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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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明らかに、同居を続けられるような状況ではないと思う

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過日こんな記事を書きました。

家族間殺人の最悪のケースではないか(放火というのも、自分の人生のリセットの意味合いがあるのだろう)(同日の追記あり)

兵庫県で、同居(居候)している伯父が甥(妹の息子)2人を住んでいる家に放火して焼き殺したという事件です。事件の直前まで、この伯父(兄)が所有している家に妹夫婦と甥2人が居住していて、そこに兄(伯父)が転がり込んできて、それでいろいろあったらしく、放火して殺害するにいたりました。

初公判の日が、上の拙記事を発表した1月25日です。それで、同記事にbogus-simotukareさんからコメントをいただき記事をご紹介いただきました。その記事を全文引用します。


「極刑しかない」 兄弟2人犠牲の放火殺人事件公判で父親が訴え
2024/1/29 20:22

兵庫県稲美町で令和3年11月、民家が全焼し小学生の兄弟が死亡した事件で、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた兄弟の伯父で無職、松尾留与(とめよ)被告(53)の裁判員裁判が29日、神戸地裁姫路支部(佐藤洋幸裁判長)で開かれ、兄弟の父親(60)の証人尋問があった。

検察側は父親らと被告が同居していた際、被告との間に起きたトラブルについて質問。父親は、兄弟の祖母が作った食事に対し、文句を言った被告に「食費を出してないのに文句を言うな」などと注意したことがあったと明かした。

検察官から事件後の生活について尋ねられた際には、「毎日が悲しみ、苦しみでいっぱいだった」と語り、被告の量刑については「極刑しかありません」と訴えた。

一方、弁護側は被告と兄弟の両親との関係性について質問した。被告が冷蔵庫内にあった兄弟の弁当のおかずを勝手に食べたことなどから、両親が被告の行動を監視するために防犯カメラを設置したことや、自宅2階に「出入り厳禁」と書いた張り紙を貼ったことを指摘。被告に対し直接注意をしなかった理由を尋ねると、父親は「(自宅の)建物は被告人のものだったので言いづらかった」と説明した。

記事中いくつか印象に残ったところを。


父親は、兄弟の祖母が作った食事に対し、文句を言った被告に「食費を出してないのに文句を言うな」などと注意したことがあったと明かした。


被告が冷蔵庫内にあった兄弟の弁当のおかずを勝手に食べたことなどから、両親が被告の行動を監視するために防犯カメラを設置したことや、自宅2階に「出入り厳禁」と書いた張り紙を貼ったことを指摘。被告に対し直接注意をしなかった理由を尋ねると、父親は「(自宅の)建物は被告人のものだったので言いづらかった」と説明した。

いろんなご意見はあるかもしれませんが、これではとても、同居は続けられませんね。私が何回もご紹介している「宮崎家族3人殺害事件」では、犯人の男性の義母が、Wikipediaから引用をすれば、


部落に帰れ。これだから部落の人間は。

と罵倒し、物理的な暴力もあったらしい。犯人が家族3人(義母、奥さん、息子)を殺害したのはこの2日後です。また岩手県で、夫が奥さんを殺害した事件では、


公判で、被告が運転できなくなったことについて妻が同僚に愚痴っていたこと、「長男は私に似ているから大好き。少しでも夫に似ていたなら育てたくない」「長男のために2人目の子どもは欲しいけど身体の関係は持ちたくない」と話したと同僚が証言しており、夫婦仲が冷え切っていたことは事実のようだ。

 被告はある日、妻の日記を見てしまう。そこには、「もっと給料が高い男と結婚すればよかった」「この結婚は失敗」と書かれていたという。

(中略)

