過日、下のような記事を書きました。
篠田正浩監督「沈黙 SILENCE」を観ようそれで記事にも書きましたように、早稲田松竹で映画を観ることができました。映画の感想もいろいろ書きたいところがありますが、これはこの記事では書かないことにします。それで上の記事で私が力点を置いたのが、主演のデヴィッド・ランプソン(David Lampson)という俳優についてでした。彼についてはIMDbの情報くらいしかないのですが、彼についてさらに調べていて「おや」と思うところがありました。
つまり彼の名前で検索していると、アイリーン・ブレナン(Eileen Brennan)の元夫として、
>David John Lampson (1968–1974; divorced; 2 sons)
とあるわけです(英語版Wikipediaの表記)。で、最初は私は、これは同名異人だと思っていました。ランプソンについて調べていて、彼がアイリーン・ブレナンと結婚していたなんて情報は読んでいなかったので。
日本では彼女は、たぶん「スティング」でのポール・ニューマンの情婦役が知られていると思いますが、「プライベート・ベンジャミン」ではアカデミー助演女優賞にノミネートされています。ほかにも知名度の高い映画に出演しています。
それで私が「おや?」と思ったのが、こちらの記事のこの記述です。
Actress Eileen Brennan Dies at 80
>Brennan was married to British-born poet-photographer David Lampson from 1968 until their divorce in 1975.
poet? 前の記事でも書いたけど、ランプソンも確か「詩人・作詞家」ってあったから、詩人ではあるよな。おまけに英国出身というのも共通している。さらに、68年から75年の結婚生活というのも、ちょうど「沈黙」の制作時と一致します。それでその時ランプソンは既婚者でした。またロサンゼルスというのも、2人の活動拠点が共通します。
さらに2人には男の子2人の子どもがいるとのことですが、映画の撮影のあった71年に夫人が子どもを産んでいるというのです。これもつじつまが合います。兄がパトリック、弟がサムという名前です。またニューヨーク・タイムズでの彼女の死亡記事には、
>Ms. Brennan was married from 1968 to 1974 to David John Lampson, an aspiring actor.
とあります。「aspiring」とは、辞書によると
>高い目標を目ざしている、野心のある
ということですから、まさに前衛演劇をしていたという彼にはぴったりの表現です。
このあたりから、もしかしたらそうなのかもという気がしてきました。それで、彼女の子どもの顔を探しました。
兄のパトリックの写真です。
これも同じくパトリックとの写真ですかね。個人的な意見を言うと、彼はかなりデヴィッド・ランプソンに顔が似ている気がします。弟の最近の顔は見つけていませんが、小さい頃の写真はやはりランプソン似だと思います。ただ私が引っ掛かるのが、兄のパトリックの生年月日が1972年12月25日だと発表されているということです。パンフレットの記述が正しければ、パトリックであろう子どもは71年生まれのはずだし、誕生日も変です。これは何らかの食い違いがあるので、どういうことかなと思います。
それでこれはどうしたものかと考えて、あらためて71年の映画公開時のパンフレットの画像を確認してみました。そうしたら思わず苦笑してしまいました。
>男児を出産したばかりだというアイリーン夫人の待つアメリカに帰っていった。
・・・(笑)。なんだ、もっと早くこのパンフレット画像を確認しておけば、こんなに悩まなくて済んだのに(苦笑)。でもおかげで、いろいろな派生的な情報も知ることができたので、これはこれで悪いことでもありません。もちろん上の「アイリーン」という人がアイリーン・ブレナンと同一人物ではないという可能性もあります。
いまだ私は、デヴィッド・ランプソン氏(私が確認したい人かどうかはともかく)とアイリーン・ブレナンのツーショット写真なるものを発見できていないし、長男の生まれた日に不審な点があるのは否めないので、100%間違いなく「沈黙 SILENCE」に主演した英国人俳優とアイリーン・ブレナンが夫婦だったと断言はできませんが、でもこの2人が夫婦であった可能性は90%以上は間違いないと考えています。いずれにせよ、詩人については確認できませんが、70年代に活動した俳優で「David Lampson」という人は、この「沈黙」に起用された人以外私は現段階見つけていません。
それにしても、現段階IMDbにすら、この件はリンクされていないので、私の調査が間違っているかIMDbも把握していないかのどちらかですが、どっちなんですかね。たぶんですが、こんなことを調べ上げた人間は、私以外にあまりいないでしょうから、もしかしたらこのブログの読者の皆さまは、わりと貴重な情報を目にしているのかもです。
まだスコセッシ版と原作は未鑑賞です。どちらも大変楽しみです。読者の皆さまもぜひご鑑賞ください。篠田版も、日本映画専門チャンネルでまだ放送があります。