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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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意外な感があるが、今シーズンはわりと羽生善治が調子がいい(藤井聡太とのタイトル戦も実現)

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たまに発表する将棋の記事を。先日私には「おお!」ということがありました。記事を。

>全盛期を思わせる終盤力」 王将挑戦の羽生善治九段、復活の理由

 藤井聡太王将(20)への挑戦権を争う第72期ALSOK杯王将戦リーグ(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催、ALSOK特別協賛)の最終局が22日、東京・将棋会館で指され、羽生善治九段(52)が豊島将之九段(32)を破り、6戦全勝で王将挑戦権を獲得した。

 7年ぶりの王将挑戦を決めた羽生九段。その強さは、序盤戦術の研究の広さや深さ、常識にとらわれない大胆な手で形勢をひっくり返す終盤力にある。今期の王将戦リーグでは、若手棋士に負けない序盤研究と、“羽生マジック”復活を思わせる終盤力で白星を積み重ねた。

 伸び盛りの若手、近藤誠也七段(26)戦では、通常は中央に進出させる銀を、あえて端に繰り出して活躍させる大胆な構想を見せ、研究の深さを見せた。渡辺明名人(38)戦では、追い詰められかけた飛車を巧みに逃がし、「飛車を逃げられるようでは何をしているのか分からない」と渡辺名人を嘆息させた。

 七番勝負で挑む藤井王将の師匠・杉本昌隆八段の兄弟子でもある石田和雄九段は「最近の羽生九段は全盛期を思わせる終盤力がある」と語る。特に注目したのは、永瀬拓矢王座(30)戦の終盤で、歩2枚を連打して攻めを受け止めた華麗な守り。永瀬王座が「指されて初めて気付いた」という手順に早々に気づき「読み」で上回った。

 石田九段はさらに、王将戦リーグのような「持ち時間4時間」の対局との相性の良さも指摘する。同じ持ち時間の棋王戦でも決勝に進んで挑戦権まであと一歩に迫るなど、今年度は持ち時間4時間の棋戦で13戦してなんと無敗だ。「50代になると順位戦(持ち時間6時間)のように長い持ち時間だと心身ともに疲れるし、逆に短いと読みに瞬発力のある若手が有利。元々得意にしていた持ち時間ではあるが、より強さを増している。タイトル通算100期への執念もうかがえる」と羽生九段の復活をたたえた。【丸山進】

というわけで、来年1月に行われる王将戦は、ついに藤井聡太羽生善治の、新旧頂上対決のタイトル戦が実現したわけです。

本来なら、羽生に藤井が挑戦するという構図の方が面白いのですが、これは仕方ない。正直「藤井と羽生のタイトル戦は難しいだろうな」と思っていましたので、私としてはうれしい誤算です。

羽生と中原誠とのタイトル戦は、実現しませんでした。中原のWikipediaから引用すれば、

>1993年、第51期名人戦(中原0-米長4)は、米長邦雄と6度目の名人戦となったが、ストレート負けで初めて米長に名人位を明け渡し、史上最年長名人の記録達成を許すとともに、虎の子の一冠であった名人位を失う。同年度の王将戦では挑戦者となるが、谷川の前に敗れる(中原2-谷川4)。これが、中原にとって最後のタイトル戦登場となった。

というわけです。翌94年の名人戦で、これも米長のWikipediaから引用すれば、

>翌年の第52期名人戦は、A級1年目にして名人挑戦を果たした羽生に2勝4敗で破れ、防衛に失敗する。以降は各棋戦の本戦に顔を見せることはあっても、タイトルを獲得することはなく、挑戦者になることもなかった。

となりました。つまり中原と米長両名とも、名人位が最後のタイトルであり、その後中原は1回のみタイトル挑戦がかないましたが、羽生とのタイトル戦は実現しませんでした。

米長は1943年生まれ、中原は1947年生まれ、羽生が70年、藤井が2002年の生まれです。つまり羽生は米長と27歳違い、中原とは23歳違い、藤井とは32歳の年齢差です。

それで、昨年羽生善治は非常に調子が悪く、ついに名人位9期をふくむA級29期在籍を、B1級降級で明け渡してしまいました。勝敗も、14勝24敗で、プロ初の年度負け越しです。藤井以外の若手もだいぶ育っていることだし、これは羽生はタイトル挑戦も今後難しいかなと私は思いました。

が、今シーズンは、なぜかと言ったらよくないかもですが、羽生はわりと好調です。この記事を書いている12月3日現在で、21勝11敗で、勝率65.2%です。ただし順位戦は調子が悪い。12月1日に近藤誠也7段に敗れて、3勝5敗です。順位が1番上ですからその点有利ですが、3人降級ですので最悪降級ということもないではない。上の引用記事で、石田和雄九段が

