このような記事を読みました。
人類史において貴重な経験としての朝鮮民主主義人民共和国の75年間: 白頭の革命精神な日記
一部抜粋して引用します。9月9日付の記事です。
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ソ連を超え、ベトナムに続く2番目に長い歴史を持つ社会主義国となった共和国
朝鮮民主主義人民共和国創建75周年の日を迎えました。革命政権樹立から74年(正式な建国からは69年)で消滅したソビエト連邦よりも長い歴史を共和国は刻むに至っています。実は共和国は中華人民共和国よりも1年早く建国しており、現在のベトナム社会主義共和国の前身である旧ベトナム民主共和国(北ベトナム。1945年9月2日建国)に続く2番目に長い歴史を持つ社会主義国であります。
白頭の革命精神な日記さんのご指摘を読んで、ああ、まさに旧ソ連以上に北朝鮮て長く続いているんだなと再認識しました。北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国は、1948年9月9日に独立したことになっています。Wikipediaから引用すれば、
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北朝鮮人民委員会は独立のために最高人民会議を招集し、1948年9月8日に朝鮮民主主義人民共和国憲法を制定、翌9月9日に人民共和国の樹立を宣言して独立した。
ということです。韓国こと大韓民国の建国は、1948年8月15日に米国の軍政が終了したことにより、独立となっています。なおソ連ことソビエト社会主義共和国連邦は、ユリウス暦の1917年10月25日(現在のグレゴリオ暦の11月7日)に十月革命が成立、22年12月30日に、正式に国家がスタートしました。1991年12月26日に崩壊しています。ということは、十月革命からでも74年ですから、つまり北朝鮮は、すでにソ連より長く続いている国家であるということです。
もちろん社会主義圏の盟主だった旧ソ連と北朝鮮とではまた立場は違いますが、ともかく北朝鮮は、75年もの間これといった政変もなく継続している国家であるというわけです。また中華人民共和国の成立が1949年10月1日ですから、北朝鮮のほうが先の建国のわけです。
私も繰り返し指摘しているように、まさに日本の一部反北朝鮮の連中の主張する「北朝鮮崩壊論」なんてものが、実に当てにならないデタラメなものであることが、これでまた証明・傍証されたということなのでしょうね。私が何回もご紹介している戯言を。
20年前の、対北朝鮮強硬派の考えや意見を再度ご紹介(なにが「常識人の常識」だか)ここでは、
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2:北朝鮮という国はいつまでもつか
を紹介。回答者たちのプロフィールほかは、
1998年時点での対北朝鮮強硬派の予測する北朝鮮の将来(1)の記事をご参照ください。記事のタイトルでお分かりのように、1998年の記事です。
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玉城 素:中国保護下に15年ほど。
関川夏央:韓国に、北朝鮮と中国に対するリアリズムが育つ日まで。あるいは中国に統一コリアと国境を接する準備が整うときまで。
恵谷 治:21世紀初頭まで。
野副伸一:意外ともつかも。肝心の韓国が統一を何が何でも実現したいという気がない以上、周辺国も現状維持に傾くしかない。
花房征夫:金正日と国家は運命を共にしている。国家だけが生き残る場合は、中国介入の可能性が高い。
久仁 昌:中国が必要と考えれば、自国の政策展開に適う、「社会主義原理の北朝鮮製権」の継続・冊立を図る可能性もありえよう。
鈴置高史:予測は困難。ただ、周辺国の支援や、各国の現状維持策で、3年前と比べ存続の可能性が高まった。
小林一博:金正日体制崩壊後1年。閉鎖体制に穴があけば、国民の統率はできなくなる。
荒木和博:長くもっても20世紀中。
田中 明:韓国がこれまで通りである限りつづく。
いろいろな意見はありますが、私の見たところこの人たちが、2023年の時点での現在の北朝鮮の状況を予想しているようには思えませんね。といいますか、ここで登場する人たちは、すでに故人も多い。で、これまた何回もご紹介する関川夏央の戯言を。
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近未来予測は、ある意味で通俗なやり口といわざるを得ない。それを承知で編集委員会があえてその手法を採用したのは、大多数が普通の人々であるだろう本書の読者の利便に供したいと発想したからだが、同時に、北のみにとどまらず、長くコリア全体を見つづけ学んできた民間研究者たちの見方を、ここで日本政府にも端的に示しておきたいという意図もひそんでいる。読者は、これら執筆者の北朝鮮の将来へのクールな展望とともに、日本外交への強い危惧の念をも感じとって驚かれることだろう。しかし、それこそが常識人の常識であると知っていただきたいのである。
