過日報道されたこの件も、なかなかひどいものがありますね。
>JRの手違いから事件発覚…新幹線グリーン券を詐取か 逮捕された元国会議員の“杜撰な手口と呆れた動機”
5/9(月) 17:14配信
東海テレビ
新幹線に無料で乗れる国会議員の“特権”を悪用し、岐阜県の元参院議員の男が現職の国会議員になりすまして、新幹線のグリーン券をだまし取ったとして逮捕されました。その杜撰な手口と呆れた動機とは…。
(リポート)
「元国会議員の男が任意同行を求められたのは、名古屋駅の新幹線のホーム上でした」
8日、愛知県警に逮捕された元参院議員の山下八洲夫容疑者(79)。東海道新幹線のグリーン席のチケット2枚をだまし取ったなどの疑いが持たれていますが、その手口はあまりに杜撰なものでした。
警察によりますと、事件があったのは4月27日。JR東京駅の窓口を訪れた山下容疑者は、申込書とともに通称「JR無料パス」といわれる国会議員の鉄道乗車証を提示。
しかし鉄道乗車証は、自分が国会議員時代に与えられた、とっくに有効期限が切れたもの。さらに申込書には、自民党の現職国会議員の名前を勝手に記入していたといいます。
捜査関係者によりますと、この時“国会議員バッジ”のようなものも身に着けていたという山下容疑者。なぜ犯行が発覚したのでしょうか。
山下容疑者は、東京=名古屋間の往復切符を申請したものの、実際に手渡されたのは2枚とも名古屋行きのチケット。
誤りに気づいたJR東海が、申込書に書かれた現職の国会議員側に謝罪の連絡をしたことで、事件が発覚しました。
2010年までに衆院議員を4期、参院議員を2期務め、現在は立憲民主党岐阜県連の常任顧問を務めていた山下容疑者。調べに対して容疑を認めた上で、その動機についてこう供述しています。
<山下容疑者>
「議員時代のことが忘れられなかった」
長年国会議員を務め、地元でも影響力があったという山下容疑者の逮捕。
立憲民主党岐阜県連は急きょ会見を開きました。
立憲民主党・岐阜県連の渡辺嘉山代表:
「どんな経緯であれ、とても許すことができない不正なこと。心から皆さんにお詫びを申し上げたいと存じます。それ以上に、悔しくて悔しくてたまらない」
岐阜県連は、山下容疑者を常任顧問から解任するとともに、立憲民主党を除籍とする処分を決めました。
捜査関係者によりますと、調べに対し「今回が初めてではない」と供述している山下容疑者。
警察は、以前から犯行を繰り返していたとみて余罪を調べています。
内容自体は論外にもほどがあるというものですが、ただこれ
>今回が初めてではない
>以前から犯行を繰り返していたとみて余罪を調べています
というのは、「やっぱり」「そうだろうな」というものではありますが、「どうもなあ」でもありますね。
万引きや痴漢などと同様、こういう事件で、最初にやった行為で摘発されるというのは、よほどご当人が間抜けなのか、そうでもなければよっぽど運が悪い(いい)ということでしょう。で、記事では
>杜撰な手口
とありますが、ことによったら落選後10年くらいこれをやっていた可能性があるので、別にずさんな手口でもないように思いますね。つまりは、見つからなかったのだから。今回見つかったのだって、
>山下容疑者は、東京=名古屋間の往復切符を申請したものの、実際に手渡されたのは2枚とも名古屋行きのチケット。
誤りに気づいたJR東海が、申込書に書かれた現職の国会議員側に謝罪の連絡をしたことで、事件が発覚しました。
であり、JR東海がミスをしなければ、今回も見過ごされていた可能性が高い。まずまちがいなくそうでしょう。つまりは今回の判明は、「けがの功名」(?)ということかもですが、これは、つまりはそれを照会するシステムがなかったのかどうかわかりませんが、不十分だったということなのでしょうね。
クレジットカードの使用実績は、以前は紙での通知、昨今はウェブ上での確認ができますが、新幹線ほかの鉄道乗車証の利用実績というのは、各議員事務所等にどのような形でフィードバックしているのか。していないということはないのかもですが、名前をかたられた議員(野党系の元議員だったせいか、自民党議員の名前をかたっていたというのもなんとも)はそれを不十分な形でしかチェックしていなかったということなのですかね。
また切符の購入時も、鉄道乗車証のチェックとかはおろそかだったのではないか。中身の確認とかはしていなかったんですかね? いや、その鉄道乗車証の詳細は知らないのでよくわかりませんが。またそれは、議員を退いた際に本来返納する性質のものでしょうが、そのあたりはどうなのか。紛失したとかで不問になったのか、返納しなくてもいいのか。
さすがに今後は、それ相応にある程度厳格な運用になるのかもですが、ただこういうのって、「そういうことはしない」ってのが最低レベルのルールですからねえ(苦笑)。さすがにまともな人間なら、仮に
>議員時代のことが忘れられなかった
と思ったとしたって、実行まではしないでしょうが、してそれが成功しちゃうと味をしめちゃうってことになりかねません。
ここでの山下容疑者(元議員)のやっていることを「依存」といっていいのかはともかく、愚にもつかん窃盗や万引きや痴漢あるいはそれより重大な性犯罪などと同様、ばれなければやっちゃえということになると、最低レベルのルールを守れない、モラルを逸しているとかいうことになり、これまたひどいものです。だいたいこの人は、
>立憲民主党岐阜県連の常任顧問
>長年国会議員を務め、地元でも影響力があった
という人であり、私はそもそも個々の政治家について詳しい人間ではないし、自分の選挙区から遠く離れたところの人で、しかも10年前に国会議員(参議院議員)でなくなった人物についてなど知るわけもありませんが、おそらくこの人は地元でもそんなに評判が悪くはないはずで、そういう人がこういう最低のモラルを逸した行動をすると、まさにどうしようもありません。それで前にこんな記事を書きました。
社会常識、道理、正論、合理的解釈、法令順守、他人に迷惑をかけない、こういったことが通用しないと本当に迷惑だしどうしようもない(2)この記事で扱った事件は、JAに勤めていた女性が、JAの金を1億円着服して、それを息子にすべて渡して、息子はそれを遊興費で使い切り、逮捕、実刑になった(と思われます。1審実刑で、控訴したという情報は見当たらないので)というものですが、これも、この母親もこの息子も、さすがにここまでひどいことをする人間ではそれ以前はなかったのでしょうが、何らかの理由で母親はおそらく息子に何らかの負い目が生じ、息子も「自分にはそれくらいのことをしれもらう権利がある」という心理状態になったのかと思います。そんな馬鹿な話があるわけありませんが、記事の題名にもしたように、社会常識、道理、正論、合理的解釈、法令順守、他人に迷惑をかけないといったことを無視するから、このような事態になるのです。上の記事で取り上げた親子は、どちらもすでに出所しているかと思いますが、ご当人の不徳のいたすところだから仕方ありませんが、今後の人生大変でしょう。
もちろんこの新幹線の不正事件は、上の1億円の着服などよりは悪質ではありませんが、それにしたって法律上の制裁より人間関係とか周囲の評価、過去の業績などが片端から失墜したわけで、この人に奥さんや子どもがいるかは知りませんが、たぶん何らかの家族はいるでしょうから、そういった人たちも大迷惑です。おそらくこんなことは何も知らなかったはずで(さすがに知っていておこぼれにあずかっていたなんてことはないでしょう)、絶句するにもほどがあるのではないか。なんともはやです。