過日厚生労働省から、2016年の人口動態統計(人口動態統計月報年計(概数)の概況)が公表されました。私が注目したいのが、死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別です。その中で、死因簡単分類別の「他殺」の死者の数字は、289人でした。一昨年(2015年)より25人も減っています。
実は私は、昨年は一昨年より他殺者数は増えているかもと考えていました。というのは、こちらの記事でも指摘しましたように、昨年19人もの人が犠牲になった殺人事件があったからです。この事件の死者数が、昨年の他殺者数の約6.6%弱を占めているのですから、どれだけすさまじい事件であったかが分かるというものですが、ともかくそれだけの事件が起きてもなおかつ前年より他殺者数は25人もの減少になったのですから、日本の殺人の被害者数の減少トレンドはかなり強いと考えられます。
もちろんこれは、来年以降どうなるかは予断を許しませんし、今後の推移を私も見守りたいのですが、いずれにせよ現状日本における殺人事件等による他殺の犠牲者は大変少ないと考えられます。日本の治安の悪化という言説を唱える人間は、このようなことをどれくらい認識しているか疑わしいし、またわかった上でその旨主張するというのなら、ではそれについてどのような考えでその旨を主張するのかの説明を必要とするでしょう。