読んでいてあまりの無様さと無残さに腹を抱えてしまいますね。こんなのまさに、「馬鹿も休み休み言え」「デマデタラメもいいかげんにしろ」「うそ八百ほざいてんじゃねえよ」「素人にフェイク吹き込むのもたいがいにしろ、嘘つきクズ野郎」でしかない。そしてこんなことを偉そうにほざいていた関川は、現在北朝鮮関係の言論から完全トンズラですからねえ。どんだけ自分の言論に無責任なのか。なぜ「自分の意見は妥当ではありませんでした。撤回します」くらいのことが言えないのか。こんなのどこが
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長くコリア全体を見つづけ学んできた民間研究者たちの見方
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常識人の常識
なのか。どんだけ馬鹿でデタラメで無責任なクズ野郎なんだか。お話にもなりません。
そしてそんなことを主張する連中、そういう人物の経営する会社、そういう人物の運営する人権団体などが、北朝鮮崩壊以前に死んだり倒産したり活動停止に追い込まれている無様で無残な姿を再確認したいですね。いくつか例をあげましょう。恵谷治は、晩年北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか (小学館101新書)なんて本を出版しましたが、北朝鮮が崩壊する前に死にました(苦笑)。ジャーナリスト兼番組制作会社元経営者である高世仁は、金正日「闇ドル帝国」の壊死なる本を出版し、
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急がなくてはならない理由がもう一つある。アメリカが、北朝鮮に対して軍事的オプションを使う可能性が出てきたからだ。もし北朝鮮が「暴走」を続け、核などの大量破壊兵器を拡散するなどの事実が明らかになった場合、アメリカの軍事攻撃を止められるものは誰もいない。
体制打倒とはあまりに過激だと言うあなたに、私はこうアピールしよう。
「早く倒さないと、アメリカが戦争しに来るよ!」
とまで書いていましたが、米国が戦争をしに行く前に高世の会社は倒産しました(爆笑)。北朝鮮経済の研究者である大学教授李英和は、自分が運営していた北朝鮮関係の人権団体が(理由や時期は定かでありませんが)活動停止に追い込まれ、ついには狂信右翼雑誌寄稿にまで落ちぶれ、死因は不明ですがこれも北朝鮮崩壊以前に亡くなりました。以上のお三方は、「北朝鮮崩壊するする詐欺師」ではないか。一応この人たちは、「ジャーナリスト」とか「学者」の肩書を持っている人たちですが、つまりは単なる反北朝鮮政治活動家に過ぎないわけです。それでも書いていることがまともならまだいいですが、お三方ともけっきょく自分の主張が事実と現実に徹底的に裏切られ、政治活動家としてもまったくどうしようもなくなり世間からも相手にされなくなったとしか言いようがない。李教授が亡くなった際、ろくにマスコミでも報道されなかったのは、その一例です。そしてそのような連中はほかにも大勢います。前掲の関川夏央は、他に芸があったから北朝鮮関係に固執せず逃げましたが、そのような人物ばかりではない。
北朝鮮が崩壊する前に亡くなったという話(恵谷治氏)(追記あり) 李英和氏の死があまり報じられないことが、対北朝鮮や拉致問題への関心の実情ではないか 北朝鮮が崩壊する前に自分の会社を倒産させた無様で無残な話それでですよ、私の好みというか、趣味の映画から話をさせていただきますと、これは数年前の映画ですが、私は、同じ日に、2本のドキュメンタリー映画を観ました。『北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ』と『ワンダーランド北朝鮮』です。これら2本の映画を観れば、北朝鮮の政治体制をどう評価するかといったことはともかくとして、とてもとても近々に北朝鮮が崩壊するというような事態になるとは思えませんね。もちろん政治というのはどう変わるかわかりませんから何とも言えませんが、蓋然性とか現実性とかを考えれば、あまりその可能性が高いとは思えません。
で、こういう主張やこのような映画について「プロパガンダ映画だ」「観る価値はない」とか言っていては、やはり「都合の悪いことに目をつむる」ということではないかと私は思うわけです。これでは、そういうのは「チベット馬鹿」であるどっかの馬鹿(HNや本名は、現在ネット外逃走中のため「武士の情け」「商人の情け」で書きません。悪しからずご了承ください)やその師匠らしい某大学教授(逃走中ではありませんが、左に同じ)が、現在のチベット亡命政府や現ダライ・ラマの困難な状況をまともに見ようとしない態度と酷似しているとしかいいようがない。あるいは安倍晋三が、さんざん偉そうなことをほざいていたにもかかわらず、中国との関係改善に動いた態度を見て見ぬふりをし続けた櫻井よしこなどもご同様。こいつらどんだけ政治活動家なんだよです。とても学者やジャーナリストなんて言えたものではない。
