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その日が遠くないとは思っていたが、ついに来てしまった(ジャン=ポール・ベルモンドの死)

もういつ亡くなってもおかしくないとは思っていましたが、ついにその日が来てしまいましたね。記事を。

>映画「勝ってにしやがれ」仏俳優ジャンポール・ベルモンドさん死去 88歳
[2021年9月7日0時11分]

ジャンポール・ベルモンドさん(ロイター)
映画「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」などで知られるフランスを代表するスター俳優ジャンポール・ベルモンドさんが6日、パリの自宅で死去した。88歳。フランスのメディアが伝えた。死因は不明。

1933年、パリ近郊ヌイイシュルセーヌで彫刻家の息子として生まれた。パリの国立高等演劇学校で学び、50年代から舞台や映画に出演。60年公開のジャンリュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」で主人公のチンピラを鮮烈に演じ、国際的スターとなった。 日本での初舞台は92年の「シラノ・ド・ベルジュラック」。フランスのトップスターを一目見ようと、多くのファンが会場に駆けつけた。

99年には公演中に心臓発作で倒れて救急搬送され、01年には脳血管障がいの発作を起こしたが、その後に復帰した。70歳で子供をもうけたことも話題になった。(共同)

>勝ってにしやがれ

はねえだろと思いますが、マスコミの報道をみると、「ジャンポール」という表記が多いですね。が、ここはWikipediaの表記にのっとって、ジャン=ポール・ベルモンド(Jean-Paul Belmondo)と表記します。そうしないと気分が出ない。ヴィヴィアン・リーとかヴェルレーヌとかと同じ。ビビアン・リーやベルレーヌでは、気分が出ない。

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ベルモンドは、アクションスターでもあったし、また1958年にはジャン=リュック・ゴダール監督の短篇映画『シャルロットと彼女のジュール』に出演してから、ヌーヴェルヴァーグを代表する俳優ともなります。ゴダールの映画には、『勝手にしやがれ』、『女は女である』そして66年に『気狂いピエロ』に主演します。が、Wikipediaから引用すれば、

>しかし、ベルモンドはシナリオを使わないゴダールのやり方を批判し「二度とゴダールとは仕事をしない」と宣言した。一方のゴダールも、1970年に商業主義の映画を嫌うと宣言し、もっとも使いたくない俳優の筆頭にベルモンドを挙げている。

ということになってしまったわけです。事実ついにその後ゴダールの映画にベルモンドが出演することはありませんでした。

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またベルモンドは、上にも書いたようにアクションスターとしてもすぐれた才能がありました。たまたま先日亡くなった方のご登場になりますが、これもWikipediaから引用すれば(注釈の番号は削除)

>1963年、ジャンヌ・モローと共演した『バナナの皮』あたりから、出演作品の傾向が変わってくる。これはいかさま師と別れた女房がくり広げるドタバタ喜劇だったが、こうした娯楽色の強い映画への出演が増えてきた。これを決定づけたのが、同年の『リオの男』だろう。財宝のありかを示す像をめぐる冒険物語で危険なアクションシーンも多いが、スポーツマンのベルモンドはスタントを自ら演じた。このスタントマンに任せず自ら演じる姿勢を、日本の俳優・千葉真一が尊敬していると語っている。この映画は大ヒットし、ベルモンドも新しくアクション俳優というイメージを持たれるようになる。

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というわけです。『リオの男』には、私が大好きなフランソワーズ・ドルレアックも出演していますね。そして彼は、妹のカトリーヌ・ドヌーヴとも『暗くなるまでこの恋を』で共演しています。これは、フランソワ・トリュフォーが監督をしていて、あるいはベルモンド自身多少なりともゴダールへの当てつけという意味合いもあったのかな? 当時、すでにゴダールとトリュフォーは不仲でしたから。

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それで、不慮の事故で早逝したフランソワーズ・ドルレアックや40過ぎで残念な死を遂げた『勝手にしやがれ』のジーン・セバーグは仕方ないとしても、ゴダール映画で共演したアンナ・カリーナも亡くなっていますしね(1940年生まれで2019年に79歳で死去)。御大ののゴダールは1930年生まれで、この記事執筆時点で90歳でいまだお元気ですが、ゴダールばかりでなくトリュフォーの映画にも参加(ついでに大島渚監督の『マックス、モン・アムール 』も担当)した撮影監督のラウール・クタールも、2016年に92歳でお亡くなりになっていますしね。ヌーヴェルヴァーグの顔とでもいう人たちもまさにお亡くなりになっても仕方ない年齢で亡くなっているわけです。トリュフォーは1984年に52歳で亡くなりましたが、もし御存命なら今年89歳(1932年生まれ)です。彼は、ベルモンドの1歳年上です。

さてさて、以前こんな記事を書きました。

著作権がからむ、ちょっと興味深い記事をご紹介(『カリオストロの城』が、公開40年を経てフランスで正式に公開される)

ルパン三世」が、モーリス・ルブランの著作権の関係で、フランスでは変名でソフト化されていた(しかし2012年をもって死後70年経過し、ルブランの著作権が消滅したので、正式な映画公開が実現した)。という記事を紹介したものですが、「ルパン三世」は、設定では、アルセーヌの孫です(だから、本来なら「アルセーヌ三世」でなければいけません。エマニエル夫人とか、サー・マッカートニーというような言い方が誤用であるのと同じ)。

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それで、ルパン三世のモデルは、ベルモンドとされます。これは公然の秘密というものでしょうが、作者が公式に認めたことはないのかな? 前何かの文章で、ベルモンドがもっと若かったら(たしか八〇年代に書かれたものだったと思う)ルパン三世をやらせたかったと書いていた人がいましたが、彼をモデルにしてルパン三世ができたのだから、イメージに合うのはある意味当然の話。山田康雄は、ベルモンドの声も担当していました。ちなみに山田氏は、ベルモンドより1歳年上の1932年生まれで、トリュフォーと同い年ですね。

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ラストは、『ボルサリーノ』など(無名時代にも共演した作品はあります)で共演もした同世代(1935年生まれ)のライバルであるアラン・ドロンとの写真です。2017年11月17日に撮影されました。出典は、こちらから。

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余談ですが、『ボルサリーノ』は、日本語吹き替えが3バージョンあるそうで、うち2つを、ベルモンドを前出の山田氏、ドロンを野沢那智がつとめています。まさに吹替黄金時代です。なお野沢氏は、『ルパン三世 パイロットフィルム』で、ルパンの声をあてています。

ジャン=ポール・ベルモンドさんのご冥福を祈って、この記事を終えます。なお2017年のアラン・ドロンとの写真以外は、すべて記事で触れた映画のDVDやBDのジャケット写真と使いましたが、写真の大きさについては特に他意がないことを付記します。


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