「あんたのせいで私の人生はめちゃくちゃになった」

「あんたのせいで恥をかかされている」


妻の日記に〈もっと給料の高い男と結婚すればよかった〉〈夫の髪の毛が落ちている家に帰りたくない〉〈この結婚は失敗だった〉と記されていたと裁判で明らかにされました。

あるとき男性は「てんかん」の発作で病院に運ばれています。病院でたくさん知り合いが働いているからなのか、妻は「なんでここなの、恥ずかしい!」と激怒しました。その後も「子どに遺伝したらどうするのか」と責められ、「病人にはまかせられない」と子どもを自由に抱き上げることさえできなくなります。

また「てんかん」でクルマの運転ができなくなった夫を妻は「マジ使えね」と侮蔑しました。そうした夫婦関係のなかで、男性はどんどん追い詰められていったのでしょう。都市部に暮らす人にはなかなか理解してもらえないかもしれませんが、地方では「クルマと家庭を持ってこそ一人前の男」という価値観がいまだに根強いですから。

という状況だったらしい。引用は、下の記事より。夫は、奥さんを殺害、死体を遺棄します。

女性から男性へのDVというのも、いろいろ問題があるし、それがまた最悪の事態になることもある(宮崎家族3人殺害事件と岩手県の妻殺害事件)(追記あり)

宮崎の事件も岩手の事件も、ちょっと同居生活、婚姻関係が継続できるような状況とは思えません。どちらも、夫が家を出るかあるいは義母なり奥さんを追い出すかのどちらかでしょう。宮崎では、どうも義母の暴力を奥さんは笑って煙草を吸いながら見ていたなんて話もあります。

で、婚姻関係にあったり、その親だったりする被害者と、先方が勝手に(でしょう、おそらく)押しかけてきた今回の事件とではまた違うところも多いのでしょうが、兄と妹(義兄)・甥の関係で、防犯カメラとか「出入り厳禁」なんてはり紙をした時点で、「これはまったくどうしようもない」というものでしょう。家屋が兄の所有だったので遠慮した部分もあるというような話の次元は、とっくに過ぎ去っているでしょう。bogus-simotukareさんは、


 正直「事件前」からもはや「家族とは言えない険悪な関係」では無かったか。被告が「家を出れば良かった」とは思います。

とお書きになっています。私もそう思います。被告から家を買い取って、その金が尽きたら後は生活保護でも受けてくれということにするか、もしくは賃借料を払ったうえで家を出て行ってもらうとか、何らかの配慮をしたうえで別居することになると思いますが、理由はともかく同居が続いたわけです。放火や殺人を予想することはできませんが、たぶん同居を続けるのが難しいというのは、妹夫婦も考えていたはず。

こういうことはでも、犯罪が起きるまでは民事の領域ですから、難しいですね。bogus-simotukareさんがおっしゃるように、兄の方が自発的に家を出ればよかったのでしょうが、ご当人次の居場所がなかったのでしょうね。今の家にもない。だから、人生のリセットの意味合いで、自分の名義の家に火をつけたのでしょう。仮に死刑の判決が出て兄が控訴するかは現段階もちろんわかりませんが、たぶん刑務所だか拘置所だかのほうが、娑婆で暮らすよりよっぽど彼にとっては精神衛生上いいかもしれませんね。甲府地裁で先日死刑判決を受けた特定少年は、本日2月1日が控訴期限です。彼が控訴しないかどうかは明日までに確定しますが、その結果はともかくとして、特定少年は大要「社会に戻る気はない」という趣旨の発言をしています。おそらくこの兵庫の事件の被告人も、いまさら社会に戻る気はないのでしょうね。後で考えが変わる可能性もあるかもですが、現段階ではたぶんないでしょう。そういう精神状態になったら世の中怖いものはありません。自らの死刑を求める犯罪者というのは、そういう人たちなのでしょう。たとえば附属池田小事件土浦連続殺傷事件などがおそらくそうです。

この事件に関しては、これからもいろいろ注目していきたいと思います。なおコメントをくださったbogus-simotukareさんに感謝を申し上げます。


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