢に批判的であるとしても、少なくともこの件では、金大中氏らに感謝をすべきだと思います。ところが荒木和博などは
>「金大中事件のときに殺しておけばよかったんだ」
数年前、私がお世話になった韓国のある大学教授のこの言葉を聞いたときはさすがにどきりとしました。
とまで書く始末。さすがに他人が語ったという形式にしていますが、荒木本人がそう考えているということでしょう。でなければこんな記事書くわけがない。こういうことを書く人間を、私は「人間のクズ」と評してなんら躊躇しませんね。世の中広いとはいえ、ここまで世話になった人にここまでの暴言で報いるクズがいる界隈は、そうはないでしょう。それでこのようなクズに拉致被害者家族は依存しているのだから、その馬鹿でどうしようもなさというのはひどいにもほどがあるというものです。
まったく拉致界隈というのは、この種の木が沈み石が浮くようなお粗末な光景に事欠きませんね。安倍晋三とか荒木や西岡力その他のような役にも立たんクズ連中がでかい顔をして(内輪の話ですが、荒木あたりは、明らかに安倍には愛想が尽きているでしょうが)、本当に動いてくれた小泉純一郎氏や田中均氏や金大中氏その他が罵倒される。なんとも無様で無残な光景です。
なおこの記事は、bogus-simotukareさんの記事と私へのコメント返し、inti-solさんの私へのコメント返しを参考にしました。感謝を申し上げます。