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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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おそらく国に所有権移転→取り壊し、というスキームがかなり以前の段階からできていたのだろう(淡路の大観音像の解体)

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こんな記事が報道されました。

>兵庫・淡路の「世界平和大観音像」解体へ 所有者死亡、劣化著しく 住民「ほっとしている」
毎日新聞2020年4月1日 20時00分(最終更新 4月1日 21時14分)

 兵庫県淡路市の巨大観音像(高さ約100メートル)について、財務省近畿財務局は1日、周辺施設と共に解体撤去すると発表した。像は所有者が死亡した2006年以降は閉鎖・放置され、一部がはがれるなど劣化が著しく、地域住民から不安視されていた。22年度中に解体撤去する計画で、費用などは未定。

 同局によると、解体撤去するのは通称「世界平和大観音像」▽十重の塔(高さ約32メートル)▽山門。相続人がいないことから、民法の規定で、3月30日付で土地(広さ約1万9000平方メートル)を含めて国の所有物となった。

 現地はフェンスなどで閉鎖されているが、同局審理課は「不法侵入の恐れもある。落下物があると非常に危険で、撤去手続きを早急に進めたい」としている。入札をへて、20年度中に塔と山門、21年度から2カ年で観音像をそれぞれ撤去する予定。

 観音像はコンクリート製で、淡路島北東岸の国道沿いにある。地元出身の実業家男性が1982年、「日本最大の仏像」との触れ込みで建立。首付近に展望台があり、5階建ての台座ビルは展示施設だった。

 近くの60代男性は解体方針について「危険がなくなるので、ほっとしている。長いトンネルを抜けたような気持ちだ。(跡地には)住民たちが安心できるような施設などが建ったらいいと思う」と胸をなで下ろしていた。【高橋昌紀、目野創】

私は、淡路島は深夜に高速バスで通ったことしかないので、この像を地表から眺めたことはありませんが、関西国際空港に飛行機が着陸する際、淡路島とおぼしき陸地にこの白い巨大な像を見たことはあります。その時は、「お、あれが悪名高い観音像か」と思った記憶があります。

Wikipediaにも「平和観音寺」として紹介されているこの像は、その施設全体の処分がどうにもならない状態であって、行政、地元の人、あるいはこの像を建てた人物の遺族も、産経新聞の2014年の記事によれば

>観音像を建てた男性の遺族は「道義的な責任がある」として、同市に「相当な額」のふるさと納税をしており、その「浄財」が観音像関連の経費に活用されている。

とのことで、それが事実であればいい迷惑です。

さてさて、2019年11月にも毎日新聞は、

淡路島100メートル観音が放置13年 廃虚化し台風で外壁損壊 住民不安募る

という記事を発表し、そこでは

>兵庫県・淡路島で、1980年代初めに建設された高さ約100メートルの巨大観音像が所有者不在のまま放置されている。老朽化で外壁は崩れ、敷地も荒れ放題で廃虚化。現在は弁護士が管理しているが、高額な解体費用や税金がネックとなり、買い手が付かない状況だ。住民は台風などによる倒壊、不審者の侵入などに不安を募らせる。【目野創】

(後略。有料記事にて途中で途切れ)

と書かれています。つまりは、定期的にいろんな新聞社やテレビ局他が記事にしたりニュース報道をしている一種の定番ネタだったといえそうです。

ところがこの記事が発表されてから5か月弱で、

>財務省近畿財務局は1日、周辺施設と共に解体撤去すると発表した。

ということが発表されたわけです。しかも国がこの土地をふくめた物件を保有したのが、3月30日ですから、その2日後にこの決定です。ずいぶん早い決定です。

となると、どうもこれ、かなり前の段階で、任意売却がされればそれでいいとして、それが不調でだめなら、国に所有権が移転した時点で早急に撤去に動くという計画があり、まさに国も自治体も関係者も、所有権が移るのを心待ちにしていたっていうところじゃないですかね。もちろん民間の購入があって、その責任で解体が行われればそれに越したことはありませんが、どうもそれは難しそうだし。まあこれは、公金の支出も仕方ないんじゃないんですかね。自治体では金額面やしがらみ、行政代執行の困難さなどの難点がありますが、国が所有者で金主なら、そういった問題点も相当に軽減されるあるいは克服されるわけです。

もちろんこういう手もいつも使えるわけでもありませんが、しかしこのようなある種バベルの塔のような代物に対応するのには、地方政府(自治体)では金がかかりすぎる側面は否定できないわけで、ここは中央政府の出番かなと思います。そう考えるとこの件は、財務省近畿財務局もGJというべきでしょう。

それでこの記事を書いていて知ったのですが、今年の2月には、ずいぶん物騒な事件も起きています。

>2020/2/3 11:30
高さ100m、放置状態の巨大観音像から男性飛び降り自殺か 兵庫・淡路島

 2日午後4時50分ごろ、兵庫県淡路市釜口の世界平和大観音像の展望台から男性が飛び降りるのを、近くにいた男性らが目撃し119番通報した。救急隊員が駆け付けたが、男性は既に死亡していた。

 観音像は5階建ての台座を含む高さ約100メートルで、展望台は首の部分にある。現在は所有者がなく放置状態で、大阪市の弁護士が相続財産管理人となっている。

 県警淡路署によると、男性は20~30歳くらい。観音像は中に入ることが可能で、展望台へは階段で上ることができたという。展望台に靴などが残されていたといい、同署は男性が自殺を図ったとみて、侵入経路や身元などを調べている。

事情は定かでありませんが、この男性も何らかの理由でこの観音像をピンポイントで自殺する場所に選んだんですかね。そのあたりの真相はともかく、ご冥福をお祈りいたします。

上でも書いたように、この観音像に私はまだ行ったことがありませんが、バイクをレンタルして淡路島をまわってみたいという願望はあるので、解体される前に中に潜入するつもりはありませんが、外観だけでも見物してみたいですね。したら(当然)記事にします。下に、この観音像について書かれた記事をいくつかご紹介。

閉鎖)かつての珍スポットは、今や困った物件に「世界平和大観音像」【兵庫】 (2018年執筆の記事)

【兵庫県淡路島】B級スポット!廃墟と化した巨大な仏像「世界平和大観音像」には隠された歴史があった。海を一点に眺める仏像が不気味です。 (2018年執筆の記事)

TOWER FANTASIA(世界平和大観音) (こちらはマジですごいです。2004年9月末時点すなわち閉館1年半弱前の時点での、観音の中の写真が多数収録されています。これは貴重な歴史の証言です。きわめて閑散としており、これらの写真が撮られた2004年9月26日は日曜日であり、それでこれでは、この時点ではほとんど客などいなかったのであろうと推察されます)

なお観音像の写真は、上で引用した2019年の毎日新聞の記事よりいただきました。


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