>王将戦リーグのような「持ち時間4時間」の対局との相性の良さも指摘する。同じ持ち時間の棋王戦でも決勝に進んで挑戦権まであと一歩に迫るなど、今年度は持ち時間4時間の棋戦で13戦してなんと無敗だ。「50代になると順位戦(持ち時間6時間)のように長い持ち時間だと心身ともに疲れるし、逆に短いと読みに瞬発力のある若手が有利。元々得意にしていた持ち時間ではあるが、より強さを増している。タイトル通算100期への執念もうかがえる」と羽生九段の復活をたたえた。

と述べているように、現在の羽生は、順位戦は厳しいところもあるのかもしれませんね。よくわかりませんが。

さて、上にも書きましたように、この記事は12月3日土曜日に書いていますが、その3日、件の藤井聡太が、竜王位を防衛しましたね。記事を。

>将棋「竜王戦」藤井聡太五冠が制す 今年度4つ目のタイトル防衛
2022年12月3日 19時05分 

将棋の八大タイトルの最高峰、「竜王戦」の第6局が鹿児島県で行われ藤井聡太五冠(20)が勝って「竜王戦」を制し、今年度4つ目のタイトル防衛を果たしました。

「竜王戦」七番勝負は、タイトルを持つ藤井五冠が挑戦者の広瀬章人八段(35)を相手に3勝2敗として防衛まであと1勝に迫っていました。

第6局は2日、鹿児島県指宿市で始まり、2日目の3日は、後手の広瀬八段が2日の対局終了時に次の1手を書いた「封じ手」から再開しました。

藤井五冠は、初日に攻撃を仕掛けて以降も持ち駒を繰り出しながら攻め続け広瀬八段も長考を挟みながら必死の抵抗を見せます。

それでも藤井五冠は終始一貫して攻め手を緩めず、午後5時17分、広瀬八段が113手までで投了。

藤井五冠が勝って4勝2敗とし、「竜王戦」2連覇を果たすとともに、「叡王戦」「棋聖戦」「王位戦」に続く今年度4つ目のタイトル防衛で「五冠」を維持しました。
対局後、藤井五冠は「苦しいシリーズだったが結果を出せてほっとしている。今回の竜王戦は、内容的に押されていた将棋が多く、広瀬八段の序盤からの工夫にうまく返せず、改めて自分の課題を感じた」と振り返りました。

一方、4年ぶりの「竜王」獲得がならなかった広瀬八段は「中盤から終盤のあたりで相手の実力を感じることも多く完敗だった。第3局の敗戦が悔やまれるがそれも含めて実力であり、今の自分の持てる力は出せたと思う」と話していました。

藤井五冠の次のタイトル戦は来年1月から始まる「王将戦」でタイトル戦としては「初顔合わせ」となる羽生善治九段(52)の挑戦を受けます。

この記事でも羽生との王将戦の話が書かれており、世間の将棋ファンの関心がうかがえますが、それはともかく。記事中広瀬八段は、

>中盤から終盤のあたりで相手の実力を感じることも多く完敗だった。第3局の敗戦が悔やまれるがそれも含めて実力であり、今の自分の持てる力は出せたと思う

と語っていますが、実は、対藤井の七番勝負(最初に4勝したほうが勝ち)で、2勝した棋士ですら初めてなわけです。サンケイスポーツの記事

>シリーズは広瀬八段の挑戦を初めて受け、タイトル戦七番勝負で自身初の2敗目を喫して第6局へ。

とあるというわけです。そう考えると藤井は相対的には苦戦したということになり、藤井の語る

>苦しいシリーズだったが結果を出せてほっとしている。今回の竜王戦は、内容的に押されていた将棋が多く、広瀬八段の序盤からの工夫にうまく返せず、改めて自分の課題を感じた

というのも、あながち謙譲ばかりでもないということになります。少なくとも彼としては、2敗したのは不本意だったはず。

そうなると、やはり王将戦でも、当然羽生の苦戦は免れませんが、ここはたぶん羽生も、自分の将棋人生をかけるすごい将棋を見せるつもりでしょうね。正直次の藤井とのタイトル戦が実現するかわからない。王将位奪取は非常に大変で現実1勝できるかも厳しいくらいかと思いますが(こちらによると、現時点7戦して藤井の6勝1敗)、でも世代交代の象徴かそれともなんらかのストップをかけられるのか、ここはものすごく面白そうですね。期待して私も注目します。

それにしても、順位戦での調子は良くないとはいえ、1年の2/3の時点で65%を超える勝率を出しているあたりが、羽生のすごさではありますね。前年に36.8%の勝率しか上げられなかった棋士が、50歳を超えて、これだけの勝率をあげるというのはやはり羽生の卓越さです。来年以降どうなるかは予断を許しませんが、ともかくこんなことができる棋士は、現状羽生くらいしかいないでしょう。藤井は、現段階ではそちらの方は、どうなるかわからない。ともかく羽生に対しても、これからも注目していきます。


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