で、ネット論客であるnoharra氏なる人物は、こんな主張までしています。bogus-simotukareさんのブログ記事より引用します。
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日本は金正恩の被害者人民を10万人くらいまでなら受け入れる宣言をすべきです。そうすれば、うまく行けばかの国は消滅に向かう。
で、それって現実性あるの? 日本政府がそんなことを宣言する可能性が、万に一つ、億に一つもあるか。あるわけないでしょう。馬鹿も休み休み言えです。この人物も、こんな世迷言はさっさと撤回したらどうか。このままでは、noharraさんが死ぬ前に北朝鮮が崩壊する可能性も少なさそうです。けっきょくbogus-simotukareさんがご指摘のように、
ということなんでしょうね。そういっちゃみもふたもありませんが、ナチスドイツもスターリン体制も文化大革命時の中国も、戦前の軍国日本も、あるいは体制そのものというわけではありませんが、米国のマッカーシズムも、現在の私たちが考えるほど、当時の国民から忌避され批判されていたわけではもちろんない。ポルポトまでいくと、さすがにそうも言っていられないかもしれませんが、しかしあれも、3年9か月くらい(クメールルージュのプノンペン占拠が1975年4月、撤退が79年1月)しか続かなかったわけです。
逆に東ドイツ(ドイツ民主共和国)という国が、建国50年に満たず崩壊、西ドイツ(ドイツ連邦共和国)に併合(建国は1949年、併合が90年)される事態にいたったのは、つまりはソ連が東ドイツをふくむ東欧諸国への援助ができなくなったという側面が大きいはず。これは、ロシア以外の各共和国への援助が困難になったが故のソ連解体・崩壊ということともつながります。これも前出の白頭の革命精神な日記さんの見解を引用させていただくと、
世界に先駆け人類の理想社会:共産主義社会を実現することを現実的な課題として掲げている共和国: 白頭の革命精神な日記
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ちなみに、往々にして、いわゆる「独裁」政権は民衆の意志を無視して政治を執り行っていると言われるものです。しかし、本当に無視していては安定した政権基盤は築けないものです。ソ連・東欧社会主義圏、いわゆる「現実社会主義」(Realsozialismus)崩壊から30年以上の歳月が立ち、歴史としてRealsozialismusを見る姿勢がだんだんと根付いてきていますが、たとえば最近、一般向け新書として出版された『物語 東ドイツの歴史-分断国家の挑戦と挫折』(河合信晴著、中公新書)は、冒頭においてそうした俗流の見方を否定し「ミツバチの巣」理論を紹介しています。「シュタージによる監視国家」だとされる東ドイツでさえそうだったのです。
ということです。河合著書は存在は知っていますが勉強不足で未読ですので、ここは私も読まないといけません。拙ブログは旧東独の街をタイトルにしているくらいであり、私は東ドイツやザクセンびいきなので、いろいろ勉強をしていきたいと思います。
いずれにせよ1990年のあのような拙速な統一(と、あえて書きます)が実現したのは、東ドイツ国民が東ドイツ政府を見放したからでしょう。可能性としては、チェコスロヴァキアやセルビア・モンテネグロのようなゆるい連邦国家としての形もありえたでしょうが、もはや当時の東ドイツ国民は、ドイツ民主共和国という国家にそのような未練を持つにいたりませんでした。
となるとこれは、これもbogus-simotukareさんの記事
積極支持ではない消極的支持(諦め)であれ、「デマ扇動やメディア統制による詐欺的支持獲得(いわゆるポピュリズム)」であれ、国民の支持無しでは独裁は成り立たない(追記あり)でのご意見
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北朝鮮が崩壊しないのは裏返せば「国民の一定の支持がある」ということであり、その点においては恐らく「ロシア、中国の支援が大きい」ということです。
ということなのだろうと思います。というと「そんなことはない!」と激怒する向きもあるかもですが、なんだかんだいって、他の共産党一党独裁国家であるベトナムやキューバ、ラオス、もちろん中国なども、一定の国民の支持があってこそ国家運営ができているわけです。当たり前といえば当たり前の話。たとえばこういった国々が国民の意見を聞かないでも国家運営ができるというのであれば、鄧小平の改革開放もドイモイも、する必要がないでしょう。
なおこの記事は、bogus-simotukareさんの下の記事からもヒントを受けました。感謝を申し上げます。
9月9日は北朝鮮の建国記念日